【完結】遊戯王SS オリジナル
「――エレメンタル・バースト、発動ッ!」 《エレメンタルバースト/Elemental Burst》 † 通常罠 自分フィールド上に存在する風・水・炎・地属性モンスターを 1体ずつ生け贄に捧げて発動する。 相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する。 4つの属性…
程なくして、女の子は目を覚ました。 きゃー何してんのえっちーだのそういう有り触れたノリは一切なく、ただ 「おはよお」 と挨拶し、まるでそこが自分の部屋かのように身を起こした。 それを見た戎斗はいい笑顔で近付き喋りかける。 「よし起きたな。 歯ァ…
「おかーさんおかーさん」 「ん、なあに?」 「わたしねー。 おかーさんのおよめさんになる!」 「あらあら、女の子同士ではお嫁さんになれないのよ」 「えー」 「うふふ、でもね。 世界で一番大好きな人を 『お嫁さん』 って言うなら、私もココちゃんのお嫁…
異世界。 現実の世界とは違った空気で構成されたその世界では、人間の数は多くない。 代表的な理由は二つ。 一つは移動手段が未だ噂程度のレベルでしか知られていないこと。 二つ目は、異世界に行ったとされる人間に、帰ってきた者がいないこと。その原因は―…
戒斗から放出された力の正体は、サイコ決闘者のそれとは全くレベルの違うモノだった。 それが 『ペイン』 と呼称される力であることを知り、戒斗は歓喜した。 これは自分と人間を隔てる明確な境界線だ。 自分とあいつらとは違う。それを裏付ける絶対的な力。…
その日の学校は休んだ。 香ばしい匂いをさせていたはずのカレーは炭になり、安全装置が作動して火は自動的に消えた。 ただチャンネルを変える。 そのことを伝えてるニュースを探し、チャンネルを変える。 何度も変える。 何度も、何度も。 何度も何度も何度…
もう、見るのも嫌なはずだった。 思い出したくない出来事を頭の隅に追いやるのであれば、もう触るべきではない。もう、関わるべきではない。 だがその思考とは裏腹に、気付けば戒斗は吸い込まれるようにそのカードを手にしていた。 「<撤収命令>……デメリッ…
力があった。 何にも役に立たない。ただ存在するだけの些細な力。 だが普通の人間には持ち得ない力であり、異質な力である事は事実だ。 ――サイコ決闘者。 少しでも異質な力を持つ者を、持たざる者はそう呼称する。 自分には出来ない事が可能なサイコ決闘者を…
それから、色々な事を聞いた。 木咲から様々なものを奪ってしまった『力』の名前は、ペインと呼称されるものだとか。 この力は、正規のサイコ決闘者を遥かに凌駕する力だとか。 『ペイン』の力で負った正体不明の障害は、危害を加えたペインが絶命すると治る…
「よっす!」 面会謝絶が解除され、俺は木咲に会いに行った。 病室の扉を努めて勢いをつけて開けたら、予想より大きい音が鳴ってしまう。 起き上がった体勢でそれを見ていた木咲は、一指し指を口に付けて「病院では静かに!」とジェスチャーで示して来る。 …
夜の歩道を歩いていた。 殆ど人気の無い、暗い夜道。 風が木々を揺らし、明度の低い街灯がそれをうっすらと照らしていく。 ふと立ち止まり、自分の手を眺める。 何の変哲もない手だった。 異質でもなんでもない、普通の人間の手。 その事が、逆に不快だった…
遊戯王オリジナル、最終回時点までのネタバレを含みます。 しらねーよって人や、ネタバレが嫌な方、厨ニ病が苦手な方は戻るボタンを押してください。 それは、月のくず鉄有真師匠との会話だった。 「投票でベスト決闘投票とかやりたくない?」 「何故ばれた…
一応ゆうぎおうオリジナルのネタバレを含むので それを望まない方や、きょうみのないかたはブラウザで戻るボタンを―― 終わった いや、もうひたすらにこんな感じです。 気の効いたことはあとで言うとして、まず優先すべき事を一つ。 文にはまだまだ拙い所もあ…
「痛みが世界を覆い尽くした」 こんなフレーズを言っている人を見たら 大抵の人は無駄に格好付けてるとか、はたまた詩人気取りの痛い子とか とにかく、そんな印象を抱くと思う。 でもそれは、本当に言葉通りなんだ。 3年前、大量に自然発生したサイコ決闘者…
(戒斗さんが、消えて行った) 人間が粉のようになっていくような姿を、かづなは初めて見た。 胸の中の不安が高まるのを覚えながら、私は自分の不安が高まって行くのを感じていた。 「――さて、俺もそろそろかな」 なお君がそう言いながら、私の方に振り返る…
