オリジナルstage 【EP-15 サイドM】
【愛城LP4000】 手札2枚 場:極神聖帝オーディン(攻7000) 神の居城ヴァルハラ 伏せカード 【ティトLP4000】 手札1枚 場:伏せモンスター1枚 リミットリバース(発動済) 伏せカード1枚 【トカゲ頭LP4000】 手札0枚 場:毒蛇王ヴェノミノン(攻4000) 伏せカード2枚 リミット・リバース(対象ヴェノミノン)
「わたしの、ターン」
ティトはゆったりと仕草で、カードをドローした。
目の前のモンスターの攻撃力は4000
――でも、倒せない相手じゃない
目の前のモンスターの攻撃力は4000
――でも、倒せない相手じゃない
「わたしは氷結界の輸送部隊を反転召喚。効果を発動するよ」
《氷結界(ひょうけっかい)の輸送部隊(ゆそうぶたい)/Caravan of the Ice Barrier》 † 効果モンスター 星1/水属性/海竜族/攻 500/守 200 自分の墓地に存在する「氷結界」と名のついた モンスター2体を選択して発動する。 選択したモンスターをデッキに戻し、 お互いにデッキからカードを1枚ドローする。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「<氷結界の武士>と<氷結界の御庭番>をデッキに戻して、お互いカードを1枚ドロー」
「……」
「トカゲさんもだよ」
「あ、あぁ……」
「……」
「トカゲさんもだよ」
「あ、あぁ……」
液状トカゲは戸惑いながらカードを1枚ドローする。
それはそうだろう。
この行為は不利な立場の相手に、逆転の機会を与えているようなものだ。
だが
それはそうだろう。
この行為は不利な立場の相手に、逆転の機会を与えているようなものだ。
だが
「手札から<氷結界の翼竜>を召喚」
ティトと同じ灰色の瞳を輝かせるワイバーンが、鮮やかな水色の双翼を羽ばたかせ舞い上がる。
<氷結界の翼竜> 効果モンスター(オリジナルカード) 星4/水属性/ドラゴン族/攻1800/守1000 このカードが召喚に成功した時、 自分の墓地に存在する攻撃力500以下の「氷結界」と名のついたモンスター1体を 特殊召喚することができる。 この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。 このカードをシンクロ素材とする場合、 水属性モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
「その効果で、墓地から<氷結界の守護陣>を特殊召喚」
《氷結界(ひょうけっかい)の守護陣(しゅごじん)/Defender of the Ice Barrier》 † チューナー(効果モンスター) 星3/水属性/水族/攻 200/守1600 自分フィールド上にこのカード以外の 「氷結界」と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、 このカードの守備力以上の攻撃力を持つ 相手モンスターは攻撃宣言をする事ができない。
<極寒の氷像> 通常魔法(オリジナルカード) 自分フィールド上に氷像トークン(水族・水・星1・攻/守0)を2体守備表示で特殊召喚する このトークンは、「氷結界」と名のついたモンスター以外のアドバンス召喚のためにリリースすることはできない このトークンはシンクロ召喚には使用できない
一気に5体のモンスターが、場へと並ぶ。
その中には先程グングニールを呼び出した、チューナーの姿。
トカゲ頭は、除去系の効果を持ったシンクロモンスターを警戒する。
もし呼び出されたら、効果を使う直前に破壊するのが得策だ。
その中には先程グングニールを呼び出した、チューナーの姿。
トカゲ頭は、除去系の効果を持ったシンクロモンスターを警戒する。
もし呼び出されたら、効果を使う直前に破壊するのが得策だ。
「全てを滅する絶氷の刃。その氷霧にて、神威の力を解放せよ――」
風が、氷の欠片を運ぶ。
散っていった<氷結界>が残した氷の欠片を。
それらはティトの前方へと集い、巨大な像を形成する。
<氷結界の龍グングニール>の赤い光とは違う。
鮮烈な、蒼。
遥か深海に存在する、蒼だ。
例え光が届かなくても、その存在を誇示し続ける蒼。
その蒼は、暗い井戸の中であっても色褪せない。
散っていった<氷結界>が残した氷の欠片を。
それらはティトの前方へと集い、巨大な像を形成する。
<氷結界の龍グングニール>の赤い光とは違う。
鮮烈な、蒼。
遥か深海に存在する、蒼だ。
例え光が届かなくても、その存在を誇示し続ける蒼。
その蒼は、暗い井戸の中であっても色褪せない。
