シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル epilogue-04

【治輝LP4000】 手札5枚   
場:なし

【戒斗LP4000】 手札5枚
場:なし

「へッ、俺の先行かァ!」

 何かを毟るような手付きで、戒斗はカードを勢い良くドローした。
 それを見て、治輝は薄く笑った。

「今度は『勝つのは当然』って言わないんだな?一回負けて慎重になってるんだとしたら、らしくないにも程があるぞ」
「そっちこそ、らしくもなく調子乗ってんじゃねェよ。当たり前の事を何度も繰り返す気はねェだけだ!」
 戒斗は治輝にそう言い放つと、モンスターカードを裏守備で一枚出し、伏せカードをニ枚セットしターンをエンドする。それを見た治輝は、素早くカードをドローした。

「――俺のターン!俺は<調和の宝札>を発動!」
 
《調和(ちょうわ)の宝札(ほうさつ)/Cards of Consonance》 †

通常魔法
手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。

「ドラゴンチューナーを墓地に捨て、カードを二枚ドローする!」
「お得意の戦術かァ。だが、それからどうする?」
「こうする!俺は手札からチューナーモンスター<デブリドラゴン>を召喚!」

デブリ・ドラゴン/Debris Dragon》 †

チューナー(効果モンスター)(準制限カード)
星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

 治輝のその言葉に反応して
 かづなは聞こえるだろういつもの声を聞く為に、耳を傾けた。
 ……が、いつまで経ってもお約束の「わぎゃあ」という声は、聞こえてこない。
 かづながよく見ると召喚された<デブリドラゴン>は足も長く、顔つきも整っていた。
 今まで治輝が使っていた<デブリドラゴン>とは明らかに雰囲気が違う。

「――って、それショップで私から奪ったデブリドラゴンじゃないですかー!?」
「あ、やっぱりわかる?」
「わかります!……この恨みは何処へやれば……」

 頬を若干膨らませたかづなの叫びと共に、無口な<デブリドラゴン>はその効果で、先程<調和の宝札>で墓地に送ったチューナーモンスターを特殊召喚する。

《ドラグニティ-ファランクス/Dragunity Phalanx》 †

チューナー(効果モンスター)
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
このカードがカードの効果によって
装備カード扱いとして装備されている場合に発動する事ができる。
装備されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ファランクスは手を上げなら元気よく場に召喚されたが、呼び出した<デブリドラゴン>を確認するや否や、首を少し傾けた。頭の上にはハテナマークが大量に出現している。
 恐らく、いつもの<デブリドラゴン>とは違う姿だった為、疑問に思っているのだろう。

「……悪いな、これからは慣れてくれ。俺は二体のモンスターをリリースして<ドラゴニック・タクティクス>を発動!」

《ドラゴニック・タクティクス》 †

通常魔法
自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター2体をリリースして発動する。
自分のデッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。

「来い!<タイラント・ドラゴン>!!」

タイラント・ドラゴン/Tyrant Dragon》 †

効果モンスター
星8/炎属性/ドラゴン族/攻2900/守2500
相手フィールドにモンスターが存在する場合、
このカードはバトルフェイズ中にもう1度だけ攻撃する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。
このカードを他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、
そのプレイヤーは自分フィールド上に存在する
ドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。

 暴君の名を冠した竜が、デッキという炎の輪の中心から出現する。
 それを見た戒斗は目を大きく見開き、歯を剥き出しにしてそのモンスターに視線をやった。
「てめーのデッキで見掛けないドラゴンだと思ったら……相も変わらずお得意の速効かァ?伏せカード二枚あるってーのにワンパターンで見苦しいぜぇ!」
「言ってろよ。タイラントドラゴンで伏せモンスターに攻撃――タイラント・バーストォ!!」

 <タイラント・ドラゴン>が吐き出す灼熱の炎が、戒斗の伏せモンスターに襲い掛かる。
 攻撃で明らかになったその伏せモンスターの正体は<キラートマト>だ。
 凄まじい温度の攻撃をその身に受け、こんがりといい色に焼けてしまった。

「――へッ、戦闘破壊された事でキラートマトの効果発動ォ!」

《キラー・トマト/Mystic Tomato》 †

効果モンスター
星4/闇属性/植物族/攻1400/守1100
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を
自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

「デッキから低攻撃力の闇属性モンスター……<終末の騎士>を特殊召喚して効果を発動するぜぇ!」

《終末(しゅうまつ)の騎士(きし)/Armageddon Knight》 †

効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1200
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
自分のデッキから闇属性モンスター1体を選択して墓地に送る事ができる。


「攻撃表示で――だろ?<タイラント・ドラゴン>はモンスターが存在する場合、相手に二回目の攻撃ができる。先制はもらったぞ、戒斗!」
「そう上手く行くわきゃぁねーだろうがァ!オレは速効魔法発動<皆既日食の書>を発動ォ!」
「な……!?」

