シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル×stage=09

 引いたカードが悪かったわけではない。
 その効果は優秀で、確かにそれは、創志が求めていたカードの中の1枚だ。


ジャンク・エレメント
速攻魔法

 自分フィールド上に「エレメント・トークン」(機械族・風・星1・攻/守0)
「エレメント・トークン」(機械族・火・星1・攻/守0)
「エレメント・トークン」(機械族・水・星1・攻/守0)
 を1体ずつ守備表示で特殊召喚する。
このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできず、機械族以外のシンクロ召喚に使用できない。

 このカードと手札の<思い出のブランコ>を使用し<ジェネクス・コントローラー>を蘇生すれば、上級ジェネクスシンクロ召喚する事が可能になる。
 そのカードとは――<A・ジェネクス・トライアーム>

《A・ジェネクス・トライアーム/Genex Ally Triarm》 †
シンクロ・効果モンスター
星6/闇属性/機械族/攻2400/守1600
「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードのシンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの属性によって
以下の効果を1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動する事ができる。
●風属性:相手の手札をランダムに1枚墓地へ送る。
●水属性:フィールド上に存在する魔法または罠カード1枚を破壊する。
●闇属性:フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスター1体を破壊し、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 <ジャンク・エレメント>と組み合わせ呼ぶ事ができれば、上記2つの効果が使用可能になる。
 だがその優秀な効果も<ダークストーム・ドラゴン>を倒すには至らない。
(何か……何か手はねぇのか!?)
 創志は心中で叫びを上げるが、彼はジェネクス使いとしては1流の決闘者だ。
 だからこそわかる。<ジャンク・エレメント>で現状呼び出せるジェネクスシンクロは<Aジェネクストライアーム>だけなのだと。
 創志は自身の無力さに歯噛みするような表情を浮かべ――
 次の瞬間。その表情が一転した。

「ジェネクスシンクロ……そうか! 俺は<ジャンク・エレメント>を発動! 3色のトークンを特殊召喚!」

ジャンク・エレメント
速攻魔法

 自分フィールド上に「エレメント・トークン」(機械族・風・星1・攻/守0)
「エレメント・トークン」(機械族・火・星1・攻/守0)
「エレメント・トークン」(機械族・水・星1・攻/守0)
 を1体ずつ守備表示で特殊召喚する。
このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできず、機械族以外のシンクロ召喚に使用できない。

 3色の機械の球体が創志の目の前に現れ、風船のように浮かぶ。
 同時に創志は流れるように、次に使うべきカードを選定。
 自分の進むべき道が見えた今、躊躇する必要は無い。

「更に伏せカードを1枚伏せ、<黙する死者>を発動! <ジェネクス・コントローラー>を特殊召喚するぜ!」

<黙する死者> †
通常魔法
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは
フィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。

《ジェネクス・コントローラー/Genex Controller》 †
チューナー(通常モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。
様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。

「何を――?」
 輝王は彼の戦術を心得てるからこそ、隣の青年を見やる。
「ジェネクスシンクロモンスターだけなら、可能性はなかった。でも――!」
 光の輪となった<ジェネクスコントローラー>が、目の前の球体の1つを包み込む。
 創志が愛用するデッキは、自身を象徴する<ジェネクス>のデッキ。
 だが、今から呼び出すモンスターは、違う。

「右手が駄目でも左手で!」

 創志は今までの決闘を、戦いを――一人で戦い抜いて来たわけではない。
 誰かの、仲間の存在が加わり、彼は初めて皆本創志と成り得る。
 そんな彼が召喚したのは、新たなる仲間から託された、新たなる力。

「それでも駄目なら、両手を突き出す! シンクロ召喚――アームズ・エイド!」

<アームズ・エイド>
シンクロ・効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻1800/守1200
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

「そのカードは……!」
「驚くのはまだ早いぜ、更に俺は罠カード<蘇りし魂>を発動! <ジェネクス・コントローラー>を蘇生させる!」

<蘇りし魂>
永続罠
自分の墓地から通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 再び出現するのは、プラスの形をした機械の小人。
 ジェネクスだけでは開けなかった扉を開かんと、銀色の手甲が眩い光に包まれる。

