遊戯王オリジナルstage 【EP-18 サイドN】
「迷ってるんだよね」
声が聞こえる。
これはそう、ミカドの声だ。
俺が正義の味方をやっていたせいで、その報復でミカドは歩けなくなった。
声が聞こえる。
これはそう、ミカドの声だ。
俺が正義の味方をやっていたせいで、その報復でミカドは歩けなくなった。
「ボク聞いてたよ? 『間違えちゃいけねぇんだ』だっけ――やっぱりテル兄ちゃんはカッコいいね!」
いや、違う。
ミカドがこんな所にいるはずがない。
「でも、それって少しおかしいよ。だって――」
ミカドがこんな所にいるはずがない。
「でも、それって少しおかしいよ。だって――」
ミカドは満面の笑顔を浮かべて
「テル兄ちゃん。もう……間違えちゃってるもん!」
こんな事を、言うわけがない。
――本当に?
【治輝LP3600】 手札3枚 場:ドラグニティアームズ・レヴァテイン 伏せカード1枚 ドラグニティ・ブランディストック(装備) 【神楽屋LP3000】 手札2枚 場:ジェムナイト・ルビーズ ジェムナイト・ガネット 伏せカード1枚 【影LP1800】 手札3枚 場:伏せカード1枚 フューチャー・グロウ(攻1600UP)
墓地融合カード。
治輝は掲げられたそのカードを見て、戦慄する。
あの手のカードから出てくるモンスターは、大抵強力なモンスターと相場が決まっている。
治輝は掲げられたそのカードを見て、戦慄する。
あの手のカードから出てくるモンスターは、大抵強力なモンスターと相場が決まっている。
――強力?
あの、異形の悪魔よりも?
あの、異形の悪魔よりも?
「墓地にソンザイする<メンタルスフィア・デーモン>と<サイコウォールド>のタマシイを融合
――」
――」
素材が『あの』悪魔だとすれば、それよりも強いモンスターなのは確定だ。
そして永続魔法<フューチャー・グロウ>が存在する以上、攻撃力も恐らく――
そんな治輝の逡巡を断ち切るように、場に紫色の空間が広がっていく。
その巨大な空間の中で、二つの妖しい目が光輝く。
「現れろ――アルティメット・サイキッカー!」
そして永続魔法<フューチャー・グロウ>が存在する以上、攻撃力も恐らく――
そんな治輝の逡巡を断ち切るように、場に紫色の空間が広がっていく。
その巨大な空間の中で、二つの妖しい目が光輝く。
「現れろ――アルティメット・サイキッカー!」
獣のような獰猛さと
悪魔のような狡猾さ
その二つを掛け合わせたかのような、この世の物とは思えない程残忍な表情を浮かべ
究極の名を冠する化け物が、今降臨した。
悪魔のような狡猾さ
その二つを掛け合わせたかのような、この世の物とは思えない程残忍な表情を浮かべ
究極の名を冠する化け物が、今降臨した。
《アルティメットサイキッカー/Ultimate Axon Kicker》 † 融合・効果モンスター 星10/光属性/サイキック族/攻2900/守1700 サイキック族シンクロモンスター+サイキック族モンスター このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。 このカードはカードの効果では破壊されない。 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、 その守備力を攻撃力が超えていれば、 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。 また、このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、 破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。
治輝はその威圧感を目の当たりにし、僅かに後退する。
骸骨のような顔はおぞましく、まるで狂気の塊のような化け物だ。
骸骨のような顔はおぞましく、まるで狂気の塊のような化け物だ。
「フューチャーグロウの効果で攻撃力は4500――究極の名にフワサシイ数値だ」
「何を……」
「ダガまだ終わりデハナイ。カードを1枚フセ、ブレインハザードをハツドウ!」
「何を……」