空気が塗り替えられる。
汚れ無き白が支配していた戦場を我がものにするために、蒼が走る。
背に生えた6枚の氷の羽が、フィールドを覆い尽くすように広がった。
汚れ無き白が支配していた戦場を我がものにするために、蒼が走る。
背に生えた6枚の氷の羽が、フィールドを覆い尽くすように広がった。
<氷結界の龍デュランダル> シンクロ・効果モンスター(オリジナルカード) 星8/水属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 「氷結界」と名のついたチューナー+チューナー以外の水属性モンスター2体以上 このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカード以外の フィールド上に存在するすべての表側表示カードに、アイスカウンターを1つずつ乗せる。 1ターンに1度、フィールド上に存在するアイスカウンターを任意の数だけ取り除くことができる。 このカードの攻撃力は、このターンのエンドフェイズ時まで、この効果で取り除いたアイスカウンターの数×500ポイントアップする。 このカードはカードの効果では破壊されない。
「これは――!?」
「<氷結界の龍デュランダル>がシンクロ召喚に成功した時、フィールド上に存在する全ての表側表示カードにアイスカウンターを1つずつ乗せる。そしてその効果にチェーンして、リミットリバースを発動するよ」
「<氷結界の龍デュランダル>がシンクロ召喚に成功した時、フィールド上に存在する全ての表側表示カードにアイスカウンターを1つずつ乗せる。そしてその効果にチェーンして、リミットリバースを発動するよ」
トカゲ頭の驚愕の言葉を待たず
ティトが呼び出した<氷結界の龍デュランダル>の翼が、わずかに動く。
風が生まれ、それに乗った冷たい空気がフィールドを包み込む。
井戸の底が凍ってしまうかのような、凄まじい冷気。
ティトが呼び出した<氷結界の龍デュランダル>の翼が、わずかに動く。
風が生まれ、それに乗った冷たい空気がフィールドを包み込む。
井戸の底が凍ってしまうかのような、凄まじい冷気。
それはティトの場に存在する2体の氷像トークン。
リミットリバース2枚に、その内の1枚が蘇生した豪雨の結界像をもテキストが読めない程凍りつかせる。
続けて愛城の場の<神の居城-ヴァルハラ> <極神聖帝オーディン>も完全に凍りついた。
そして当然、相手であるトカゲ頭が操る<毒蛇王ヴェノミノン><リミットリバース>も例外ではない。
その様を眺め、愛城はため息を尽く。
リミットリバース2枚に、その内の1枚が蘇生した豪雨の結界像をもテキストが読めない程凍りつかせる。
続けて愛城の場の<神の居城-ヴァルハラ> <極神聖帝オーディン>も完全に凍りついた。
そして当然、相手であるトカゲ頭が操る<毒蛇王ヴェノミノン><リミットリバース>も例外ではない。
その様を眺め、愛城はため息を尽く。
「……はた迷惑な龍ね。人の城を凍らせたんだから、このターンで決めなさいよ」
「――うん。デュランダルの効果発動。フィールド上のアイスカウンター9つを取り除き、エンドフェイズまで攻撃力を4500ポイントアップさせる」
「――うん。デュランダルの効果発動。フィールド上のアイスカウンター9つを取り除き、エンドフェイズまで攻撃力を4500ポイントアップさせる」
氷の龍の雄叫びに合わせ、場の全てに覆っていた氷が砕け散る。
それはまるで、視界が硝子のように粉々になったかのような、危うい美しさを感じさせた。
それはまるで、視界が硝子のように粉々になったかのような、危うい美しさを感じさせた。
「フロスティ・ニルヴァーナ!」
粉々になった氷の屑は、巨竜が持つ6枚の翼に吸い込まれ、その翼はさらに体積を増す。
この効果により、<氷結界の龍デュランダル>の攻撃力は7500ポイントまで上昇した。
液体トカゲ頭はその攻撃力に恐れを無し、愛城はその龍の効果に薄く感嘆する。
ティトはそんな愛城を、横目で見つめた。
愛城が、それに気付く。
この効果により、<氷結界の龍デュランダル>の攻撃力は7500ポイントまで上昇した。
液体トカゲ頭はその攻撃力に恐れを無し、愛城はその龍の効果に薄く感嘆する。
ティトはそんな愛城を、横目で見つめた。
愛城が、それに気付く。
得意気に胸を張るティトに、愛城は絶句した。
本来の愛城であったなら、手が付けられない事態になっただろう。
だが何故だろうか、不思議と愛城はその様子に、毒気を抜かれてしまった。
本来の愛城であったなら、手が付けられない事態になっただろう。
だが何故だろうか、不思議と愛城はその様子に、毒気を抜かれてしまった。
