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【頂きもの】デスサイズヘルvsクロスボーンガンダムX3

「ちぃ、あいつ、なかなかやるな!」

 対ビームコーティングをされた悪魔のような羽、アクティブクロークと漆黒色の機体、そして何より目を引く大きな死神のようなビームの鎌、ビームシザースを持ったガンダム、【ガンダムデスサイズヘル】のパイロットは小さく毒づいた。
 (相棒に目立った損傷はないが、何回ひやひやさせられたことやら)

 「あのモビルスーツパイロットは、僕より強い……どうする?」

 対して、手に持った巨大な剣、ムラマサブラスターと背中の交差した骨を連想させる4つの大型スラスターが特徴的な青色の機体、【クロスボーン・ガンダムX3】のパイロットも自問自答する。
 その機体には、致命的な損傷はまだないが、【デスサイズヘル】によって付けられた多数の損傷があり、このままやればじわじわと差が開いていき、いずれ勝てると言う事を認識させられる。 
 「ここでやられるわけにはいかないんでねぇ!悪いが潰させてもらうぜ!」
 「例え、僕の腕では敵わなくても、なんとしても倒してみせる!」

 そして、お互いにバーニアを吹かせ相手を撃墜すべく機体を相手に向かって接近させた。
 「斬りまくるぜぇ!」

 【デスサイズヘル】は対ビームコーティングを施された羽、アクティブクロークを開き、ビームシザースから大出力のビームを発振させる。
 「このまま続けても長くは持たない……これで決める!セーフティー解除!」

 【X3】もムラマサブラスターのセーフティーを外し、14のビームサーベルを発振させた。
 「もう止められないぞ!」
 「やらせるか!」

 ビームシザースとムラマサブラスターがぶつかり合う。
 大鎌の斬り上げは大剣の袈裟斬りが。
 返す大剣の逆袈裟斬りは一度振り上げたのを疑うほど素早く戻された鎌の斬り上げが。 
 そして体を返しての返し斬りを機体ごと移動して斬り抜けていなす。
 「手加減なしだ!」
 「でえい!」

 そして、バーニアを急制動させて機体を反転させて繰り出した水平斬りは体ごとの回転斬りで防がれる。
 (俺の攻撃をここまで……)
 「けどまだだぜ!」
 「なっ、うわあ!」

 だが、最後に出したサマーソルトキックだけは【X3】に直撃し、機体を大きく吹き飛ばす。
 「どんなもんだい!」
 「やっぱり、強い……けど、これならどうだ!」

 4つのバーニアを上手く吹かして体勢を即座に整えた【X3】はムラマサブラスターの先端から、苦し紛れにも見えるビームライフルを撃ってきた。
 「舐めるな!」

 こっちはガンダムパイロットだ。苦し紛れの攻撃なんてものはあくびしててもかわせる。
 「そうだ、あなたは避けてくれると信じていた!」
 「嘘だろ、射線上に戦闘の余波で燃えた丸太を!?」

 しかし、そのライフルを避けた途端にモニターに映ったのは避けきれないほど近い【X3】によって投擲された2本の燃えた丸太。
 「ぐぅっ……!!」

 (おいおい、冗談だろ!?あの体勢からとっさに持ち直してライフルの射線上に丸太を引っ掴んで投げたってのかよ!)

 いくらガンダニュウム合金製とは言え、この距離で直撃したら少しは衝撃は来る。
 「もう我慢できないっ!!この勝負は海賊らしく、頂いていく!」

 そして、その衝撃による一瞬の怯みは、出力を上げたことによる排熱のためにフェイスオープンした【X3】が【デスサイズヘル】に目と鼻の先まで肉薄するには十分な時間だ。
 「くっ、本当にやる!」

 回避は間に合わない。再び、火花を上げてビームシザースとムラマサブラスターがぶつかり合う。
 同じ袈裟斬りは鎌での薙ぎ払いで弾き飛ばす。
 逆袈裟はそのまま鎌を回転させて受け流した。

