遊戯王オリジナルstage 【EP-20 サイドN】
「突破口――面白い。この状況を打破デキルと言うのなら、ヤッテみせろ!」
「ハッ。いくぜ……俺のターン!」
「ハッ。いくぜ……俺のターン!」
チャキリと決闘盤の構えると、神楽屋はカードをドローした。
その動作は力強く、その視線は揺るがない。
治輝はそんな神楽屋の様子を見て、ある種の覚悟の様な物を感じ取っていた。
その動作は力強く、その視線は揺るがない。
治輝はそんな神楽屋の様子を見て、ある種の覚悟の様な物を感じ取っていた。
「墓地の<ジェムナイト・オブシディア>を除外する事で<ジェムナイト・フュージョン>を手札に戻し――そのまま発動!」
神楽屋が叫ぶと、場に存在する赤の力――<ジェムナイト・ガネット>
手札に存在する青の力――<ジェムナイト・サフィア>が混ざり合い、輝く藍玉が出現する。
それを中心にして場に出現するのは<ルビーズ>とは対極を成す、蒼の騎士。
手札に存在する青の力――<ジェムナイト・サフィア>が混ざり合い、輝く藍玉が出現する。
それを中心にして場に出現するのは<ルビーズ>とは対極を成す、蒼の騎士。
「頼むぜ――融合召喚! <ジェムナイト・アクアマリナ>!!」
《ジェムナイト・アクアマリナ/Gem-Knight Aquamarine》 † 融合・効果モンスター 星6/地属性/水族/攻1400/守2600 「ジェムナイト・サフィア」+「ジェムナイト」と名のついたモンスター このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ エクストラデッキから特殊召喚する事ができる。 このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。 このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、 相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。
守備表示で召喚された<ジェムナイト・アクアマリナ>は右腕に装備した円形の盾で、守りの姿勢を取る。
それを見た影は落胆とも嘲笑とも取れぬ表情を浮かべる。
それを見た影は落胆とも嘲笑とも取れぬ表情を浮かべる。
「この状況で守備表示とは興醒めもイイトコロ。打破すると言ったのはタダの虚勢だったヨウダナ」
「ハッ、勝手に言ってろ。俺はカードを伏せ、ターンエンド!」
「ハッ、勝手に言ってろ。俺はカードを伏せ、ターンエンド!」
【治輝LP1900】 手札3枚 場: 伏せカード1枚 【神楽屋LP1000】 手札1枚 場:ジェムナイト・アクアマリナ(守備表示) 伏せカード2枚 【影LP】1800→6900 手札3枚 場:アルティメットサイキッカー(攻4500) メンタルスフィアデーモン(攻撃 ブレインハザード(メンタルスフィア対象) フューチャー・グロウ(攻1600UP)
「我のターン――バトルフェイズ!」
――来る!
