シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル×stage=13

 砂神は呆然と眺めていた。
 モンスターが消えても尚、諦めないその姿勢に。
 仲間と自分を信頼する。真っ直ぐな強さを。



【治輝LP】4600 手札3枚
場:F・G・D
伏せカード4枚 アドバンスド・フォース

【輝王】 手札0枚
場:
エレメント・チェンジ(光属性を指定) 伏せカード4枚 
【創志】 手札0枚
場:
伏せカード1枚 蘇りし魂(使用済) 

【輝王&創志LP】2700 


 創志は自らのデッキに、指先に力を込める。
 治輝の真意は未だわからない。他にもわからない事も、聞きたい事も沢山ある。
 だから今の創志が思うのは、たった一つ。
(アイツに、勝ちたい!)
 今の自分に持っていない物を、目の前の相手は持っている。
 砂神との戦いの際、2人の足を引っ張り、非力を感じた事もあった。
 強くなりたいという想いもある。しかし、それよりも
 今の自分を全てぶつけて、その上で勝ちたいのだと。
 創志は心の中で叫び、より強く力を込める。

「俺の――ターン!」

 三日月の如く弧を描くその軌跡から生まれたのは、更なる可能性。
 創志は流れるまま、そのカードを決闘盤に叩き付ける。
マジック・プランター/Magic Planter》 †
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在する
永続罠カード1枚を墓地へ送って発動する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 
「<蘇りし魂>を墓地に送り、カードを2枚ドロー!」

 扇状に開いた2枚のカードは、魔法カードが2枚。
 壁になるモンスターを引けなかった以上、もう後には引けない。
 創志は意を決して、伏せカードを発動する。

《正統なる血統/Birthright》 †
永続罠
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。

 そのカード効果で出現したのは機械の小人――ジェネクス・コントローラー
 創志のデッキの核となり、この決闘の核となったチューナーモンスター。
<ジェネクス・コントローラー>
チューナー(通常モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。
様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。

 出現したのは攻撃表示。
 その小さな力では<F・G・D>の攻撃を受けきる事はできない。
 だが、輝王は言った。

 『準備は整った』と。






 □□□





 それとほぼ同時に、輝王の場にも異変が起こる。
 粉々にされたはずの機械の破片が、時が撒き戻るかのように一つの形を象っていたのだ。
 
【輝王&創志LP】2700→1900
 

ウィキッド・リボーン/Wicked Rebirth》 †
永続罠
800ライフポイントを払い、自分の墓地に存在する
シンクロモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、
このターン攻撃宣言をする事ができない。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、
そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 しかしその細部は所々朽ちていて、かつての白銀の輝きは鈍くなっている。
 その効果も無効化され、目の前の<F・G・D>には太刀打ちできない。
 だが、その表示形式は前へと進む事を望んでいる。
 壁として主人を守るのではなく、次こそはあの龍を打倒してみせるのだと。




 ■■■

「<AOJ・カタストル>と――」
「<ジェネクス・コントローラー>をチューニング!」

 2人の青年の叫びが、1人の青年が創りだした舞台に木霊する。
 命の無いはずの世界に、命の輝きを染み込ませる。

「折れぬ正義の魂が――」
 それは、染まらずとも変わり、揺れず折れない魂の輝き。 
「進化の光を照らし出す!」
 それは、様々な繋がりを力に変えてきた、心の光。

 例え何も無くとも、何かを創る事はできるのだと――それを示す事のできる到達点。
 一つの理想を、具現した形。
 その想いは、一つの幻に酷似したものだ。
 綺麗事だ、絵空事だと称され、現実に存在しない「ドラゴン」という幻のカタチ。
 その幻の存在を、目に焼き付けたいと願った。
 そして人は、手にした技術を持って幻想の存在を具現化していく。

「「シンクロ召喚!」」

 その圧倒的な存在を、破ろうと思った。
 その底知れない存在を、判ろうと思った。
 その2人の声が、今重なる。

 その想いの果てに呼び出したのは、機竜。
 煌く白金の装甲は廃墟に光を与え、広がる翼を刃に変えて。
 人工物によって生まれた機械の竜の瞳に、光が灯る。
 空虚な舞台に、魂の脈動を覚えさせる。
 これが、創志の手にした最後の力。

「――導け! <A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>!!」

 創造の力を秘めた竜が今、光臨した。