シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル epilogue-13

【治輝LP1300】 手札0枚   
場:ドラグニティアームズ-レヴァテイン
伏せカード一枚

【戒斗LP2700】 手札0枚
場:ニュードリア

「レヴァテインの効果発動。墓地からドラゴン族モンスターを一体装備できる!」
「へェ……確かソイツは、お前の昔のエースだったなァ」
「『昔の』じゃない。コイツは昔から俺を支えてくれた――大切なエースだ!」

《ドラグニティアームズ-レヴァテイン/Dragunity Arma Leyvaten》 †

効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、
手札または墓地から特殊召喚する事ができる。
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の
自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、
装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 レヴァテインは咆哮を上げ、細かい光を纏った漆黒の剣を正眼に構える。
 主人の言葉に反応したのか――その腕と剣には、渾身の力が漲っているように思えた。
 その威圧感に多少押され、戒斗は冷や汗を流す。
 だが、その表情が焦りに染まる事はない。

「てめェの自慢のソイツなら、確かにオレに大ダメージを与えられるだろうなァ。だが、次はどうする?」
「……」

「<ニュードリア>に攻撃した瞬間、てめェのモンスターは消え失せる。そして次のターンオレが攻撃力1300以上のモンスターをドローできれば、オレの勝ち」
 そう言い、戒斗は自らの胸板に親指を指し示す。
 そしてその後、ゆっくりと目の前の治輝に指を指し示す。

「ドローできなかった場合、逆にてめェが1200以上のモンスターをドローできればてメェの勝ちだ」
「……」
「だがなァ、こういう時には流れってモンがある。相手がモンスターを引かなければ勝ち……なんて後ろ向きな状況に置かれている奴が勝つ事は、まずねェようにできてるんだよ!」

 戒斗はそう叫び、勝利の雄叫びに近い笑い声を上げる。
 だが、治輝はそれを聞き、僅かに口元を釣り上げた。

「確かにそうだよな。お天等様はいつだって、前向きな奴の味方だ」
「……へっ、だったら俺の勝ちだな。それとも攻撃をせず待ってみるか、治輝クン?」
「するかよ。行くぞ、レヴァテイン――!」 

 主人の命令を引き金に、レヴァテインはその俊足の速度を持って<ニュードリア>に近寄っていく。
 瞬間移動とも見えるような動きに<ニュードリア>が対応できるはずもなく、漆黒の剣を振り下ろし、その肉に食い込ませ……。
 両断したかと思った、その時。

 バキィィィィィィィン!!
 金属が真っ二つに割れた音が聞こえた。
 その金属とは、レヴァテインの持つ漆黒の剣だ。
 その剣が割れると同時に、硝子が砕かれるような音が響く。
 その音は、レヴァテインが破壊される音だった。

 同時に、レヴァテインの斬撃が真空刃となり、戒斗を切り裂く。
 ドス黒い嗚咽を響かせた戒斗だったが、その顔は愉悦に歪んでいる。

【戒斗LP】2700→1300

「いてェいてェいてェいてェ。いてェが……これが勝利の為っつーなら耐えられる!オレは<ニュードリア>の効果を発動させてもらったぜェ!」

《ニュードリュア/Newdoria》 †

効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1200/守 800
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

「てめェの自慢の剣は折れた!これで俺が次のターンにモンスターを引き当てれば、俺の勝ちだ!」

 戒斗は半ば勝利を確信したような声で、歓喜に身を震わせる。
 だが戒斗のその声を聞いても、治輝の表情は変わらない。
 そのままゆっくりと、囁くように口を動かした。

「お前が破壊した剣は、昔から俺を支えてくれた。大切なエースだ」

 戒斗は目の前の男が何故その言葉を二度言ったのか、理解できなかった。
 治輝はそんな戒斗を知ってか知らずか、ゆっくりと言葉を続けようとして――

 ……砕かれた剣が粉々になり、空中に浮遊し始めた。

 余りの事態に戒斗は目を見開き、その現象から目が離せなくなる。
 その破片は一つ一つは薄い光を放ち、戒斗の場の上空へと舞い上がっていき――

「俺の過去を象徴する剣は……」

 <ドラグニティアームズ・レヴァテイン>
 それは、言葉通り、治輝の過去を象徴する剣。
 磨り減ってしまった過去を剣に込め、その力を発揮する。
 だが、その剣は

「例え壊れたって――今へと!これからへと繋がるんだッ!」

 その形を
 これから新しく治輝自身を
 その夢を後押ししていくであろう、一体のモンスターへと具現する。

<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>
効果モンスター(オリジナルカード)
星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上のドラゴン族モンスターが3体以上リリース、
または3体以上破壊されたターンに手札から特殊召喚できる。
このカードが手札からの特殊召喚に成功した時、このターン破壊された、またはリリースされたドラゴン族モンスターを可能な限り、墓地または除外ゾーンから手札に戻す。
このカードが戦闘を行うダメージステップ時、手札のドラゴン族モンスターを相手に見せる事で発動できる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、見せたカードの種類×1000ポイントアップする。
このカードがフィールドを離れた時、自分は手札を全て捨てる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
自分はモンスターを通常召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができない。
 

「レムナント――!?馬鹿な、ソイツはラビエルと相打ちになったはずじゃねェか!」
「レヴァテインには、今まで使っていなかった最後の効果がある。それは!」

 ――相手のカード効果で破壊された時、装備したドラゴン族モンスターを特殊召喚する効果。
 戒斗がその効果の正体に気付いた時、剣の断片は一つのモンスターを象った。
 先のような、不死鳥の如きその絶大な力は、もう備わっていない。
 その姿も存在を感じるのが難しい、気薄な物だ。
 龍である事すら認識するのも難しい。ただの光の集合体。
 それでもそのモンスターには、治輝のありったけの想いが集っていた。

「受けてみろ戒斗――これが俺の!」
 
 <-蘇生龍-レムナントドラグーン>が、粒状になった光の集合体が
 風を切るような速度で、戒斗に向かって突撃していく。
 戒斗を守るモンスターは、もう存在しない。
 状況を正しく把握した戒斗は驚くのを止め、歯を剥き出しにしてニヤリと笑い、その攻撃を待ち構える
 ――そして
 

「オリジナル、レム・ナントォォォォォォォ!!」

 治輝の叫びと、ほぼ同時。
 その光の集合体は、戒斗の体を貫いた。
 そして、その力を完全に使い果たしたのか。

 次の瞬間
 <-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>は粉々になり、辺りにその光の粒が降り注ぐ。
 その光の粒は、どこか暖かい光を放っていた。

【戒斗LP】1300→0