誰かの足音が聞こえる。 ……『力』を手に入れてから、この感覚を二度味わう事になるとは思わなかった。 その音の主から、声が聞こえてくる。 「――生きてるよな?戒斗」 「――ッたりめーだ。ぶん殴るぞてめェ」 蘇生龍とやらの攻撃に、物理的な痛みは一切感じな…
【治輝LP1300】 手札0枚 場:ドラグニティアームズ-レヴァテイン 伏せカード一枚 【戒斗LP2700】 手札0枚 場:ニュードリア 「レヴァテインの効果発動。墓地からドラゴン族モンスターを一体装備できる!」 「へェ……確かソイツは、お前の昔のエースだ…
【治輝LP2600】 手札0枚 場:伏せカード一枚 【戒斗LP4000】 手札0枚 場:なし 「ライフの差、ね。だったら、それを今すぐ取り返してやる!」 戒斗のターンが終わり、治輝はデッキに手をかける。 「確かに俺の場はガラ空きだ。だがダイレクトアタック…
「<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>の効果発動……!」 <-蘇生龍-レムナント・ドラグーン> 効果モンスター(オリジナルカード) 星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200 このカードは通常召喚できない。 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが3体…
【治輝LP2600】 手札4枚 場:-蘇生龍-レムナント・ドラグーン 伏せカード2枚 【戒斗LP4000】 手札1枚 場:終末の騎士(守備表示) 幻魔皇ラビエル(守備表示) 「俺のターン!」 戒斗は眼光をギラリと輝かせ、鋭くカードをドローする。 そして、そ…
【治輝LP2600】 手札1枚 場:-蘇生龍-レムナント・ドラグーン 伏せカード1枚 【戒斗LP4000】 手札1枚 場:終末の騎士(守備表示) 幻魔皇ラビエル(守備表示) 「このカードはドラゴン族モンスターが三体以上リリースされたターンに、特殊召喚でき…
【治輝LP2600】 手札2枚 場:なし 伏せカード1枚 【戒斗LP4000】 手札1枚 場:終末の騎士(守備表示) 幻魔皇ラビエル(守備表示) 「<エレメンタルバースト>が、防がれた……」 その事実に、治輝は愕然とする。 渾身の思いで仕掛けたコンボですら、…
【治輝LP2600】 手札4枚 場:なし 伏せカード2枚 【戒斗LP4000】 手札1枚 場:終末の騎士(守備表示) 幻魔皇ラビエル(守備表示) 伏せカード2枚 「――俺のターン!」 治輝は焦りをどうにか抑え込みながら、カードを一枚ドローする。 そのカードを見…
戒斗はデッキの上を切り裂くように鋭く、カードをドローして、その顔を大きく歪ませる。 治輝はその様子を睨みながら、伏せカードの少し上に手をかざす。 「さぁて何を見せてくるのかなァ?カードをニ枚伏せ、バトルフェイズ!俺は幻魔皇ラビエルで――」 「………
そのモンスターを <幻魔皇ラビエル>を見たかづなは、無意識に体が震えてしまった。 以前、心を壊されかけた時の記憶が、鮮明に思い出される。 もう怖くないと、心の奥底から思ったのに。 あの時の感触が、心が持っていかれるような感覚が、かづなに襲い掛…
【治輝LP4000】 手札5枚 場:なし 【戒斗LP4000】 手札5枚 場:なし 「へッ、俺の先行かァ!」 何かを毟るような手付きで、戒斗はカードを勢い良くドローした。 それを見て、治輝は薄く笑った。 「今度は『勝つのは当然』って言わないんだな?一回負け…
「……来た、か」 旧商店街。 一人佇んでいた戒斗は僅かな気配を感じ、その方向に体を向ける。 「待ちくたびれちまったぜェ。キッチリ未練は潰しておいたんだろうな、腑抜けクン?」 「相変わらずイライラする奴だな……」 ため息を付きながら、治輝はブスっとし…
「結局アレ以外の<デブリドラゴン>は無かったですし……酷すぎます」 「シングル買いは早いモン勝ちだろ常識的に考えて」 「……人がキープしてるカード奪う人に常識を語られました!?」 二人は言い争いながら、2Fにあるカードショップのドアを開け、外に出…
「どれにしよう……」 かづなは腕を組み、難しい顔をして悩んでいた。 目の前には、数枚並べられた特価のシングルカード達。 どれもお得な値札が自らを自己主張しているが、全てを買う程お財布は重くないのである。 ふぅ、と自分の金銭事情にため息を付いたか…
<極神聖帝オーディン>を破壊した衝撃の余波が、愛城に襲い掛かってくる。 余りの衝撃に愛城の居た砂の台は粉々に砕かれ、足場のなくなった愛城は宙へ投げ出された。 「ああ、私は負けたのね」 力の入らない声で、そう呟く。 そこまで高い位置から投げ出さ…