治輝は、躊躇いもなく攻撃に移行した影を見て、戦慄した。
アイツは今の布陣に絶対の信頼を置いている。
この速攻は、その証明だと。
治輝は、躊躇いもなく攻撃に移行した影を見て、戦慄した。
アイツは今の布陣に絶対の信頼を置いている。
この速攻は、その証明だと。
「<アルティメット・サイキッカー>は貫通能力を有してイル。これでオワリだ」
「来てみろよ究極。てめぇに風穴を空けてやるよ」
「――<アルティメット・サイキッカー>で<ジェムナイト・アクアマリナ>に攻撃――レジグ・マジェンタァ!」
言動と行動が一致しないプレイングをする神楽屋に業を煮やしたのか。
影の化け物は怒気を込めた声を上げ、藍玉の騎士に攻撃を仕掛ける。
神楽屋のライフは1000
これが通れば貫通ダメージで、確実に負ける。
だが、神楽屋は不適に笑い、1枚のカードを発動した。
「来てみろよ究極。てめぇに風穴を空けてやるよ」
「――<アルティメット・サイキッカー>で<ジェムナイト・アクアマリナ>に攻撃――レジグ・マジェンタァ!」
言動と行動が一致しないプレイングをする神楽屋に業を煮やしたのか。
影の化け物は怒気を込めた声を上げ、藍玉の騎士に攻撃を仕掛ける。
神楽屋のライフは1000
これが通れば貫通ダメージで、確実に負ける。
だが、神楽屋は不適に笑い、1枚のカードを発動した。
「罠カード発動!」
《デストラクト・ポーション/Destruct Potion》 † 通常罠 自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。 選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの 攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。
【神楽屋LP】1000→2400
先程まで構えていた盾は粉々に散らばり、雪の様に周囲に降り注ぐ。
影はそれを見て、高笑いを上げた。
影はそれを見て、高笑いを上げた。
「何をスルカと思えば――この期にオヨンデ自身のライフの為にモンスターを犠牲にするトハ! 2体のダレイクトアタックで貴様らはオワリだ!」
「ソイツはどうかな――ご自慢の究極をよく見てみろよ」
「ソイツはどうかな――ご自慢の究極をよく見てみろよ」
刹那。
周囲に雪の様に降り注いでた藍の破片が、意思を持ったかのように動き始めた。
高速で移動する小さな破片を避ける術など無い。
<アルティメット・サイキッカー>は無数に散らばった破片に囲まれ、咆哮を上げる。
周囲に雪の様に降り注いでた藍の破片が、意思を持ったかのように動き始めた。
高速で移動する小さな破片を避ける術など無い。
<アルティメット・サイキッカー>は無数に散らばった破片に囲まれ、咆哮を上げる。
「<ジェムナイト・アクアマリナ>は墓地に行ってこそ真価を発揮する。そしてその効果はバウンス! 貴様の究極はデッキに戻ってもらうぜ――!」
「グォォォォ!?」
「グォォォォ!?」
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、 相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。
治輝は神楽屋のプレイングを見て、感嘆よりも驚きを隠せなかった。
確かに、これで<アルティメット・サイキッカー>は倒せるかもしれない。
だが、残った<メンタルスフィア・デーモン>はどうする?
恐らく究極を失った<アルティメット・サイキッカー>は、怒りに任せ神楽屋を襲うだろう。
それを守る手段を彼は持っているのだろうか、と。
心配気な視線を向けていると、神楽屋はそれに気付き――だが視線は前を向いたまま、口を開く。
「……守る手段はないぜ。これで終わりだ」
「な――」
確かに、これで<アルティメット・サイキッカー>は倒せるかもしれない。
だが、残った<メンタルスフィア・デーモン>はどうする?
恐らく究極を失った<アルティメット・サイキッカー>は、怒りに任せ神楽屋を襲うだろう。
それを守る手段を彼は持っているのだろうか、と。
心配気な視線を向けていると、神楽屋はそれに気付き――だが視線は前を向いたまま、口を開く。
「……守る手段はないぜ。これで終わりだ」
「な――」
絶句した。
そして治輝は思い知った。