 (同じ攻撃……?いや、違う!)
 同じ攻撃だと思って甘く見たところへの斬り上げをなんとか回転斬りを止めての薙ぎ払いで防ぐ。
 「まだまだぁ!」

 だが、まだ【X3】の攻撃は終わっていない。
 蹴り上げをビームシザースの柄を使ってなんとか防ぐ。
 「くそ、やっちまった……!」
 「うおぉ!」

 そして、ムラマサブラスターの14のビームサーベルが消え、代わりに先端部から長大なビームサーベルが出現し、そのまま斬り上げ、【デスサイズヘル】の左腕をアクティブクロークの片羽とビームシザースの柄の一部ごと叩き斬る。
 「こんなことでやられてて、ガンダムパイロットが務まるか!」

 まだ機体も動く、ビームシザースもまだ使える。こっちが体勢を崩して油断してるところで、やるしかない。
 「さぁて、覚悟しろよ……!」
 「なっ!?機体が、消えた!?」

 ハイパージャマー。電子戦用装備で、強力な妨害電波を発することによって、相手のレーダーやモニターの一切を無力化し、相手から事実上見えなくなるに等しい。
 (だが、いきなり使っても警戒されて意味ないことはわかってるでね。効果的に使わせてもらったぜ)
 「悪いが俺は逃げも隠れもするんでね!止めだぜ!」
 「かっ、鎌だけが飛んできた……間に合わない!」

 その完全に見失っているところにビームシザースを投擲、【X3】を寸断しようとした。
 「――けどあなたが、僕より格上で良かった!警戒して、この時まで取っておいて本当に良かった!Iフィールド、全開!!」
 「げぇ!ビームシザースを弾く程の強力なプラネットディフェンサーかよ!」

 また完全に虚を突かれた。【X3】は投げたビームシザースを、なんと掌から発生させたプラネットディフェンサー――本当はIフィールドで、咄嗟に使えるものではないのだが――で防ぎ、その投げられた方向から【デスサイズヘル】を補足して、バーニアを一方向に集めて突撃してきたのだ。
 「けど関係ないね!斬って斬って……斬りまくるぜぇ!!」

 虚を突かれようと、負けるわけにはいかない。そのままこっちもジャマーを作動させたまま【X3】に最大速度で突撃し、まわり込みつつビームシザースを引っ掴む。
 「なんだこの感覚……ま、まさか、『そこ』に居るのか!?」
 「これで終わりだぁ!」

 そしてそのまま鎌を振り抜き、【X3】の上半身と下半身を真っ二つに両断する。
 「まずいっ!コアファイターで……脱出!」

 だが、両断された【X3】の背から脱出用の戦闘機のようなものが飛びだして、この場から離脱していった
 「行かせるか!……って、ビームシザースのエネルギー切れだって?」
 
 追いかけてぶった切ろうとしたら、不意にビームシザースから光が消えた。どうやらエネルギー切れらしい。さすがに早いと思ったが、よく考えたら柄を斬られたせいでエネルギーが漏れていたようだ。
 「あーあ、ガンダムを見たものは生きて帰れないってキャッチフレーズもこれで終わりかもなあ」

 追うのを諦めた左腕と片羽を失くした悪魔のような風貌のガンダム、【デスサイズヘル】のパイロットは一人、皮肉っぽく呟いた。









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またまたカルマさんから素晴らしい小説を頂けました!

 前回のエクストリームvsエクストリーム を書いて頂いたのも束の間、次々と作品を生み出せる彼を俺も見習いたいですね Oカード更新おせぇと思ってる人いたらごめんなさい 
 本人にもお伝えしましたが、最後の皮肉っぽい言い回しとかがとてもデュオっぽい感じがしました。覚醒技って実際には恰好いいとは言い難いですけど、文にすると恰好いいんですね。不思議!
 俺も更新がんばろうと刺激も同時に頂けたので、カルマさんには二度目の感謝ですね。ありがとうございました!