「――罠と魔法の耐性がある分、こちらの方が上よ。調子に乗らないで」
「それはそうかも。バトルフェイズに入るね」
「それはそうかも。バトルフェイズに入るね」
「<氷結界の龍デュランダル>で<毒蛇王ヴェノミノン>を攻撃」
氷の巨竜が、大きく息を吸う。
瞬間。
フィールドを覆うように広がっていた6枚の翼が、一斉に四散した。
それはまるで、満天の星空。
無数の氷の結晶が輝き、極光をもたらす。
結晶は、巨竜が開いた口へと収束し――
瞬間。
フィールドを覆うように広がっていた6枚の翼が、一斉に四散した。
それはまるで、満天の星空。
無数の氷の結晶が輝き、極光をもたらす。
結晶は、巨竜が開いた口へと収束し――
氷の渦となって、放たれる。
爬虫類の王は、それを受け止めんとマントを翻す。
だが、無理だ。
攻撃力が違い過ぎる。
トカゲ頭は戦術を切り替え『切り札』を発動する。
爬虫類の王は、それを受け止めんとマントを翻す。
だが、無理だ。
攻撃力が違い過ぎる。
トカゲ頭は戦術を切り替え『切り札』を発動する。
「罠カード発動、毒蛇の供……」
「だめだよ。トカゲさん」
「……?」
「だめだよ。トカゲさん」
「……?」
だがそこで、ティトの制止が入った。
自身の氷龍を守る為に行った言葉かとも思ったが、違う。
トカゲ頭は、この銀髪の少女がそういう戦法を取らない事を、既に理解している。
自身の氷龍を守る為に行った言葉かとも思ったが、違う。
トカゲ頭は、この銀髪の少女がそういう戦法を取らない事を、既に理解している。
「そのカード……毒蛇の供物――だよね」
《毒蛇(どくじゃ)の供物(くもつ)/Offering to the Snake Deity》 † 通常罠 自分フィールド上に表側表示で存在する爬虫類族モンスター1体を破壊し、 相手フィールド上に存在するカード2枚を破壊する。
直後
氷の渦は、毒蛇の王を貫いた。
そしてその余波は、トカゲ頭へと届く
氷の渦は、毒蛇の王を貫いた。
そしてその余波は、トカゲ頭へと届く
【トカゲ頭LP】4000→500
だが、終わらない。
文字通り首の皮一枚残っているトカゲ頭は、それでも決闘を諦めない。
文字通り首の皮一枚残っているトカゲ頭は、それでも決闘を諦めない。
「――まだです! ヴェノミノンの効果発動。墓地の爬虫類を除外する事で、再び墓地から舞い戻る!」
「だめだよ。トカゲさん」
「諦めるわけにはいきません。このターンを凌げばデュランダルは攻撃力が下がり、3500となったヴェノミノンでも倒す事が可能! そして爬虫類をドローすればオーディンを<毒蛇の供物>で破壊する事もできる!」
「だめだよ。トカゲさん」
「諦めるわけにはいきません。このターンを凌げばデュランダルは攻撃力が下がり、3500となったヴェノミノンでも倒す事が可能! そして爬虫類をドローすればオーディンを<毒蛇の供物>で破壊する事もできる!」
「豪雨の結界像の効果があるから――もう、ヴェノミノンは戻って来れないよ」
「な……?!」
「な……?!」
《豪雨(ごうう)の結界像(けっかいぞう)/Barrier Statue of the Torrent》 † 効果モンスター 星4/水属性/水族/攻1000/守1000 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 水属性モンスター以外の特殊召喚はできない。
井戸の中央から水飛沫を上げて、ヴェノミノンが復活しようと試みる。
だが、その水飛沫諸共凍ってしまい、毒蛇の王の蘇生は阻止される。
このカードの存在に気付けなかったのは、デュランダルが放ったアイスカウンターのせいだろう。
テキストすら読めない程の氷結を、利用された。
だが、その水飛沫諸共凍ってしまい、毒蛇の王の蘇生は阻止される。
このカードの存在に気付けなかったのは、デュランダルが放ったアイスカウンターのせいだろう。
テキストすら読めない程の氷結を、利用された。
だが、違う。
重ねて言うが、トカゲ頭はこの銀髪の少女がそういう戦法を取らない事を、既に直感で理解している。
狙ってやった事でも、計算されていた事でも無い。
重ねて言うが、トカゲ頭はこの銀髪の少女がそういう戦法を取らない事を、既に直感で理解している。
狙ってやった事でも、計算されていた事でも無い。
これは、天然だ……ッ!
「サレンダーして、トカゲさん。もう勝負はついたよ」
「ああ――私の、負けだ……」
「ああ――私の、負けだ……」
散々計略を尽くした液状トカゲは、心から理解してしまった。
――この少女には、勝てないと。
――この少女には、勝てないと。
【液状トカゲ頭LP】500→サレンダー