シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王オリジナル prologue-20

 結局、私は何をやっても駄目な人間だった。

 お母さんに助けてもらって以来、しっかりしようって決めたのに。
 油断するとすぐ大失敗をして、みんなに迷惑をかけて……。
 「大丈夫だよ、気にしてないよ」って言われる度に、やりきれない思いでいっぱいになっていた。

 ――ううん、違う。私はもっと嫌な子だった。
 本当は、そんな友達に
 すごく、すごく、嫉妬していた。
 お母さんに助けられてから、私はずっと逆の立場になりたかった。

 「大丈夫だよ、気にしてないよ」って、言ってあげられる側に、なりたかったんだ。









遊戯王オリジナル prologue-20




 <ダイヤモンド・ドラゴン>が巻き上げた砂埃が収まってきた。
 視界は直に晴れ、LPが0になって地に伏した戒斗が見えてくるはずだ。
 そのはずだった。

「ふゥ、あぶねェあぶねェ……さすがに序盤でここまでやってくるとは予想外だったぜェ」
「な……!?」

 聞こえてくるのは、もう聞き飽きた嫌味のような声調。
 間違いようもなく、それは戒斗の声だった。
 直後に視界がクリアになって行き、その姿が戒斗の健在を現実の物とする。

「こういうカードは知ってるかァ?<バトル・フェーダー>って言うんだが」

《バトルフェーダー/Battle Fader》 †

効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻   0/守   0
相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動する事ができる。
このカードを手札から特殊召喚し、バトルフェイズを終了する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、
フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「手札誘発の防御カードか……!」
「あァ。――しっかしさっきの<レヴァテイン>の一撃は効いたぜェ?カタギのシロモンじゃねェな、そのリストバンド」
「……」

 治輝は予想外の展開に、苦虫を噛み潰すような表情になる。
 しかし、悔しさを感じてばかりもいられない。先程の攻防には不自然な点が幾つかある。

 ……何故戒斗は<キラートマト>の効果を使った?

 効果を使わなければ<レヴァテイン>の二度目の剣撃に対して、バトルフェーダーの効果を発動できた。
 レヴァテインの一撃は、確実に奴にダメージを与えている。奴の反応を信じればそれは間違いない。
 それでも<キラートマト>の効果を使った理由……。

 ……<終末の騎士>の効果を、どうしても使いたかったのか?
 奴が墓地に送ったカードを、決闘盤の履歴機能で確認する。
 そのカードを見て、治輝は戦慄した。

「どーしたァ?顔色が悪いぜナオキ君?」
「……」

 ――幻魔皇、ラビエル。
 奴にとって、戒斗にとって必殺のカードが、確かに墓地に送られていた。
 考え無しで墓地に送るような奴じゃ無い。次のターン、必ず何か仕掛けてくる――!!

「……ッ、速効魔法カード発動!<超再生能力>!!」

《超再生能力(ちょうさいせいのうりょく)/Super Rejuvenation》 †

速攻魔法
エンドフェイズ時、自分がこのターン中に
手札から捨てた、または生け贄に捧げた
ドラゴン族モンスター1体につき、デッキからカードを1枚ドローする。

 このターン使用した<調和の宝札><トレードイン>
 そして<ミンゲイドラゴン>のリリースを合計して、3枚のドローが可能だ。
 もう少し温存しようかとも思っていたが、そんな事を言っていられる状況じゃない。

「エンドフェイズ、俺は<超再生能力>の効果でカードを3枚ドローし……ターンエンド!」

【治輝LP4000】 手札4枚
場:ドラグニティアームズ・レヴァテイン(ブランディストック装備) 
    ダイヤモンド・ドラゴン
  伏せカード1枚

【戒斗LP1600】 手札3枚
場:バトルフェーダー
  伏せカード1枚