《皆既日蝕(かいきにっしょく)の書(しょ)/Book of Eclipse》 †

速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て裏側守備表示にする。
このターンのエンドフェイズ時に相手フィールド上に
裏側守備表示で存在するモンスターを全て表側守備表示にし、
その枚数分だけ相手はデッキからカードをドローする。

 治輝が驚愕の表情を浮かべると同時に、辺りが一気に暗くなった。
 いや、景色の一部が『反転した』と言った方が正しいかもしれない。
 その景色に飲み込まれた<終末の騎士>と<タイラント・ドラゴン>は、それぞれ裏側守備表示になってしまった。

「これで攻撃は防いだぜェ?お得意の先制は大失敗って奴だ」
「――くっ、なら俺は<超再生能力>を発動!」

《超再生能力(ちょうさいせいのうりょく)/Super Rejuvenation》 †

速攻魔法
エンドフェイズ時、自分がこのターン中に
手札から捨てた、または生け贄に捧げた
ドラゴン族モンスター1体につき、デッキからカードを1枚ドローする。

「ほぅ?」
「このターンリリース、捨てられたドラゴン族は合計三枚!だが――俺は更に二枚のドラゴン族を捨て<魔法石の採掘>を発動!」

《魔法石(まほうせき)の採掘(さいくつ)/Magical Stone Excavation》 †

通常魔法(準制限カード)
手札を2枚捨てて発動する。
自分の墓地に存在する魔法カードを1枚手札に加える。

「その効果により手札に<ドラグニック・タクティクス>を戻す。これで<超再生能力>の対象となるカードは合計5枚!カードを一枚伏せ――エンドフェイズ、俺はカードを5枚ドローする!」
「……珍しく回収対象が違うカードかと思ったらソレかよ。全く油断も隙もありゃしねェ」

 戒斗がそうぼやいた瞬間。
 暗闇に覆われていた治輝の場に、燃え盛る炎が出現した。
 その炎は<皆既日食の書>の効果で、裏側守備表示になっていた<タイラント・ドラゴン>の物だ。
 効果で表側守備表示へと変更された暴君の竜は、猛る炎で暗闇を吹き飛ばす。

「<皆既日食の書>の効果でタイラントドラゴンは表になり、俺はカードを一枚ドローする!」
「これでてめェの手札は元通り6枚かよ。――てめェって決闘者は、とことんアドバンテージってのを馬鹿にしてる存在だなァ」

 そう言って、戒斗は呆れたような仕草をした。
 だが次の瞬間、戒斗は目を細め、治輝を鋭く睨み付ける。

「だがなァ……」
 戒斗はカードをドローし、終末の騎士を反転召喚させた。
 その効果で、更に闇属性モンスターが一枚墓地に送られる。
 反転召喚でも効果を発動できる<終末の騎士>を生かした戦術に、治輝は軽く舌打ちをした。

「幾らアドバンテージ差があろうが、俺の勝ちは揺るがねぇ」
 戒斗がドローしたカードを場に召喚すると、翼を持った悪魔族が一気にニ体特殊召喚された。
 そのモンスターの正体は

《幻銃士(げんじゅうし)/Phantom Skyblaster》 †

効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1100/守 800
このカードが召喚・反転召喚に成功した時、
自分フィールド上に存在するモンスターの数まで
「銃士トークン」(悪魔族・闇・星4・攻/守500)を特殊召喚する事ができる。
自分のスタンバイフェイズ毎に自分フィールド上に表側表示で存在する
「銃士」と名のついたモンスター1体につき300ポイントダメージを
相手ライフに与える事ができる。

 そのカードの召喚に、治輝は戦慄する。
 まさか、アイツは既に……!?

「要はてめぇの手札が幾らあろうが」
 召喚されたばかりの三体の悪魔が、黒い光の柱へと変貌する。
 治輝の予想を肯定するかのように、その黒い柱から圧倒的な存在感を感じた。 
 それを敏感に感じ取ってしまったかづなは、それを見ただけで無意識に身震いをしてしまう。 

「てめェが持つ、幾つの力を束ねようが」
 黒い光はやがて商店街の殆どを包み込み、天空に届いた光は雲を裂く。
 上空の雲は四散し、それと同時に出現する巨大な城。
 いや、城のように強大な姿と、存在感。 
 
「――攻略できない程の圧倒的な力で、制圧してやりゃいいってなァ!」

 二つの目が光を放つと同時に、そのモンスターは遂に場に君臨した。
 姿が明らかになり、治輝は手に力を込め。かづなは自身の体を抱くように身震いする。 
 
 ――幻魔皇、ラビエル。

 かつて治輝の意識を刈り取り
 かづなに絶対的な恐怖を植え付け
 遂に直接倒す事の出来なかった、最強の敵が
 
 再び、二人の目の前に現れた。

【治輝LP4000】 手札6枚   
場:タイラント・ドラゴン(守備表示)
伏せカード1枚

【戒斗LP4000】 手札2枚
場:終末の騎士 幻魔皇ラビエル
伏せカード1枚