遊戯王オリジナル×stage=12
輝王は目の前に君臨する五頭龍を見据え、カードを1枚ドローする。
永続罠カード<エレメントチェンジ>の効果により――あの龍の属性は光に変更されている。
永続罠カード<エレメントチェンジ>の効果により――あの龍の属性は光に変更されている。
<エレメントチェンジ> 永続罠(オリジナルカード) 発動時に1種類の属性を宣言する。 このカードがフィールド上に存在する限り、 相手フィールド上の全ての表側表示モンスターは自分が宣言した属性になる。
確かにその攻撃力は絶大だが、光属性であるならば――
このまま<AOJ・カタストル>で攻撃を仕掛ければ、難なく破壊できる相手だ。
(仮に先のターンで<AOJ・カタストル>を倒す事が可能なら、しばらくターンの回ってこない皆本の<Aジェネクス・アクセル>を狙う必要は薄い)
対処できない相手を捨て置き、攻撃で打倒できる<Aジェネクス・アクセル>への攻撃。
先の攻防は、そういう類のモノであるはずだ。
(だが――)
輝王は顔を上げ、龍を従える時枝治輝を見据える。
あの表情は、果たして<AOJ・カタストル>の打倒を諦めた男の顔だろうか?
しかし、ここで攻撃を止め守備に回ったとして。
あちらに<カタストル>を攻略する手段が、本当は皆無だったとしたら。
手札の補充する時間を、わざわざ与えてしまう事になる。
「守るか。攻めるか――」
それは単純な2択。
だが、その選択次第で敗北へと繋がる恐れのある、究極の2択。
その選択に、輝王は冷や汗を流す。
(本来なら、チャンスを掴みに行くべきなのだろうな)
尚も思考する輝王が思い返したのは、この世界で出会った者達に言われた言葉。
このまま<AOJ・カタストル>で攻撃を仕掛ければ、難なく破壊できる相手だ。
(仮に先のターンで<AOJ・カタストル>を倒す事が可能なら、しばらくターンの回ってこない皆本の<Aジェネクス・アクセル>を狙う必要は薄い)
対処できない相手を捨て置き、攻撃で打倒できる<Aジェネクス・アクセル>への攻撃。
先の攻防は、そういう類のモノであるはずだ。
(だが――)
輝王は顔を上げ、龍を従える時枝治輝を見据える。
あの表情は、果たして<AOJ・カタストル>の打倒を諦めた男の顔だろうか?
しかし、ここで攻撃を止め守備に回ったとして。
あちらに<カタストル>を攻略する手段が、本当は皆無だったとしたら。
手札の補充する時間を、わざわざ与えてしまう事になる。
「守るか。攻めるか――」
それは単純な2択。
だが、その選択次第で敗北へと繋がる恐れのある、究極の2択。
その選択に、輝王は冷や汗を流す。
(本来なら、チャンスを掴みに行くべきなのだろうな)
尚も思考する輝王が思い返したのは、この世界で出会った者達に言われた言葉。
「確証……? 敵の土俵に入り込んだ時点で、そんなもの永遠に見つからないわよ」
そう、どちらの選択であれ、確証は得られない。
隣にいる皆本や、親友である火乃。あの時のティトや愛城――。
誰もが、前へ進むと言う選択を選ぶはずだ。
だが、輝王正義は彼等ではない。
「近付く事は、できるはずだ」
例え確証に届かなくとも
それが決闘の中の真実であっても
輝王正義は、届かない物を目指し続ける。
確証という名の幻想に、手を伸ばし続ける。
「伏せカードを2枚セットし、俺は<AOJカタストル>で――」
輝王は手元を確認し、決断する。
自分のすべき行動を。
隣にいる皆本や、親友である火乃。あの時のティトや愛城――。
誰もが、前へ進むと言う選択を選ぶはずだ。
だが、輝王正義は彼等ではない。
「近付く事は、できるはずだ」
例え確証に届かなくとも
それが決闘の中の真実であっても
輝王正義は、届かない物を目指し続ける。
確証という名の幻想に、手を伸ばし続ける。
「伏せカードを2枚セットし、俺は<AOJカタストル>で――」
輝王は手元を確認し、決断する。
自分のすべき行動を。
「AOJカタストルを――守備表示に変更し、ターンをエンドする!」
「輝王!? なんでカタストルで攻撃しねぇんだよ!?」
「輝王!? なんでカタストルで攻撃しねぇんだよ!?」
その行動に創志は驚愕し、治輝は目を細める。
それは一見、取るに足らない、地味な事かもしれない。
臆病風に吹かれただけだと、笑う者もいるかもしれない。
「……俺のターン。伏せカードを1枚伏せ、ファイブゴッドドラゴンで<AOJカタストル>に攻撃!」
「な!?」
それは一見、取るに足らない、地味な事かもしれない。
臆病風に吹かれただけだと、笑う者もいるかもしれない。
「……俺のターン。伏せカードを1枚伏せ、ファイブゴッドドラゴンで<AOJカタストル>に攻撃!」
「な!?」
間髪入れず、迷いなく響いた攻撃宣言に
1人が驚愕し、2人が小さく笑った。
それは決闘においての意思を読み取った者の笑いであり。
読み取られた事の悔しさと、賞賛を含む笑い。
