遊戯王オリジナル epilogue-12

【治輝ＬＰ2600】　手札０枚　　　
場：伏せカード一枚

【戒斗ＬＰ4000】　手札０枚
場：なし

「ライフの差、ね。だったら、それを今すぐ取り返してやる！」
　戒斗のターンが終わり、治輝はデッキに手をかける。

「確かに俺の場はガラ空きだ。だがダイレクトアタックを仕掛けるなら、てめェはモンスターを必要がある！」
「引いてやるさ――ドロー！」
　治輝はそのカードの色だけを確認すると、フィールドへと叩き付けた。
「俺は＜ドラグニティ・コルセスカ＞を召喚！」

《ドラグニティ－コルセスカ/Dragunity Corsesca》 †

チューナー（効果モンスター）
星１/風属性/ドラゴン族/攻 800/守 700
このカードがカードの効果によって
装備カード扱いとして装備されている場合に発動する事ができる。
装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
自分のデッキから装備モンスターと同じ種族・属性の
レベル４以下のモンスター１体を手札に加える事ができる。

「そのまま攻撃だ、コルセルカァ！」
　鋭い嘴を持ったドラゴン族が、戒斗に渾身の突きを放つ。
　その痛みで、戒斗は少しの間蹲った。

【戒斗ＬＰ】４０００→３２００

「が……っ」
「これで一歩有利だな、戒斗」
「ほざけ……っ！オレのターン！」

　戒斗は治輝の挑発めいた仕草に身を奮い立たせ、カードを一枚ドローする。
　そして、ドローしたカードをそのまま場へと召喚した。

《闇(やみ)の仮面(かめん)/Mask of Darkness》 †

効果モンスター
星２/闇属性/悪魔族/攻 900/守 400
リバース：自分の墓地に存在する罠カード１枚を選択して手札に加える。

　
　そのカードの召喚に、治輝は驚愕を露にする。
「リバースモンスターの＜闇の仮面＞を――攻撃表示だと！？」
「わりィかよ。オレはてめェの伏せカードの正体――きっちりわかってんだ。守ってる暇はねェ！」
「……」
「いくぜェ＜闇の仮面＞！そこの＜ドラグニティ・コルセスカ＞にリベンジアタックだァ！」

　仮面がその身全体を撓らせて攻撃すると、コルセルカの鋭い嘴が何故か真っ二つに折れてしまった。
　治輝は攻撃の衝撃を受け、ほんの少し後ずさる。

【治輝ＬＰ】２６００→２５００

「まだまだ浅いな――俺のターン！＜パワード・チューナー＞を召喚！」

《パワード・チューナー/Powered Tuner》 †

効果モンスター
星４/水属性/ドラゴン族/攻1400/守1000
このカードの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する
チューナーの数×５００ポイントアップする。

「攻撃力１４００かよ……！」
「４０００を使役してた奴の台詞とは思えないな、戒斗！――攻撃だ！」
　闇の仮面を紙のように引き千切った後、＜パワード・チューナー＞は戒斗に攻撃を加えた。
　戒斗は＜パワードチューナー＞の攻撃に仰け反り、受けた部分を手で押さえる。

【戒斗ＬＰ】３２００→２７００

「すぐに巻き返してやる――俺のタァン！！＜キラー・トマト＞を召喚！」

《キラー・トマト/Mystic Tomato》 †

効果モンスター
星４/闇属性/植物族/攻1400/守1100
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキから攻撃力１５００以下の闇属性モンスター１体を
自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

「＜パワード・チューナー＞に攻撃ィ！」
「……っ、リクルーターか！」

　氷のブレスと血液のような液体がお互いのモンスターを直撃し、粉々になる。
　お互いのモンスターゾーンは再びガラ空きになってしまったが、戒斗はデッキから後続のモンスターを召喚できる。
　
「キラートマトの効果発動ォ！デッキから＜ニュードリア＞を特殊召喚し――」

《ニュードリュア/Newdoria》 †

効果モンスター
星４/闇属性/悪魔族/攻1200/守 800
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
フィールド上に存在するモンスター１体を破壊する。

「ダイレクトアタックだァ！」
「がっ……！！」

【治輝ＬＰ】２５００→１３００

　＜ニュードリア＞に強烈なタックルを仕掛けられ、治輝は数秒宙へと浮かぶ。
　何とか空中で体制を建て直し、手を付き地面を滑らせながら、二度回転し堪えきった。
　その時点で手札のない戒斗は、ターンを終了する。　

