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遊戯王オリジナル epilogue-09

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【治輝LP2600】 手札1枚   
場:-蘇生龍-レムナント・ドラグーン
伏せカード1枚

【戒斗LP4000】 手札1枚
場:終末の騎士(守備表示) 幻魔皇ラビエル(守備表示)

「このカードはドラゴン族モンスターが三体以上リリースされたターンに、特殊召喚できる!」
「聞いた事のねェ召喚条件――なるほど、それがてめェの!」
 戒斗は目の前に存在する、姿形の定まらないモンスター目の前に冷や汗を一つを流す。
 だが、その表情から笑みは消えない。

「コイツは愛城と、愛城の切り札を倒した……俺の!俺だけの切り札だ!」

<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>
効果モンスター(オリジナルカード)
星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上のドラゴン族モンスターが3体以上リリース、
または3体以上破壊されたターンに手札から特殊召喚できる。
このカードが手札からの特殊召喚に成功した時、このターン破壊された、またはリリースされたドラゴン族モンスターを可能な限り、墓地または除外ゾーンから手札に戻す。
このカードが戦闘を行うダメージステップ時、手札のドラゴン族モンスターを相手に見せる事で発動できる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、見せたカードの種類×1000ポイントアップする。
このカードがフィールドを離れた時、自分は手札を全て捨てる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
自分はモンスターを通常召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができない。

「レムナント・ドラグーンの効果発動!このターンリリースされたドラゴン族を、全て手札に戻す!」

 先程<エレメンタル・バースト>で舞い上がった四つの球体全てが、治輝の手札へと舞い戻る。
 だが、その効果を戒斗は見ずに、心底楽しそうな表情を浮かべた。

「いいねェ……つまりソイツを倒せば、俺は愛城を越えたって事になるわけだァ!」
 戒斗は拳を握り締め、目の前の虚ろな竜を睨みながら口元を釣り上げる。
 未知のカードに対し何の怯えもない戒斗に感嘆を覚えながら、治輝は輝いている四枚のカードを扇状に束ね、戒斗の方へと刺し示した。

「倒せたらな――行くぞ、レム!」
 治輝の言葉に呼応して<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>は甲高い咆哮を上げると、粒子状の翼を広げ飛翔した。
 その翼に寄り添うように、治輝の手札に集いし四つの光もまた、天空へと昇っていく。
 それらが重なった瞬間――蘇生龍の体を形成していた粒子は、激しく燃え盛り始めた。
 その青い炎の勢いは留まる事を知らず、頭上を覆っていた雲を残らず吹き散らす。

「<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>の効果――このカードは、手札のドラゴン族を力に変える事ができる!」
「一種類に付き1000の攻撃力上昇能力。そしてさっき手札に戻しやがったドラゴン族は四枚、つまりソイツの攻撃力は最低でも……」

 ――6200。
 治輝が操る蘇生龍の攻撃力は、幻魔皇が誇るソレを遥かに上回っていた。
 
「てめェがその数値を叩き出す日が来るなんてなァ……どうやら絡め手以外脳がないってわけじゃァないらしい」
「絡め手以外脳が無いと思ってた奴を旅に同伴させようと思ってたのか?ならお前は節穴だよ」
「言うじゃねェか同級生」
「そっちこそな。自慢の攻撃力で越えてやったんだ、もう少し驚いてもいいだろ」
「生憎危機感が顔に出るタイプなんでねェ。確かに手強そうだが、勝てない相手じゃねェよ」

 二人は言葉を投げ返しながら、それを受け取る相手を互いに睨み付ける。
 一見余裕を気取っているが、二人は感覚で分かっていた。

 幻魔皇と、蘇生龍――お互いの切り札を、先に失った方が敗北する、と。

「……行くぜ、戒斗」
 治輝は決闘盤を構え直し、目の前の敵を睨み付ける。
 その視線の先にあるのは、幻魔皇ラビエル。
 かつて苦渋を飲まされた、最強の悪魔。

「来いよ。同級生――」
 戒斗は決闘盤を装着している右の拳を握り直し、目の前の敵を睨み付ける。
 その視線の先にあるのは、時枝治輝。
 かつて敗北を与えられた、最強の相手。

 そして、両者が硬直して数秒が経ち
 オリジナル――と。
 治輝の口が、僅かに動いた。
 その言葉に呼応して、蘇生龍が持つ大きな翼が、光の球体と融合した。 
 集まった残滓は、蘇生龍の後方へと集まり、それぞれが四つの気筒のような物に変化する。
 ジェット機のブースターにも見えるそれは、機械を思わせる部品にも見えた。

 その全てのブースターを最大限に燃やし
 <-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>は、その身を<幻魔皇ラビエル>へと突撃していく。
 
「オリジナル――レムナント!」
 治輝の掛け声と共に、音速を超えた速度で蘇生龍は幻魔皇ラビエルの目の前に到達し――

 ガキィィィィィィン!!
 何故か、金属に弾かれるような音が鳴り響いた。
 その音に驚愕し、治輝は目の前の状況に目を凝らす。

「な……!?」
 すると、そこには『壁』があった。
 <幻魔皇ラビエル>が拳を開いたその先に
 <レムナント・ドラグーン>の攻撃を受け止めるように、薄い壁が出現している――!?

「てめェに良い事を教えてやるよ」
 戒斗は治輝の表情を見て、満足そうに口を釣り上げた。
 それと同時に、その薄い壁に阻まれている蘇生龍目掛けて――
 <幻魔皇ラビエル>の左の拳が放たれる。
 
 
「ボスを倒す為には――まずバリアを破壊しろってなァ!!」

《ネクロ・ガードナー/Necro Gardna》 †

効果モンスター(制限カード)
星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

「<ネクロ・ガードナー>か――!!」

 幻魔皇の前に出現した壁の正体を知った治輝は、小さく舌打ちをする。
 攻撃を無効にされたら、レムナントドラグーンの効果は発動できない。
 そしてその隙に<幻魔皇ラビエル>が
 <-蘇生龍-レムナントドラグーン>を亡き者にしようと
 最強の左の拳を振り下ろす――

「――ッ!レム!」

 治輝の叫びに、こくんと頷いた蘇生龍は攻撃を中断し……。
 その身を逸らし、上空へとバレルロールしながら上昇した。
 <幻魔皇ラビエル>の拳は空を切り、そのまま地面へと直撃する。

「チッ……上手く避けたか」
「<ネクロ・ガードナー>……最初の終末の騎士で送ってたんだな」
「卑怯とでも言う気かァ?てめェが確認しねェのが悪い」
「ごもっともだよ。こんちくしょう」

 治輝が溜め息を吐くと同時に
 <-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>が斜めに体を回転させながら、再びフィールドへと舞い戻る。
 対する<幻魔皇ラビエル>は地面に突き刺さった拳を引き抜き、上空の蘇生龍を睨み付ける。

 二体の切り札同士の戦いは、まだ終わらない。
 治輝はカードを一枚セットし、ターンをエンドした。

【治輝LP2600】 手札4枚   
場:-蘇生龍-レムナント・ドラグーン
伏せカード2枚

【戒斗LP4000】 手札1枚
場:終末の騎士(守備表示) 幻魔皇ラビエル(守備表示)