シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル episode-47

《アームズ・エイド/Armory Arm》 †

シンクロ・効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻1800/守1200
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 装具はその役目を果たす為、出現したと同時に赤髪の剣士の腕に装着される。
 剣士は変貌した自らの腕を眺めると、強く拳を握った。
 愛城は興味が無さそうな表情を浮かべ、それを黙って眺めている。
「自身の効果で<アームズ・エイド>を<紅蓮魔闘士>に装備!攻撃力を3100ポイントに上昇させる!」
「3100……ね」
 魔闘士は変貌した右腕で突き刺して置いた自らの剣を手に取ると、伏せモンスターに向かって突進した。
「バトルだ魔闘士。伏せモンスターをやっつけろ!ガントレット・ナッコォ!」
 紅蓮魔闘士はその凄い勢いで剣を持った右手を振りかざし、そのまま柄の部分で殴りつけた。
 裏守備のモンスターが、粉々に破壊される。
 そのモンスターの正体は……<レベル・スティーラー>だった。

「<レベル・スティーラー>!?」
「奇遇よね。全く同じモンスターを採用してるなんて……でも」

【愛城LP】4000→3400

 そう言いながら、モンスターが破壊された余波が愛城に襲い掛かる。
 だが、愛城がそれを気にする様子は全くない。
 髪をさらりと指で整え、痛みを感じている気配は全く感じなかった。
 そして心底呆れた様な表情になった愛城は、純也に語りかける。

「わかってしまうものよね……たった、これだけの事でも」
「……?」

「――貴方がどうしようもない雑魚だっていう事が、これ以上なく伝わって来る」

 ゾワリ、と。
 純也は目の前の相手から圧力のような物を感じた。
 言い様のない恐怖感が、純也に襲い掛かる。
 だが、後ずさるわけにはいかない。
「……ッ、たった一度の攻撃で、知ったような!」
「別に知ったかしてるわけじゃないわよ。結果が全て教えてくれる」
「……結果?」
 はぁ、と溜息を吐き出しながら愛城は言葉を続ける。
 心底純也を、見下すような口調で。

「今の攻撃、貴方は私にもっとダメージを与えられたはずよ」

 その言葉の真意を、純也はすぐに思い当たった。
 確かに攻撃の選択伎として、それを考えなかったわけではない。
 けれど
「<アームズエイド>を装備せずに、二体で殴れば確かにダメージはもっと通せた……でもそれは」
「結果論でしかない。……確かにそうね。でも貴方、このモンスターが<キラー・トマト>のようなリクルーターだとは考えなかったの?」
「え……」

 純也は、突然の質問に戸惑いを覚える。
 そもそもリクルーター相手なら、二体で攻撃するより一体で攻撃して、<アームズ・エイド>の効果を狙った方がダメージは稼げるはずだ。
 そんな純也の心中を知ってか知らずか、愛城は言葉を続けていく。
「一体でリクルーターを殴るという事は、相手に対し『どうぞ好きなモンスターを場に出して貴方のターンを始めてください』って言っているようなものよ。有用なチューナーモンスターを場に残し、次のターンに2体のシンクロモンスターに襲われました……なんて笑い話にもならないわ」
「……」
「事実私の伏せモンスターは<レベル・スティーラー>だったわけだけど、その場合でもどちらかのダイレクトダメージを与える事ができた。――貴方の取った行動は、雑魚以外の何者でもないのよ」

 目の前にいる相手の言っている事は、どうしようもなく正しい。
 けれど、純也の目には、大事な事を見失ってるようにも見えた。

「僕は、自分らしく戦うって決めたんだ」 

 それを教えてくれた治輝先輩。
 そしてその戦い方の理想の姿である、兄さんの姿を思い浮かべる。

「<アームズ・エイド>は、僕の戦士達に装備する為に入れたカード!戦術的に例え間違っていても、これでいいんだ!」
「……よくわかったわ」
 愛城は感情を極力殺すように、純也に向かってその瞳を向ける。
 その目には、明らかに苛立ちのようなものが浮かんでいた。
 そしてたっぷりと憎悪を込めるように、言葉を続ける。

「貴方は、私と戦う『資格』すらないゴミだったようね――その下らない拘り、ボロボロに打ち砕いてあげる」

 その女性とは思えない程に低く発せられた声に、一体どれ程の感情が込められているのか。
 その場にいる人間には、誰も伺い知る事はできなかった。