シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王オリジナルstage 【EP-17 サイドN】

「ジェムナイトガネットでダイレクトアタック――!」

【影LP】8900→7000

 <ジェムナイト・ガネット>が炎の拳を化け物に叩き込み、僅かに影が身じろぐ。
 場には神楽屋が操る2体のモンスターのみ。
 ライフこそ劣っていても、状況は圧倒的に優位だった。 


【治輝LP3600】 手札3枚   
場:
伏せカード1枚
【神楽屋LP3000】 手札2枚
場:ジェムナイトルビーズ(攻撃済) ジェムナイト・ガネット
伏せカード1枚


【影LP7000】 手札3枚
場:なし
フューチャー・グロウ(攻1600UP)

「俺はこれでターンエンドだ」
 神楽屋は中折れ帽子を深く被り直し、ターンをエンドする。
 それを見た化け物は、神楽屋の召喚した融合モンスター<ジェムナイト・ルビーズ>を見つめる。

「それがキサマのチカラか。確かに凄まじいモノだな、純然たるモノよ」
「ハッ、もう敗者の弁か? ならさっさとその子を解放して――」

 それを聞いた化け物は、影の中から表情のような物を光で浮かび上がらせる。
 そして怪しく、ケタケタと笑い 




「ダカラコソ慢心し驕った結果、何かをキズツケル」




 その一言で、場の空気を凍らせた。
 治輝はその感覚だけは感じる事ができても、その言葉の意味がわからない。
 化け物の妄言なのか、それとも。

「守り切れなかったキサマに、間違えをオカシたキサマに、ナニカを守る資格などナイ。チカラを奮う資格などナイ」

 影の化け物が妙な言葉を喋り始めてから、神楽屋の様子が明らかにおかしくなる。
 飄々としていたいつもの彼とはまるで違う。何処か無表情で、何か遠いものを見てるような――

「テルさん――!? どうしたんだ、テルさん!」
「……」

 返事がない。
 治輝は敵である化け物に向き直り、血管が千切れる程の怒気を込め、叫ぶ。

「おまえ、テルさんに何をしたんだ……!」
「煩わしいな歪みし者よ。キサマに用はナイ」
「な……」
「ワタシは1枚カードを伏せ、ターンを終了する。キサマは好きに攻撃スルガイイ」

 そう言うと、化け物は本当に特にアクションを起こさず、ターンをエンドした。
 ナメやがって――
 治輝の中に黒い感情が渦巻くが、ここは堪える。
 
「……俺のターン、ドラグニティ・ブランディストックを召喚し墓地に送る事で――」

 その言葉と同時に旋風が巻き起こり、その中心部に小さな木が出現した。
 黄色みを帯びた緑色の葉は1組ずつ対をなし、鮮やかに輝いてその存在を主張している。
 だが次の瞬間、その鮮やかな葉は四散し、木は鋭利な刃物へと姿を変えていき……。
 1本の、剣となった。

「手札から<ドラグニティアームズ・ミスティル>を特殊召喚!」

《ドラグニティアームズ-ミスティル/Dragunity Arma Mistletainn》 †

効果モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2100/守1500
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが手札から召喚・特殊召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。

 四散した葉は一つに集まっていき、巨大なモンスターへと変貌していく。
 強固な鱗は黄色みを帯び、剣を手にしたそのモンスターは、その剣と同じように鋭い咆哮を上げた。

「効果で墓地のブランディストックを装備し、そのままミスティルを除外。現れろ――」

 次の瞬間、ミスティルが場から消えた。
 コンクリートから無数の枝が出現し、辺り一面を覆い尽くす。
 枝が侵食していく勢いで、辺りにある建物が小刻みに震え出す。
 次第に細かい枝は一つになる事で大きくなり、その中心から閃光が零れ出る。
 その輝きは剣の形を象り、輝きの中から出現した巨大な竜がそれを握った。

《ドラグニティアームズ-レヴァテイン/Dragunity Arma Leyvaten》 †

効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、
手札または墓地から特殊召喚する事ができる。
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の
自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、
装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

「効果でブランディストックを装備し、バトルフェイズ! レヴァテインでダイレクトアタック――ブランディ・ウィンザー!」

 激情に任せる事はしない。それで勝てる相手ではない。
 治輝はそう思いつつも、握る拳の力を抑える事はできない。
 主人の感情を汲み取ったのか、斧のように力強い剣撃が影の化け物を襲う。

【影LP】7000→4400

 たまらず苦悶の表情を浮かべたたらを踏む化け物だが、すぐに元の姿勢に戻る。
 この機を逃す手はない。
 
「もう一撃――!」
 ザクリ、と。
 レヴァテインが放つ渾身の突きが影の身を貫き、それを引き抜く。
 細身の剣に影が纏わりつくが、一振りするとそれは四散した。

【影LP】4400→1800

 ダメージは十分に与える事ができたので、治輝はターンを終了する。
 だが、次に化け物が発したのは苦悶の声ではない。

「――ドウヤラ、本当にキサマにはキコエナイようだな」
「聞こえない……?」

 影の声は、先程からハッキリと聞こえている。
 だが、そういった単純な事というわけでもなさそうだ。

「マァイイ、我のターン――!」
 怪しい影は治輝から興味を失ったのか、カードを1枚ドローした。


【治輝LP3600】 手札3枚   
場:ドラグニティアームズ・レヴァテイン
伏せカード1枚 ドラグニティ・ブランディストック(装備)
【神楽屋LP3000】 手札2枚
場:ジェムナイト・ルビーズ ジェムナイト・ガネット
伏せカード1枚


【影LP1800】 手札3枚
場:伏せカード1枚 フューチャー・グロウ(攻1600UP)