遊戯王Oカード episode-05 【レンジ恋にメタられる】
「どうやら、特に問題無いみたいだな……」
友人Aは体育倉庫裏が視認できる校舎の陰で、小さく呟いた。
流れ的に白矢が退学騒ぎになるのではないかと思っていたが、どうやら杞憂らしい。
殆ど脅迫紛いの行動だが、今優位にあるのは間違いなく白矢だ。
流れ的に白矢が退学騒ぎになるのではないかと思っていたが、どうやら杞憂らしい。
殆ど脅迫紛いの行動だが、今優位にあるのは間違いなく白矢だ。
「――しかし、問題はここからだ。あの副委員長。実技の成績はかなりのものだった。油断はできない」
実技とは勿論体育――ではなく。
決闘の実技の事である。
だが、それとは別に思うことがある。
手紙を破った事に憤怒したのなら、行動すればよかったのだ。
例え止められようと、今の白矢のように。
決闘の実技の事である。
だが、それとは別に思うことがある。
手紙を破った事に憤怒したのなら、行動すればよかったのだ。
例え止められようと、今の白矢のように。
「眩しいよな。実際」
厄介なクラスメイトと同じぐらい憎たらしく、目の前の友人は輝いて見えた。
「決闘――そんな事でいいのか?」
その申し出に、副委員長は目を丸くする。
ここまで周りくどく人を貶めた人間の要求としては、随分と軽い物に思えるからだ。
「ああ、勝ったら今日これをネタに副委員長殿を強請ったり、パシりにしたりはしない」
「その言葉――本当だろうな?」
「一時一句誓って本当だ。録音もされているしな」
携帯を再び開いて見せる。どうやら嘘ではないらしい。
ここまで周りくどく人を貶めた人間の要求としては、随分と軽い物に思えるからだ。
「ああ、勝ったら今日これをネタに副委員長殿を強請ったり、パシりにしたりはしない」
「その言葉――本当だろうな?」
「一時一句誓って本当だ。録音もされているしな」
携帯を再び開いて見せる。どうやら嘘ではないらしい。
「いいだろう――この私に挑んだ事、後悔させてやる!」
副委員長も決闘盤を展開し、それにより決闘開始の合意が成される。
今二人の決闘の火蓋が、切って落とされた。
今二人の決闘の火蓋が、切って落とされた。
【白矢】LP4000 手札 5枚 場 なし 【副委員長】LP4000 手札 5枚 場 なし
「私のターン!」
決闘盤が先行を告げたので、すかさず山札からドローする。
初手の手札としては、悪くない。
初手の手札としては、悪くない。
「私はモンスターを1枚セット。魔法罠カードを3枚セット。ターンをエンドする」
「随分優等生らしい保守的な戦術だな」
「ほざけ、1ターン目で手の内を明かす馬鹿がいるか」
「それはご尤も。ドロー」
「随分優等生らしい保守的な戦術だな」
「ほざけ、1ターン目で手の内を明かす馬鹿がいるか」
「それはご尤も。ドロー」
白矢がドローし、顎に手を思案する素振りを見せる。
だが、それは一瞬。
だが、それは一瞬。
「俺はカードを2枚伏せ、モンスターを1枚セットしターンエンド」
「何だ。貴様も十分保守的ではないか」
「ということはこれで俺も優等生か。悪くない」
「ほざけ――! 私のターン!」
「何だ。貴様も十分保守的ではないか」
「ということはこれで俺も優等生か。悪くない」
「ほざけ――! 私のターン!」
【白矢】LP4000 手札 3枚 場 裏守備モンスター 伏せカード2枚 【副委員長】LP4000 手札 3枚 場 裏守備モンスター 伏せカード3枚
「私は裏守備モンスター<マシュマロン>をリリース。現れろ――<マテリアル・ドラゴン>!」
《マテリアルドラゴン/Prime Material Dragon》 † 効果モンスター 星6/光属性/ドラゴン族/攻2400/守2000 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 ライフポイントにダメージを与える効果は、ライフポイントを回復する効果になる。 また、「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つ 魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、 手札を1枚墓地へ送る事でその発動を無効にし破壊する。
そのモンスターを見て、白矢は眉を顰める。
「……そういえば、俺が勝った際の条件の提示がまだったな。そのカードをトレードに出してもらおうか」
「もう勝った気でいるとは私も舐められたものだな。いいだろう、その程度の条件なら呑んでやる」
<マテリアル・ドラゴン>は別段特別なカードというわけでもないし、予備は自宅に数10枚ある。
