シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王オリジナル epilogue-11

「<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>の効果発動……!」

<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>
効果モンスター(オリジナルカード)
星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上のドラゴン族モンスターが3体以上リリース、
または3体以上破壊されたターンに手札から特殊召喚できる。
このカードが手札からの特殊召喚に成功した時、このターン破壊された、またはリリースされたドラゴン族モンスターを可能な限り、墓地または除外ゾーンから手札に戻す。
このカードが戦闘を行うダメージステップ時、手札のドラゴン族モンスターを相手に見せる事で発動できる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、見せたカードの種類×1000ポイントアップする。
このカードがフィールドを離れた時、自分は手札を全て捨てる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
自分はモンスターを通常召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができない。

「このカードがフィールドを離れた時、俺は手札を全て捨てる」
「ソイツが蘇生できるのはあくまで『残滓』っつーわけか。これで条件は五分と五分だなァ?」
「五分と五分……?」

 戒斗の言葉に反応し、治輝はお互いの場を確認する。

【治輝LP2600】 手札0枚   
場:伏せカード一枚

【戒斗LP4000】 手札0枚
場:なし

 そしてそれを終えると、戒斗の言葉を鼻で笑った。
「ハッ、馬鹿言えよ。俺には伏せカードが一枚ある」
「……てめェこそ寝言言ってんじゃねェぞ。てめェと違って俺のライフは無傷だ」
 互いが互いを睨み付け、決闘盤を構え直した。

遊戯王オリジナル epilogue


 互いに一歩も引かない凄まじい決闘を黙って見ていたかづなは、ふと空の異変に気付いた。
「……オーロラ?」
 空を見上げると、緑色の美しいオーロラが、旧商店街の上空に出現していた。
 その帯は普通のオーロラとは違い、ある一定の形を描いている。

「――あれが恐らく『扉』じゃ」
 かづなの横から急に声が響き、かづなはギョッ!と驚いてしまう。
 カウンター気味のタイミングに話し掛けられるのは、未だに慣れない。
 次からは姿を現してから話しかけて欲しい。
 かづなは息を整え、何も無い空間にいるスド――<スクラップ・ドラゴン>の精霊に話しかける。
「知ってるんですか?スドちゃん」
「知っているというよりは、直感的に『理解る』と言った方が適切じゃがな。あの先にあるのは、精霊の原点のような場所じゃ」
「精霊の原点……。それに人間は、無事に行けるんでしょうか」
「詳しい事まではわからん。じゃが、一つ確かなのは――」
「……」

「この決闘に負けた方は、即座にあの扉に吸い込まれる事じゃ」

 ゴクリ、とかづなは息を飲んだ。
 つまり、もしなお君が負けてしまったら
 何の前触れも無しに、なお君はこの世界からいなくなってしまうという事だ。

「……じゃから、別れの挨拶なら今の内にしておいた方がいいかもしれんぞ?」
「……」
 スドちゃんは私の心を読んだかのように、そう伝えてきた。
 そうだね――と。
 そう、口が開いてしまいそうになって、口を固く閉じる。
 私は自分の心に蓋をして、首を横に振った。

「……なお君は、負けません」
「……」
「だから大丈夫、です――」

 その声を聞いて、スドちゃんは軽くため息を付く。
 それは呆れが混じったようでもあり、微笑み混じったようでもある、ため息に聞こえた。

「――なら、ワシは先に帰っておるよ。完全に現世に実体化したワシのような精霊は異世界には戻れんし、その空気は毒にもなる事があるのでな」
「……なお君とのお別れは、いいんですか?」
「ふん、奴に別れの言葉なんぞいらんわ。戻ってきたら鍛え直してやらんとな」

 フッ、と。
 負け惜しみのような言葉を残し、スドちゃんの存在感のようなものが、何処かに消えていった。
(スドちゃんは、なお君を信じてるんだ)
 だから、別れの言葉なんていらないと言って、この場を去った。

「私は――?」

 小さい声で、私は私に問いかける。
 私だって、なお君を信じてる。
 でも

「私は――どうなんだろう」

 その問いに
 私は私に、答える事ができなかった。