「ダガまだ終わりデハナイ。カードを1枚フセ、ブレインハザードをハツドウ!」
《ブレインハザード/Brain Hazard》 † 永続罠 ゲームから除外されている自分のサイキック族モンスター1体を選択し、 自分フィールド上に特殊召喚する。 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
「再び<メンタルスフィア・デーモン>を特殊ショウカン!」
「ッ……」
「ッ……」
異形の悪魔が刺すような咆哮と共に再び墓地から姿を現し、更に状況は悪化した。
攻撃力4000以上のモンスターが2体。それに強力な耐性もある。
もはや治輝の切り札である<エレメンタル・バースト>等のカードを用いても、何も解決できない。
治輝の絶望を感じ取ったのか、影の化け物は不適に笑う。
攻撃力4000以上のモンスターが2体。それに強力な耐性もある。
もはや治輝の切り札である<エレメンタル・バースト>等のカードを用いても、何も解決できない。
治輝の絶望を感じ取ったのか、影の化け物は不適に笑う。
「バトル。メンタルスフィアはレヴァテイン。アルティメットサイキッカーはルビーズを攻撃」
指示を聞き、龍剣士と真紅の槍騎士にユラリと視線を向ける二体の化け物。
酷く緩慢な動きだったが、それ故に言い知れぬ恐怖が染み渡る。
そして
酷く緩慢な動きだったが、それ故に言い知れぬ恐怖が染み渡る。
そして
「レジグ・ヴォルケイノ。レジグ――」
マジェンタ、と。
そう薄く影が呟くと同時に、目を焼くほどの菫色の極光が、辺りを包んだ。
そう薄く影が呟くと同時に、目を焼くほどの菫色の極光が、辺りを包んだ。
<ドラグニティ・レヴァテイン>と<ジェムナイト・ルビーズ>は
その光を受けると突然苦しみ出し、まるで内部に爆弾を仕掛けられたかのように、内側から爆発を起こした。
その衝撃は、当然プレイヤーをも襲う。
その光を受けると突然苦しみ出し、まるで内部に爆弾を仕掛けられたかのように、内側から爆発を起こした。
その衝撃は、当然プレイヤーをも襲う。
「な――!?」
「……」
「……」
【治輝LP】3600→1900
【神楽屋LP】3000→1000
【神楽屋LP】3000→1000
突然の出来事で反応が遅れ、治輝と神楽屋は爆発の衝撃で吹き飛ばされる。
治輝は何とか受身を取れたが、地面に付いた手の甲が大きく擦り切れ、痛みに顔を歪ませる。
神楽屋は未だ茫然自失したままで、そのまま無抵抗にコンクリートの壁に叩き付けられた。
「――ッ、テルさん!?」
叩き付けられた衝撃で白煙が上がり、治輝は神楽屋に向かって叫ぶ。
だが、返事は無い。
ほぼ無抵抗な状態であの一撃を食らったのだ。恐らくタダでは済まない。
だが、返事は無い。
ほぼ無抵抗な状態であの一撃を食らったのだ。恐らくタダでは済まない。
「フン、クタバッタか……あの程度の感応でこのザマとはな」
「感応……? そんなんで勝って、おまえは嬉しいのか!?」
「感応……? そんなんで勝って、おまえは嬉しいのか!?」
治輝はかつての戎斗との決闘を思い返し、顔を歪める。
『あれ』と似たような事を対戦相手に引き起こせるなら、相手に勝つ事などたやすいだろう。
だが
『あれ』と似たような事を対戦相手に引き起こせるなら、相手に勝つ事などたやすいだろう。
だが
「何か勘違いをシテイルようだな。我にとって、勝利ナド何の価値も無い」
「なんだと……?」
「なんだと……?」
これほどの強さを持っておきながら、勝つ事に価値は無い?
相手の言葉の意味がわからず、治輝が二の句を告げられずにいると
相手の言葉の意味がわからず、治輝が二の句を告げられずにいると
「我とあのお方の目的はタダ一つ『奪う事』だけダ――!」
影から浮き出る赤い目が、より色濃く輝き出した。
【治輝LP1900】 手札3枚 場: 伏せカード1枚 【神楽屋LP1000】 手札2枚 場:ジェムナイト・ガネット 伏せカード1枚 【影LP1800】 手札2枚 場:アルティメットサイキッカー(攻4500) メンタルスフィアデーモン(攻4300) ブレインハザード(メンタルスフィア対象) フューチャー・グロウ(攻1600UP) 伏せカード1枚