シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル×stage=03

■変則タッグデュエルルール
□フィールド・墓地はシングル戦と同じく個別だが、以下の事項は行うことができる。
・自チームのモンスターをリリース、シンクロ素材にすること。
・「自分フィールド上の~」という記述のあるカード効果を、自チームのモンスターを対象に発動すること。
・自チームの伏せカードは、通常魔法・通常罠に限り、伏せたプレイヤー以外のプレイヤーでも発動可能。
・自チームのプレイヤーへの直接攻撃を、自分のモンスターでかばうこと。
□全てのプレイヤーが最初のターンを終えるまで、攻撃を行うことはできない。
□ターンは、治輝→輝王→治輝→創志→治輝……の順で処理する。
□ライフは共通制で、お互いのライフは8000 
□エキストラデッキのカードは味方の物を使う事も可能とする。

「俺のターン、ドロー」
 治輝はカードをドローし、合計6枚になった手札を確認する。
 輝王は 「2人同時に相手をしてもらう」 と言ったが、砂神との決闘と同じく、この決闘で有利なのは1人側だ。
 決闘には積み重ねをする事で初めて可能になるコンボや切り札が存在し、それが鍵を握る事も多い。
 その"積み重ね"を、1人側はターンが多く回ってくる為、円滑に進める事ができる。
「モンスターを1枚セットし、ターンエンド」
「なら行かせてもらうぞ――ドロー!」
 特に輝王は、その事実を重要視していた。
 強敵だったが、砂神に未熟な点――付け入る隙は十分にあった。
 だが、目の前の相手にそんなものは期待できない。
 ミラーフォースの存在を看過し、尚且つ自身の切り札の布石へと利用し、<邪神ドレッドルート>を倒すまでに至った男。
 味方にすれば頼もしいが、それが今は敵として立ち塞がる。
「カードを2枚セットし、モンスターを守備表示でセットする。ターンエンドだ」
 ――カードの出し惜しみは敗北に繋がる。
 そう判断した輝王は、カードを2枚セットし、ターンエンドを宣言した。

【治輝LP】8000 手札5枚
場:裏守備モンスター

【輝王】 手札3枚
場:裏守備モンスター
伏せカード2枚
【創志】 手札5枚
場:なし

【輝志LP】8000

 治輝にターンが回り、無言でカードをドローをする。
 攻撃が可能になるのは、次の治輝のターンからだ。
 攻撃ができない以上、それまでの間に自身のモンスターを晒す事の意義は少ない。
 初見の相手は勿論、見知った相手に敵対する際も、自身の保有してるモンスターの存在を明らかにしないのが得策なのだ。
 理由の一つが、単純な攻撃力。
 最初のターン。攻守1800のモンスターを攻撃表示で召喚したとする。それが一番攻撃力の高いモンスターだからだ。
 次の相手のターン――それを見た相手は何を考えるか。
 手札で最強のモンスターが1700だとしても、魔法罠の補助無しで召喚しようとは思わない。
 単純な攻撃力勝負では、1800のモンスターに一方的に戦闘破壊されてしまうからだ。
 だが裏守備表示でそのモンスターをセットすれば、話は変わってくる。
 相手はそのモンスターの正体がわからない為、攻撃力の高い1700のモンスターを召喚してくる可能性が出てくる。
 そうすれば守備も1800のモンスターは破壊されず、返しのターンに攻撃表示に変更し、そのモンスターを撃破する事が可能になる。そのモンスターが効果モンスターだとしても、その特徴や弱点等の情報を相手に与えずに済む。
 だからこそ、攻撃のできない状態でモンスターを晒す事に意義は少ない。
 そして、治輝はそのセオリーを熟知していた。
 このターン、治輝は攻撃ができない。
 だからこそ

「――ミンゲイドラゴンを2体分の生贄としてリリース」

《ミンゲイドラゴン/Totem Dragon》 †
効果モンスター
星2/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200
ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、
このモンスター1体で2体分のリリースとする事ができる。
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「現れろ――<タイラント・ドラゴン>!」
 治輝は手札に存在する上級龍を"召喚"した。

タイラント・ドラゴン/Tyrant Dragon》 †
効果モンスター
星8/炎属性/ドラゴン族/攻2900/守2500
相手フィールド上にモンスターが存在する場合、
このカードはバトルフェイズ中にもう1度だけ攻撃する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。
このカードを他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、
そのプレイヤーは自分フィールド上に存在する
ドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。

 周囲の全てを瞠目させる程の咆哮を発したのは、現代よりも神話の時代に適した風貌をした龍の姿。
 その古くも重々しい姿に相応しい強靭な翼をはためかせ、フィールドへと君臨する。
「――いきなり攻撃力2900かよ!?」
「手加減はしない。俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
「……」
 創志は驚愕し、治輝は相変わらずの無表情で声を紡ぐ。
 だが、輝王は違和感を覚える。
(何故――タイラントドラゴンを場に出した?)
 攻撃可能な次のターンに出せば奇襲をかける事ができるはず。
 戦術ミス――これは有り得ないと言ってもいいだろう。
 先程の決闘を見る限り、時枝治輝はそういった類の隙が存在する決闘者ではない。
 だが、別の面からその事項を推察すれば、可能性は出てくる。
 それは、先程の時枝治輝の言葉。
(手加減――もし時枝が、自分を倒す事を望んでいたとしたら)
 その場合、時枝治輝は完全に正気を失っているわけではない事になる。
 暴走している人間に、手加減等という器用な事ができるはずがない。
「俺のターン、ドロー!」
 いつの間にか治輝はターンを終了させ、皆本創志のターンへと移り変わっていた。
 創志は手札から間髪入れずに2枚のカードを選び取り、その2枚をセットする。
「ここは守るしかないな……モンスターを裏守備表示でセット! 更にカードを1枚セットして――」
 エンドを宣言するであろう創志の言葉を聞くと同時に、輝王はハッとなり創志を振り返る。
 だが、遅い。

「待て皆本、これは――!」
「――ターンエンドだ!」

 一瞬送れて、創志のエンド宣言が確かに廃墟に響き渡る。
 間髪入れずに、治輝は新たなカードをデッキから引き抜いた。

【治輝LP】8000 手札5枚
場:タイラント・ドラゴン
伏せカード1枚

【輝王】 手札3枚
場:裏守備モンスター
伏せカード2枚
【創志】 手札4枚
場:裏守備モンスター
伏せカード1枚

【輝志LP】8000