何より、学校での自分の地位には変えられない。
「……そういえば、俺が勝った際の条件の提示がまだったな。そのカードをトレードに出してもらおうか」
「もう勝った気でいるとは私も舐められたものだな。いいだろう、その程度の条件なら呑んでやる」
<マテリアル・ドラゴン>は別段特別なカードというわけでもないし、予備は自宅に数10枚ある。
何より、学校での自分の地位には変えられない。
「さぁ行くぞ――私は<女神の加護>を2枚発動!」
《女神の加護/Aegis of Gaia》 † 永続罠 自分は3000ライフポイント回復する。 自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがフィールド上から離れた時、 自分は3000ポイントダメージを受ける。
【副委員長LP】4000→10000
「これで私のライフは1万に上昇!」
「だが仮初だ。そのカードが離れれば――」
女神の守護は強力な回復カードだが、それは一時的なもの。
一度場を離れれば、その回復は反転して使用者に襲い掛かる。
だからこそ、このカードを扱うのならこのカードを守りきる必要があるのだ。
「ならば今すぐに離れさせよう。私は2枚の<女神の加護>を墓地に送り――現われよ<オオアリクイクイアリ>!!」
「だが仮初だ。そのカードが離れれば――」
女神の守護は強力な回復カードだが、それは一時的なもの。
一度場を離れれば、その回復は反転して使用者に襲い掛かる。
だからこそ、このカードを扱うのならこのカードを守りきる必要があるのだ。
「ならば今すぐに離れさせよう。私は2枚の<女神の加護>を墓地に送り――現われよ<オオアリクイクイアリ>!!」
《オオアリクイクイアリ/Anteatereatingant》 † 効果モンスター 星5/地属性/昆虫族/攻2000/守 500 このカードは通常召喚できない。 自分フィールド上の魔法・罠カード2枚を 墓地に送った場合のみ特殊召喚する事ができる。 このカードは攻撃をするかわりに相手フィールド上の 魔法・罠カード1枚を破壊する事ができる。
<女神の加護>を生贄に出現したのは巨大なアリだった。
天敵に同胞を啄ばまれ続けた蟻達の幻想。天敵の天敵と呼称されるその名称は、一つの願いの形だ。
しかし
天敵に同胞を啄ばまれ続けた蟻達の幻想。天敵の天敵と呼称されるその名称は、一つの願いの形だ。
しかし
「――馬鹿かお前は。自らライフアドバンテージを捨てる奴がいるか」
それはある種の無駄であり、自殺行為だ。
<女神の加護>2枚が場から離れた事により、副委員長は6000ポイントのダメージを受けてしまう。
それでは何の為に発動したのかわからない。
<女神の加護>2枚が場から離れた事により、副委員長は6000ポイントのダメージを受けてしまう。
それでは何の為に発動したのかわからない。
「そう思うなら、私のライフを確認してみろ」
「……?」
「……?」
言われるがまま、示された方向を見る白矢。
そして、驚愕した。
そして、驚愕した。
【副委員長LP】10000→16000
「なっ――減るどころか増えるとは!?」
「説明が欲しそうな顔をしているから教えてやろう。これが先程出したモンスター……<マテリアル・ドラゴン>の効果だ」
「説明が欲しそうな顔をしているから教えてやろう。これが先程出したモンスター……<マテリアル・ドラゴン>の効果だ」
本来受けるべきダメージを癒しに変換する希有な能力。それが<マテリアル・ドラゴン>の真骨頂。
<女神の加護>のデメリットはデメリットでなくなり、純粋な癒しとなる。
自然と笑みが零れた。
このコンボが決まれば、まず負ける事はなくなる。
そう、私は――負けるわけにはいかないのだ。
「……なるほどな。なかなか粋なコンボを使うじゃないか」
「強がりは寄せ。これで私の負けはなくなった」
「強がり? 勘違いするな。俺はそういうコンボを見るのは嫌いじゃない。そして――」
「強がりは寄せ。これで私の負けはなくなった」
「強がり? 勘違いするな。俺はそういうコンボを見るのは嫌いじゃない。そして――」
だが、白矢は不適に笑う。
圧倒的なライフ差だろうと関係がないと、そう宣言するように。
圧倒的なライフ差だろうと関係がないと、そう宣言するように。
「――その自慢のライフ。一瞬の間に消してやるよ」
【白矢】LP4000 手札 3枚 場 裏守備モンスター 伏せカード2枚 【副委員長】LP16000 手札 2枚 場 <マテリアル・ドラゴン> <オオアリクイクイアリ> 伏せカード1枚