「残された結晶が、数多の力を呼び起こす!」

 線画が彩られていくかのように、銀色の手甲から緑線が伸びていく。
 その線は足を描き、左手を象り、頭部を創り出す。
 
シンクロ召喚! 駆けろ! <A・ジェネクス・アクセル>!」 
 
 創志の言葉に呼応し、線の中心部であるボディが輝き出す。
 その輝きの色は、純粋な銀。
 線でしか無かった箇所はその輝きと同じ色へと変革し、一つの機械として生まれ変わる。

A・ジェネクス・アクセル/Genex Ally Axel》 †
シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻2600/守2000
「ジェネクス」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、手札を1枚捨てる事で、
自分の墓地に存在するレベル4以下の機械族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで倍になり、
相手プレイヤーに直接攻撃する事はできず、
自分のエンドフェイズ時にゲームから除外される。

 銀色の閃光が、フィールドを駆け抜ける。
 数瞬遅れて、車輪が地面を滑る音が響き――その余りの速度に、治輝は瞠目した。
 だが、驚く暇は与えない。
「<A・ジェネクス・アクセル>の効果発動! 手札を1枚捨て――墓地にいる攻撃力を2倍にしたアームズエイドを蘇生させ、アクセルに装備する!」
「な……!」
 輝王はそのプレイングを見て、創志を見やる。
 攻撃力を2倍に昇華させた<アームズ・エイド>の攻撃力は3600。ダークストームを上回っている。
 そして相手に伏せカードがある以上、わざわざ装備効果を発動し、攻撃力を一点に集中させる意義は少ない。
 仮に1体が迎撃されたとしても、残る1体を場に残す事ができるからだ。
「……確かに2体で殴った方が、リスクは抑えられるかもな」
「ならば――」
「だけどな、輝王」
 創志は対峙する治輝と、その奥にいる砂神に視線を向ける。
 そして目の前に君臨した<A・ジェネクス・アクセル>が装備した、銀色の手甲を見る。
「俺は、これで戦いたいんだ」
 純也の力が無ければ、<アームズ・エイド>が無ければ――このモンスターが場に出現する事は無かった。
 だからこそ、創志は声を上げる。
「――砂神! 確かにおまえはムカつく奴だけど、一つだけ感謝するぜ!」
「……何?」
「治輝や純也――かづな達と、お前は会わせてくれた。お前が居なかったら、会えなかった!」
「馬鹿が、俺は貴様達の力を……」
「だからこの決闘は勝つ! ムカつく恩人を殺してお終いじゃ――気分が悪いからな!」
「……恩人だと? この俺を?」
 呆気に取られたような顔をする砂神に意も介さず、創志は自らのモンスターに指令を下す。
 目の前の暗雲を、晴らす為に。
「<ダークストーム・ドラゴン>に<A・ジェネクス・アクセル>で攻撃!」
「……ッ!」
 治輝は来るであろう衝撃に、構える。
 <アームズエイド>を装備したモンスターの攻撃力は1000ポイントUPする。
 つまり<Aジェネクス・アクセル>の攻撃力は3600
 <ダーク・ストーム・ドラゴン>の攻撃力を、上回った。

「ブリッツ――ドライブ・ナッコォ!」

 創志の声を受け<Aジェネクス・アクセル>が地面から解き放たれ――
 機械兵は、銀色の閃光と化す。
 勢いを乗せ放つのは、渾身の右ストレート。
 その速度は音速をも超え、その拳は<ダーク・ストーム・ドラゴン>の纏う暗雲を切り裂く。
 途端に生まれる、猛烈な衝撃波。
 衝撃波はその周りにある闇を取り払い、現界できなくなった<ダークストーム・ドラゴン>は、光の屑と化した。

【治輝LP】8000 手札4枚
場:ダークストーム・ドラゴン(戦闘破壊)
伏せカード1枚 アドバンスド・フォース

【輝王】 手札2枚
場:AOJカタストル
エレメント・チェンジ(光属性を指定) 伏せカード1枚 
【創志】 手札0枚
場:Aジェネクス・アクセル
伏せカード1枚 蘇りし魂(使用済) アームズ・エイド(装備対象Aジェネクスアクセル)

【輝王&創志LP】4100