遊戯王オリジナルstage 【EP-24 サイドN】
【治輝LP900】 手札2枚 場:裁きの龍 ブリザード・ドラゴン 【神楽屋LP2400】 手札1枚 場:なし 【影LP2100】 手札2枚 場:伏せカード
「さぁ終わりにするぜ――俺のターン!」
神楽屋はデッキに手をかけ、墓地と相手の場を見渡す。
モンスターは存在せず、伏せカードが1枚のみ。状況は圧倒的にこちらが優位だ。
だがあのカードが強力な罠カードだった場合――これを覆される恐れはある。
しかしだからと言って攻撃を躊躇っていたら、再び先程のように強力なモンスターを呼ばれてしまうかもしれない。
モンスターは存在せず、伏せカードが1枚のみ。状況は圧倒的にこちらが優位だ。
だがあのカードが強力な罠カードだった場合――これを覆される恐れはある。
しかしだからと言って攻撃を躊躇っていたら、再び先程のように強力なモンスターを呼ばれてしまうかもしれない。
(――倒すなら、今だ)
何であれ攻撃できる状況なら、仕掛けるべきだ。
そう思い、神楽屋はカードを――弧を描く様にドローする。
すると
そう思い、神楽屋はカードを――弧を描く様にドローする。
すると
「……ッ!?」
言葉にならないような声を上げ、神楽屋の表情が変わる。
七水はそれに反応し、瞳を潤ませたまま、空から神楽屋の手札を覗き――絶望した。
七水はそれに反応し、瞳を潤ませたまま、空から神楽屋の手札を覗き――絶望した。
《悪魂邪苦止(おたまじゃくし)/T.A.D.P.O.L.E.》 † 効果モンスター 星1/水属性/水族/攻 0/守 0 自分フィールド上に存在するこのカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、 自分のデッキから「悪魂邪苦止」を手札に加える事ができる。 その後デッキをシャッフルする。
神楽屋のデッキに入っているはずのないカード。
それは間違いなく、七水のデッキに入っていたカードだった。
恐らく地面に散らばっていたデッキの一部が、何かの間違いで彼のデッキに混入してしまったのだろう。
それは間違いなく、七水のデッキに入っていたカードだった。
恐らく地面に散らばっていたデッキの一部が、何かの間違いで彼のデッキに混入してしまったのだろう。
「私のせいで――」
七水の目尻に涙が貯まって行く。
こんな危険に巻き込んだあげく、重要な場面で足を引っ張ってしまうなんて。
相手を倒しきれるかもしれない場面で、これは致命的だ。
相手は次のターン、何を仕掛けてくるかわからない。
神楽屋は不機嫌そうな顔をして、斜め上にいる七水に振り返る。
こんな危険に巻き込んだあげく、重要な場面で足を引っ張ってしまうなんて。
相手を倒しきれるかもしれない場面で、これは致命的だ。
相手は次のターン、何を仕掛けてくるかわからない。
神楽屋は不機嫌そうな顔をして、斜め上にいる七水に振り返る。
「――これ、お前のカードか?」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
「そうか……」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
「そうか……」
謝って許される事だとは思わなかった。でも、そうしなくてはいられなかった。
そんな七水に対して、神楽屋は「ハッ」と呟き
そんな七水に対して、神楽屋は「ハッ」と呟き
「七水とか言ったか。礼を言うぜ――!」
「……え?」
「……え?」
そのまま、不適に笑った。
神楽屋は治輝に視線を向け、治輝は何かを察したのかそれに頷く。
治輝は被っていた帽子を脱ぎ、神楽屋に投げた。
片手でキャッチし、手馴れた手つきで帽子を被り、そのまま笑いながらカードを手に取る。
「俺は<悪魂邪苦止>を召喚!」
神楽屋は治輝に視線を向け、治輝は何かを察したのかそれに頷く。
治輝は被っていた帽子を脱ぎ、神楽屋に投げた。
片手でキャッチし、手馴れた手つきで帽子を被り、そのまま笑いながらカードを手に取る。
「俺は<悪魂邪苦止>を召喚!」
《悪魂邪苦止(おたまじゃくし)/T.A.D.P.O.L.E.》 † 効果モンスター 星1/水属性/水族/攻 0/守 0 自分フィールド上に存在するこのカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、 自分のデッキから「悪魂邪苦止」を手札に加える事ができる。 その後デッキをシャッフルする。
「更に<黙する死者>を発動!」
《黙(もく)する死者(ししゃ)/Silent Doom》 † 通常魔法 自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。 選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターは フィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。
影の嘲笑を受け流し、神楽屋は七水に叫ぶ。