神楽屋から感じられていたある種の覚悟は、気のせいではなかったと。
「俺の手札はもう殆ど残っちゃいない。だがオマエにはある。そしてオマエには、助けなきゃならない奴もいる」
そう言って、神楽屋は柱に括り付けられている七水に視線を向ける。
七水は今、何を思って見ているのだろうか。
それは当然神楽屋にも、治輝にすらわからない。
治輝が顔を伏せていると、神楽屋は「ハッ」と不適に笑い、中折れ帽子を外し、手に取った。
そして治輝は思い知った。
神楽屋から感じられていたある種の覚悟は、気のせいではなかったと。
「俺の手札はもう殆ど残っちゃいない。だがオマエにはある。そしてオマエには、助けなきゃならない奴もいる」
そう言って、神楽屋は柱に括り付けられている七水に視線を向ける。
七水は今、何を思って見ているのだろうか。
それは当然神楽屋にも、治輝にすらわからない。
治輝が顔を伏せていると、神楽屋は「ハッ」と不適に笑い、中折れ帽子を外し、手に取った。
「全部聞こえてたぜ。 あの子は自分から望んだ結果、あそこにいるんだってな」
「……」
「俺はあの子の事は何も知らない、ただの部外者だ。だけどな」
「……」
「俺はあの子の事は何も知らない、ただの部外者だ。だけどな」
神楽屋は少し間を置いて、小さい声で言った。
「本当に、そうなのか?」
治輝は一瞬、何を言われたのかわからなかった。
呆然としてしまった治輝に、神楽屋は溜め息を出し、少し笑う。
呆然としてしまった治輝に、神楽屋は溜め息を出し、少し笑う。
「――え?」
「聞いてるのはこっちだ。本当にあの子は、そう思ってるのか?」
「聞いてるのはこっちだ。本当にあの子は、そう思ってるのか?」
神楽屋の言葉が何を指しているのかわからず、治輝は困惑する。
さっきの七水が嘘を付いてるようには、とても見えなかったからだ。
「あの子が自ら望んで捕まった。だがあの子の目的は『捕まる』事じゃない――他に理由があるはずだ。違うか?」
さっきの七水が嘘を付いてるようには、とても見えなかったからだ。
「あの子が自ら望んで捕まった。だがあの子の目的は『捕まる』事じゃない――他に理由があるはずだ。違うか?」
神楽屋に言われ治輝はその意味を考え、ハッとした。
七水は力を奪われる事を望み、その為なら生を捨てても構わない――そんな悲壮な覚悟を治輝は感じた。
そしてそれは多分、事実なのだろう。
だがそれは着地点に過ぎない。
七水は力を失いたいと心から思っている。願っている。
それは、何の為に?
七水は力を奪われる事を望み、その為なら生を捨てても構わない――そんな悲壮な覚悟を治輝は感じた。
そしてそれは多分、事実なのだろう。
だがそれは着地点に過ぎない。
七水は力を失いたいと心から思っている。願っている。
それは、何の為に?
「……周りの人を、傷付けてしまうから」
言った答えに対し神楽屋は小さく笑うと、被っていた中折れ帽子を治輝に被せた。
そして藍の欠片に包まれた<アルティメット・サイキッカー>を見やる。
しばらくすれば、あのモンスターは場から消える。
そして、次に狙われるのは――
そして藍の欠片に包まれた<アルティメット・サイキッカー>を見やる。
しばらくすれば、あのモンスターは場から消える。
そして、次に狙われるのは――
「……テルさん」
「そんな顔すんなって。自分が助けられなかったから、おまえは助けろ――そういうちっぽけな、俺の我侭さ」
「そんな顔すんなって。自分が助けられなかったから、おまえは助けろ――そういうちっぽけな、俺の我侭さ」
神楽屋は、自分の身を守る事を考えていなかった。
治輝のデッキに、攻撃力4000を超えるモンスターを戦闘破壊するモンスターは入っていない。
先程の決闘の様子からそう考えた神楽屋は、『全ての破壊効果が通用しない』という、最強の耐性を持ったモンスターを退かせ……治輝に賭ける事だけを、狙っていた。
必要以上の挑発も、最後に自分を倒させる――ただそれだけの為に。
「さぁ終いにしようぜ究極――! アクアマリナの、効果発動!」
治輝のデッキに、攻撃力4000を超えるモンスターを戦闘破壊するモンスターは入っていない。
先程の決闘の様子からそう考えた神楽屋は、『全ての破壊効果が通用しない』という、最強の耐性を持ったモンスターを退かせ……治輝に賭ける事だけを、狙っていた。
必要以上の挑発も、最後に自分を倒させる――ただそれだけの為に。
「さぁ終いにしようぜ究極――! アクアマリナの、効果発動!」