シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナルS prologue-Last

「くっ、一体何が……?」

 頭を抑えながら、治輝はゆっくりと体を起こそうとする。
 ……半身が、上手く動けない。
 視界は未だにはっきりしない上に金縛りとは運がないなぁ、等と治輝は寝惚けた頭で思う。
 
 とりあえず上半身だけでも体を起こして、頭を動かそう。
 俺は異世界で気弱そうな青年に速効魔法を発動されて、それで――






「さっさと起きろですー!」
「ゴフッ!?」

 突如、謎の掛け声と共に何者かにドロップキックを食らわされた。
 完全に油断した状態からの背後からの攻撃をまともに受けた治輝は、軽く3mは吹っ飛んだ後に、仰向けに盛大に倒れてしまう。
「どふぁ!」
 更に正体不明の誰かは間髪いれずに、ジャンプしながら治輝を上に乗ってきた。地味に痛い。
「いってぇな!いきなり何す――」
 そう言おうとして、治輝は目を丸くした。
 馬乗り状態で上に乗っているのは、十歳前後の少女だったからだ。
「えぇと……誰だ……?」
 治輝は声を搾り出すと、少女はブロンド色のツインテールを揺らしながら、にっこりと笑った。




「リソナの名前はリソナです!リソナ迷子になっちゃったので、ここが何処だか教えて欲しいのです!」





 同時刻。
 いや、時間の概念が既存の世界と同一なのか、それは定かではない。
 暗闇の中、声が響き渡る。

「僕だけの舞台に、やっと役者が揃った」

 安堵、満足、憂い。
 様々な感情を声に含め、青年は感慨深い声を上げる。
 



二つの次元が、一つの『世界』によって、今交わる――――。















遊戯王オリジナルStage 【サイドN】

イメージ 1













「これで始められる。待ち焦がれていた混沌と切望の劇を――!」
 
 青年が微笑むと、彼の目の前に広がっていた暗闇から、幾つもの眼光が浮かび上がる。
 その妖しい光は青年の周りの闇を僅かに照らし、一枚のカードをキラリと輝かせた。