視線は敵を見つめたまま、空に届くような声を張り上げる。
視線は敵を見つめたまま、空に届くような声を張り上げる。
「力がいらないとか言ってたな。だったら――俺の『力』を貸してやる」
「え……?」
「悪いが返品も拒否も不可だ。 大人しく受け取りな――!」
「え……?」
「悪いが返品も拒否も不可だ。 大人しく受け取りな――!」
神楽屋の叫びに呼応するように、墓地の中から1枚のカードが飛び出してきた。
それは光となり、神楽屋の手札に収まる。
それは光となり、神楽屋の手札に収まる。
《ジェムナイト・フュージョン/Gem-Knight Fusion》 † 通常魔法 手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって 決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、 「ジェムナイト」と名のついた融合モンスター1体を 融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。 また、このカードが墓地に存在する場合、 自分の墓地に存在する「ジェムナイト」と名のついた モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを手札に加える。
墓地の鉱石が除外という形で消滅していく。
だが、それは勝つ為の犠牲ではない。
新たな輝きを作る為の、未来への架け橋。
だが、それは勝つ為の犠牲ではない。
新たな輝きを作る為の、未来への架け橋。
「バカな、キサマの手札は0。融合できる<ジェムナイト>は1体しかいないハズ!」
「ハッ<ジェムナイト>が<ジェムナイト>としか融合できないとでも思ってたのか――? <ジェムナイト>の真価は、あらゆる種族と『力』を合わす事ができる事!」
「ハッ<ジェムナイト>が<ジェムナイト>としか融合できないとでも思ってたのか――? <ジェムナイト>の真価は、あらゆる種族と『力』を合わす事ができる事!」
悪魂邪苦止が空色の光へと変化し、宙に浮かんだ。
その光が蒼の鉱石を包み込み、新たな輝きへと変化させる。
次の瞬間
輝きは四散し、欠片が地面に降り注ぐ。――やがて積もった欠片が、1人の騎士を具現させた。
その光が蒼の鉱石を包み込み、新たな輝きへと変化させる。
次の瞬間
輝きは四散し、欠片が地面に降り注ぐ。――やがて積もった欠片が、1人の騎士を具現させた。
吸い込まれるような藍色の鎧。
透き通るような美しい盾と、細身の剣。
そして、海のように深い青のマント。
透き通るような美しい盾と、細身の剣。
そして、海のように深い青のマント。
「これがその力、融合だ! 行くぞ――ジェムナイト、アメジスッ!」
《ジェムナイト・アメジス》 † 融合・効果モンスター 星7/地属性/水族/攻1950/守2450 「ジェムナイト」と名のついたモンスター+水族モンスター このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。 このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、 フィールド上にセットされた魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。
水晶の騎士が、フィールドへ降臨した。
影の化け物は驚愕したが、その攻撃力を見て表情を歪める。
影の化け物は驚愕したが、その攻撃力を見て表情を歪める。
「我のライフは2100。どうやらその『力』では我を倒すにはイタラナイようだな!」
「……」
「異なる者同士が交わったチカラナド所詮はソレが限界。キサマラは――」
「しっかり見てな。七水」
「……」
「異なる者同士が交わったチカラナド所詮はソレが限界。キサマラは――」
「しっかり見てな。七水」
影の化け物を遮るように、神楽屋は言う。
七水は、改めて周りを見渡した。
裁きを司る白銀の龍が見下ろす場に、治輝が従える氷の竜。
そして、二つの水が重なり合った事で生まれた――水晶の騎士。
七水は、改めて周りを見渡した。
裁きを司る白銀の龍が見下ろす場に、治輝が従える氷の竜。
そして、二つの水が重なり合った事で生まれた――水晶の騎士。
「――うん!」
「いい返事だ。行くぞ、ジェムナイト・アメジスで攻撃――!」
「いい返事だ。行くぞ、ジェムナイト・アメジスで攻撃――!」
七水の頷きと、神楽屋の攻撃宣言が重なる。
武器を構え、水のように滑らかな動きで敵に接近していく<ジェムナイト・アメジス>
水晶の騎士の美しい鎧はそれぞれの表情をその身に映し、映った者の想いを背負う。
影は警戒し、水晶の騎士の攻撃を待ち構え――
「レディアンス――レイピア!」
武器を構え、水のように滑らかな動きで敵に接近していく<ジェムナイト・アメジス>
水晶の騎士の美しい鎧はそれぞれの表情をその身に映し、映った者の想いを背負う。
影は警戒し、水晶の騎士の攻撃を待ち構え――
「レディアンス――レイピア!」
――ガキィィィン!