1人が驚愕し、2人が小さく笑った。
それは決闘においての意思を読み取った者の笑いであり。
読み取られた事の悔しさと、賞賛を含む笑い。
「罠カード発動――トラップ・スタン!!」
《トラップ・スタン/Trap Stun》 † 通常罠 このターンこのカード以外のフィールド上の罠カードの効果を無効にする。
場に稲光が走り、配線用遮断器が作動した時の如く、辺りからブツンと光が消えた。
煌びやかに5色に輝いていたずの五頭龍は、その姿を闇に眩ます。
それがこの龍の本来の姿。
今までは、1枚の罠カードが放っていた照明が、その姿を照らしていた。
だが違う。
この龍の本来の色は――闇。
赤や青を纏っていたとしても、それらは明色であっても暗色。
煌びやかに5色に輝いていたずの五頭龍は、その姿を闇に眩ます。
それがこの龍の本来の姿。
今までは、1枚の罠カードが放っていた照明が、その姿を照らしていた。
だが違う。
この龍の本来の色は――闇。
赤や青を纏っていたとしても、それらは明色であっても暗色。
「これで<F・G・D>の属性は闇――ソイツの効果の範囲外だ」
闇夜の中で声が響き、暗闇の中から音が響く。
それは、白銀の装甲を毟って行く音。
その間接部を引き千切る音。
心臓部を噛み砕く音。
それは、白銀の装甲を毟って行く音。
その間接部を引き千切る音。
心臓部を噛み砕く音。
そして治輝のターンが終わり
<トラップ・スタン>の効果が消え
<エレメント・チェンジ>の効果が戻り
辺りに再び、明かりが照らされる。
<AOJカタストル>の姿は、何処にも見当たらなかった。
それを見て、治輝は輝王に問いかける。
<トラップ・スタン>の効果が消え
<エレメント・チェンジ>の効果が戻り
辺りに再び、明かりが照らされる。
<AOJカタストル>の姿は、何処にも見当たらなかった。
それを見て、治輝は輝王に問いかける。
「……どうして守備表示に?」
「その質問には答え難い。話せば長くなるからな」
「そうか。長くなるか」
「その質問には答え難い。話せば長くなるからな」
「そうか。長くなるか」
それを聞いた治輝は、笑う。
輝王の言う事は建前ではなく、本当の事だろう。
だが、彼は視線を手元の画面に向けたのだ。
画面表示されている数字は、創志と輝王のライフポイントを示している。
それが数々の可能性を考慮した輝王の、最後の一押し。
輝王の言う事は建前ではなく、本当の事だろう。
だが、彼は視線を手元の画面に向けたのだ。
画面表示されている数字は、創志と輝王のライフポイントを示している。
それが数々の可能性を考慮した輝王の、最後の一押し。
2700というライフは、先程の攻撃を真っ向から受けていた場合――殆ど無駄なくゼロになる数値なのだ。
相手の表情、特性、場の状況。そして自分のライフポイント。
それら全ての情報を元に、輝王は確証に肉薄し、それを元に攻撃を凌ぎ切った。
これを、見事と言わず何なのか。
それら全ての情報を元に、輝王は確証に肉薄し、それを元に攻撃を凌ぎ切った。
これを、見事と言わず何なのか。
「凄い洞察力だな。戦い甲斐がある」
「お互い様だ。まだまだ計らせてもらうぞ、時枝」
「お互い様だ。まだまだ計らせてもらうぞ、時枝」
2度目の台詞。
だが、その言葉には決意があった。
ある種で上を行かれた事への賞賛と、悔しさ。
それらを自覚しているからこそ、治輝は言う。
だが、その言葉には決意があった。
ある種で上を行かれた事への賞賛と、悔しさ。
それらを自覚しているからこそ、治輝は言う。
「ああ――だけど、3回は言わせない!」
その叫びと共に、五頭龍は咆哮を上げる。
場の2人は震えるが、それは振動による奮えではない。
「――反撃するぞ皆本。次のターン、攻撃が可能なら仕掛けに行け」
「ああ! ……っても、フィールドは空だけどな」
「アレを出せる準備は出来ている。倒せるかどうかは、お前次第だ」
その言葉に、創志は力強く頷く。
これはタッグ決闘だ。
フィールドにモンスターが居なければ、足りない部分があるのならば、力を合わせて乗り越えて行けばいい。
今までも、ずっとそうやって創志は戦ってきた。
「治輝――倒すぜ、そのドラゴン!」
場の2人は震えるが、それは振動による奮えではない。
「――反撃するぞ皆本。次のターン、攻撃が可能なら仕掛けに行け」
「ああ! ……っても、フィールドは空だけどな」
「アレを出せる準備は出来ている。倒せるかどうかは、お前次第だ」
その言葉に、創志は力強く頷く。
これはタッグ決闘だ。
フィールドにモンスターが居なければ、足りない部分があるのならば、力を合わせて乗り越えて行けばいい。
今までも、ずっとそうやって創志は戦ってきた。
「治輝――倒すぜ、そのドラゴン!」
今の自分の手札に可能性は無くとも、創志はそう宣言する。
それは自身とその仲間への、絶対的な信頼から生まれる言葉だった。
それは自身とその仲間への、絶対的な信頼から生まれる言葉だった。