シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナルstage 【EP-03 サイドN】

「――気を取り直して、俺のターン!」

 治輝はドローすると、そのカードを見て満足気な表情を浮かべた。
 逆に神楽屋はその表情を見て、警戒心を強める。

「ハッ。来るか!」
「来るぜ! 俺は<ミンゲイドラゴン>を二体分の生贄にして――」

 次の瞬間、ミンゲイドラゴンが光に包まれ墓地に沈む。
 その光から噴水のように水流が溢れ出し、それら全てが凍りつく。
 だが瞬時に凍ったその水流にはひびが入り、中から青白く美しい龍が飛び出してきた。
「現れろ――青氷の、白夜龍ッ!」

《青氷の白夜龍(ブルーアイス・ホワイトナイツ・ドラゴン)/White Night Dragon》 †

効果モンスター
星8/水属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
このカードを対象にする魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが攻撃対象に選択された時、
自分フィールド上に存在する魔法または罠カード1枚を墓地に送る事で、
このカードに攻撃対象を変更する事ができる。

 神楽屋は突如出現した白夜龍を前にして、冷や汗を流す。
 治輝はバトルフェイズに向け、精神を集中させていく。
「攻撃力3000の上級ドラゴン……!」
「クリスタ――水晶もいいが、氷も負けちゃいないぜ! 俺は<青氷の白夜龍>で<ジェムナイト・クリスタ>に攻撃。ホワイナイツ、ストリーム!」

 白夜龍が吐き出した美しい氷のブレスが、クリスタの周囲を包み込んでいく。
 クリスタはその流れに溶け込むように、ブレスの中でその姿を消してしまった。
 
【神楽屋LP】4000→3550

「ドラゴンデッキは初速が遅いと踏んでいたんだがな。のんびりさせてはくれないか」
「それは使い手によって幾らでも変わってくるぜ。テルさん」
「……テルさんやめろ。すぐにその余裕、取っ払ってやる」

 治輝がエンド宣言をすると、神楽屋はカードを鋭角的な動きでドローした。
 深く被り直した中折れ帽子の奥から、治輝を睨み付ける。

「俺は手札から<ジェムナイト・ガネット>を召喚!」

《ジェムナイト・ガネット/Gem-Knight Garnet》 †

通常モンスター
星4/地属性/炎族/攻1900/守   0
ガーネットの力を宿すジェムナイトの戦士。
炎の鉄拳はあらゆる敵を粉砕するぞ。

 全身を赤く染めた真紅の戦士が、フィールド上に君臨する。
 だが、神楽屋の召喚はまだ終わらない。

「更に伏せカード<蘇りし魂>を発動!」

《蘇(よみがえ)りし魂(たましい)/Soul Resurrection》 †

永続罠
自分の墓地から通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

「その効果で墓地に眠る<ジェムナイト・クリスタ>を守備表示で復活させる!」

《ジェムナイト・クリスタ》 †

通常モンスター
星7/地属性/岩石族/攻2450/守1950
クリスタルパワーを最適化し、戦闘力に変えて戦うジェムナイトの上級戦士。
その高い攻撃力で敵を圧倒するぞ。
しかし、その最適化には限界を感じる事も多く、仲間たちとの結束を大切にしている。

「場に二体のジェムナイトを並べた……?」
 治輝はモンスターの展開に警戒を強めるが、相手の狙いがわからない。
 ジェムナイトの本質は『融合』のはずだ。そして融合は、手札からでも行える。
 チューナーでも入れない限り、わざわざフィールド上に並べる利点がない。
 <蘇りし魂>で蘇生させてきた一体はともかく、わざわざガネットを召喚する意味は……

「ハッ、意味ならある。まぁ見てろ」

 治輝の思考に割り込むように、神楽屋は一枚のカードを発動させた。
 すると、ガネットとクリスタは宝石へと姿を変え、中央に巨大な閃光が現れる。

「魔法カード発動、パーティカル・フュージョンッ!」

《パーティカル・フュージョン》 †

通常魔法
自分フィールドから、融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターを墓地へ送り、
「ジェムナイト」と名のついたその融合モンスターを1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

「二体のジェムナイトを――融合させる!」

 その巨大な閃光の中に、二色の宝石が吸い込まれていく。
 宝石を取り込んだその閃光は、先程とは比べ物にならない程輝きを増していた。
 そして、その輝きの中心に、新たな宝石が誕生する。

 それは、黄水晶と呼ばれる巨大な宝石。
 尚も輝き続ける黄水晶にヒビが入り、中から青いマントを翻した甲冑の騎士が現れる。
 その両腕と手にした剣は溶岩のように赤く輝いており、沸々と熱気を振りまくかのようだった。

融合召喚、ジェムナイト・マディラッ!!」

<ジェムナイト・マディラ>
融合・効果モンスター
星7/地属性/炎族/攻2200/守1950
「ジェムナイト」と名のついたモンスター+炎族モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。
このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで
魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。

「マディラ!? だが、ソイツの攻撃力では!」
「適わないと思うだろ? だが……!」

 神楽屋が不適に笑うと、真紅の剣が先程の黄水晶と同じように輝き始めた。
 それと同時に溶岩のような無骨な剣は、三日月のように鋭く、洗練された刃へと変化していく。

 そして<ジェムナイト・マディラ>の攻撃力は、4650へと上昇していた。
 治輝はそれを見て、驚愕の表情を隠せない。

「4650!? 一体何を――」
「<パーティカルフュージョン>は場に素材が揃って初めて発動できる。確かに使い辛いカードだが……」

《パーティカル・フュージョン》 †

通常魔法
自分フィールドから、融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターを墓地へ送り、
「ジェムナイト」と名のついたその融合モンスターを1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で融合召喚に成功した時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外し、
その融合召喚に使用した「ジェムナイト」と名のついた
融合素材モンスター1体を選択して発動する。
その融合モンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
選択したモンスターの攻撃力分アップする。

 神楽屋は墓地の<パーティカル・フュージョン>を手に取り、治輝に向かって突きつける。
 次の瞬間、そのカードは光と共に消え去り、除外されていった。

「このカードで召喚したモンスターは、素材にしたモンスター一体の攻撃力を加える事ができる!」
「……ッ!」

 その説明で、治輝は全てを理解した。
 あの真紅の剣の輝きは、水晶のように透き通る光を放っている。
 つまり、マディラの攻撃力にクリスタの力が備わっているのだ。

「バトルフェイズ。その氷を溶かしてやるぜ――マディラ!」
「……くっ、白夜龍!」

 二人が各々のモンスターを見上げた瞬間。
 <ジェムナイト・マディラ>は、トン、と自然なステップを踏み、地面を蹴った。
 突如爆発的な推進力が生まれ、鎧に包まれた体が<青氷の白夜龍>に向けて一気に加速する。
 白夜龍に、氷のブレスを吐く時間すら与えない、俊敏な動き。
 剣を真横に構えたマディラは、真紅に輝くその剣を真横に振り抜く。

「食らいな――パイロ、スラッシュ!!」

 白夜龍の氷の体に、ミシリと音が鳴る。
 すると、マディラの剣に宿った輝きが少しずつ収まっていき
 真紅の剣に宿った光が、完全に消えた瞬間。
 ――――青氷の白夜龍は、粉々に四散した。










【治輝LP】4000→2350

【治輝LP2350】 手札4枚   
場:
伏せカード1枚

【神楽屋LP3550】 手札3枚
場:ジェムナイト・マディラ
蘇り魂