甲高い音が、辺りに響き渡った。
甲高い音が、辺りに響き渡った。
「グ……グゴォォォォォォ!」
影の化け物に、確かに攻撃は当たった。
細身の剣は確かにその身を貫いていて、影は苦悶の表情を浮かべる。
だが、その真なる部分には届かない。
神楽屋と七水がどれだけ願おうと、その剣は後僅かな距離を進まない。
細身の剣は確かにその身を貫いていて、影は苦悶の表情を浮かべる。
だが、その真なる部分には届かない。
神楽屋と七水がどれだけ願おうと、その剣は後僅かな距離を進まない。
「――ッ!」
その時
<裁きの龍>が、言葉にならないような、重々しい咆哮を上げた。
その咆哮は大地を震わせ、まるで突風が起きたかのようにその場に居た者全てを震撼させる。
そして、次の瞬間――
<裁きの龍>が、言葉にならないような、重々しい咆哮を上げた。
その咆哮は大地を震わせ、まるで突風が起きたかのようにその場に居た者全てを震撼させる。
そして、次の瞬間――
アメジスの持っていた細身の剣の、形状が変わっていく。
その剣を覆っていた氷が大きくなり、粉々に砕けた。
中から現れたのは
その剣を覆っていた氷が大きくなり、粉々に砕けた。
中から現れたのは
漆黒の大剣――レヴァテイン。
「ナ――!?」
「……何が起こってるか、知りたいか?」
「……何が起こってるか、知りたいか?」
驚愕した影に対し、口元を歪ませて笑ったのは、時枝治輝だった。
視線を向けられた治輝は<裁きの龍>を自慢気に見上げる。
視線を向けられた治輝は<裁きの龍>を自慢気に見上げる。
「コイツの効果のお陰さ。墓地に送ったカードの中に、罠カードがあった」
「罠カードだと――」
「和訳だと『受け継ぐ』って意味らしいぜ?」
「罠カードだと――」
「和訳だと『受け継ぐ』って意味らしいぜ?」
そう言って治輝は、墓地の一番上のカードを指し示す。
《スキル・サクセサー/Skill Successor》 通常罠 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。 このターンのエンドフェイズ時まで、 選択したモンスターの攻撃力は400ポイントアップする。 また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の 攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。 この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動する事ができず、 自分のターンのみ発動する事ができる。
「バ、バカな――」
影の化け物がうめくと、アメジスの持った剣が少しずつ前へと進んでいく。
今のアメジスの攻撃力は2750
そして影のライフは2100
影は嗚咽のような声を交えながら、霞んでいく視界を焼き付ける。
今のアメジスの攻撃力は2750
そして影のライフは2100
影は嗚咽のような声を交えながら、霞んでいく視界を焼き付ける。
「このような間違ったチカラ、我は――!」
「随分力を危険視してるみたいだが……誰かを信じたり、誰かを頼ったり――そういう『繋がり』も、きっと力なんだ。だから……」
「随分力を危険視してるみたいだが……誰かを信じたり、誰かを頼ったり――そういう『繋がり』も、きっと力なんだ。だから……」
そう言って治輝は少し間を置き、薄れていく影を睨み付ける。
「その繋がりが間違いかはどうかは、俺達自身が決める――!」
次の瞬間。
アメジスが突き立てた剣が影を――完全に貫いた。
言葉にならない断末魔の声が響き。
影の化け物は、粉々に四散した。
アメジスが突き立てた剣が影を――完全に貫いた。
言葉にならない断末魔の声が響き。
影の化け物は、粉々に四散した。
【影LP】2100→0