「へェ、上手いもんだなァ――雑技団でも通用していけそうだ」
「そいつはどうも……だが、勝つのは俺だ！」
　治輝は低い姿勢を元の戻しつつ、カードを下から上にドローする。
　そしてそのカードを確認すると、ニヤリと笑った。

「俺は墓地から＜ミンゲイドラゴン＞を特殊召喚！」
「な……」

《ミンゲイドラゴン/Totem Dragon》 †

効果モンスター
星２/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200
ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、
このモンスター１体で２体分のリリースとする事ができる。
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「みーんみんみんみん！！」
　置物のようなドラゴンが蝉のような鳴き声を上げ、再び墓地より舞い戻ってきた。
　そのカードの再登場に、戒斗は声を苛立たせる。
　それは、その騒音のような声のせいではない。

「てめェ、ソイツがいたなら何故もっと早く使わなかった！てめェの伏せカードは……」
「＜ドラゴニック・タクティクス＞――宣言通り、本当に覚えてたんだな」

《ドラゴニック・タクティクス》 †

通常魔法
自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター２体をリリースして発動する。
自分のデッキからレベル８のドラゴン族モンスター１体を特殊召喚する。

「そのカードを使えば、＜ドラグニティ・コルセルカ＞呼んだターンからてめェは上級ドラゴンを呼べたはずだ！」
「――最初に言っておくが、別に手加減したとかじゃないぞ」
「は？」
「レベル８ドラゴン族が、全部墓地に行っちまっただけだ」

　……静寂。
　余りの告白に、戒斗はクッと声を零し、手を顔にやって笑い出した。
　同時に治輝も、いたずらを成功させた後の子供のような顔で、笑い出す。

「それに警戒してリバースモンスターである＜闇の仮面＞でまで攻撃したってのによォ……自分のミスを戦術に使うとは、なかなかイカれてるじゃねェか」
「俺もそういうつもりじゃなかったんだがな。失敗は成功の元って奴だ」

　笑いながら
　治輝は狂ったように鳴き喚く＜ミンゲイ・ドラゴン＞をリリースし、手札の上級ドラゴンを召喚する。
　次の瞬間、旋風が巻き起こった。
　旧商店街の砂利が舞い上がっていき、凄まじい量の砂埃が辺りを包み込む。
　たまらずそれを見ていたかづなは目を覆い、それと同時に砂埃の中心に小さな木が出現した。
　黄色みを帯びた緑色の葉は1組ずつ対をなし、鮮やかに輝いてその存在を主張している。
　だが次の瞬間、その鮮やかな葉は四散し、木は鋭利な刃物へと姿を変えていく。

「――来い！＜ドラグニティアームズ・ミスティル＞！」

《ドラグニティアームズ－ミスティル/Dragunity Arma Mistletainn》 †

効果モンスター
星６/風属性/ドラゴン族/攻2100/守1500
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたモンスター１体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが手札から召喚・特殊召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスター１体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。

　それは、一本の剣となった。
　四散した葉は一つに集まっていき、巨大なモンスターへと変貌していく。
　強固な鎧は黄色みを帯び、剣を手にしたそのモンスターは、その剣と同じように鋭い咆哮を上げる。

「効果で墓地の＜ブランディ・ストック＞を装備し――ミスティルを場から除外する！」
「……てめェでやっとの思いで召喚したドラゴン族を、除外だと？」
「ああ、これが俺の本命だからな」

　治輝がそう言葉を紡いだ、次の瞬間。
　旧商店街の地下から出てきた無数の枝が辺り一面を覆い尽くした。
　枝が侵食していく勢いで、辺りにある柱が小刻みに震え出す。
　次第に細かい枝は一つになる事で大きくなり、その中心から閃光が零れ出る。
　その輝きは剣の形を象り、輝きの中から出現した巨大な竜がそれを握った。

「刃と成せ！ドラグニティアームズ――レヴァ、テインッ！！」

【治輝ＬＰ1300】　手札０枚　　　
場：ドラグニティアームズ－レヴァテイン
伏せカード一枚

【戒斗ＬＰ2700】　手札０枚
場：ニュードリア