シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル×stage=11

 お前は間違えるな、時枝。

 そう自分に言ったのは、誰だったか。
 そして今の自分を見て、彼はどう思うだろうか。

「……でも、憧れるのは、きっと自由だ」

 キチンと別れの言葉も言えなかった。共に戦った戦友に。
 その、いつか見た戦い方に、憧れを抱いた。
 それは、二つの力を重ねる力。
 目の前にいる創志と同じように、大きなプラスを生み出す力。
 自らの抱える闇に負けず、それを使役し続ける魂の力。

 ――人はその力の名を、融合と呼ぶ。


「今こそ発動しろ――"龍の鏡"!」


 それは治輝が人生で初めて使用した――
 彼なりの、融合の力だった。







遊戯王オリジナル×stage=11








 それは、果たして1つの生命体と呼称するべき存在なのだろうか。
 黄金と黄土の狭間を漂うな色彩の胴体から伸びているのは、首だ。
 だが、1本ではない。
 5本もの首が無造作に生えたその有り様は、異様そのものだ。
 その色も均一の物ではなく、それぞれ違った色を有している。
 
 このモンスターは、治輝がこことは異なる世界で手に入れた物。
 しかし、それを使う気にはならなかった。
 融合と自分は、相容れないものだと思っていた。
 それを変えたのは、帽子を被った1人の男。
 その男の戦い方への、一種の憧れ。
 例えその有り様が歪な物であっても
 5つの個が鬩ぎ合う1体の龍が、今ここに君臨する。

「今こそ――"いつか"を連ねる幻想と成せ! 融合召喚――ファイブ・ゴッド・ドラゴン!」

<F・G・D>
融合・効果モンスター
星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000
ドラゴン族モンスター×5
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードは闇・地・水・炎・風属性モンスターとの戦闘では破壊されない。

 その連なりは、決して美しい物ではないかもしれない。
 だがそれでも、その想いだけでは本物であるのだと。
 5つの固体の集合体は、鋭い雄叫びを上げる。
「決闘を見ろ……か。遠回しな言い方しやがって」
 創志はそれを見て、ため息を吐きながら頭を掻く。
 顔を上げると、創志は笑みを浮かべていた。

「来いよ、治輝。相手になってやる!」
「……ああ、望む所だ!」

 その豹変に付いていけないのは砂神だ。
 2人に何が起きたのか理解できず、立ち尽くす。
「何だ、これは……?」
「わからないか。お前には」
「わかるはずもないだろう。さっきまで、こいつ等は!」
「……そうだな。俺も時枝に対し思う事はある。皆本もそれは同じだろう」
「ならば何故、ああなる!?」
「――決闘で伝わる事もある。そういう事だろう」
 輝王はそう言う自分に、らしくないなと心中で呟く。
 輝王正義という男は、目に見える確かな物を好む男ではなかったのか。
 だが今の自分は、これを良しと思っている。
 それもまた、確かだった。

「行くぞ。ファイブゴッドでアクセルに攻撃!」
「来いよ。アクセル! ファイブゴッドを迎撃しろ!」

 創志が出会ったのは、自分と同じシンクロの力。
 紅蓮の戦士を信じ、前へと進み続けた少年の有り様。

 治輝が出会ったのは、自分とは異なる融合の力。
 様々な者を交じり合い、力へと変える未知の有り様。

 その2つが、それぞれの想いを乗せ、ぶつかり合う。

「ダブル――サンダーフィストォ!」
「インヴィディアル――バーストォ!」

 閃光。
 2体のモンスターの攻撃が相殺し合い、凄まじい光となって場を覆う。
 その衝撃を殺し切れず、2人は後ろへ数メートル吹き飛ばされる。
「……ッ!」
「……へっ!」
 だが、2人とも倒れはしない。
 体制を建て直し、すぐに決闘盤を構え直す。 
 その戦闘で生き残ったのは――5つの首を持った邪龍。

【輝王&創志LP】4100→2700

 大して<Aジェネクス・アクセル>は、纏っていた銀色の手甲と共に完全に消滅してしまった。
 創志は悔しさを滲ませるも、その表情に曇りは無い。
 治輝は今、止めるべき敵かもしれない。
 だがその決闘が、創志に何かを信じさせる。
「俺はカードを2枚伏せて、ターンを終了する!」
 それに大きく返事をするかの様に、治輝は高々と、ターンを終了した。

【治輝LP】4600 手札3枚
場:F・G・D
伏せカード3枚 アドバンスド・フォース

【輝王】 手札2枚
場:AOJカタストル
エレメント・チェンジ(光属性を指定) 伏せカード1枚 
【創志】 手札0枚
場:
伏せカード1枚 蘇りし魂(使用済) 

【輝王&創志LP】2700