シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル×stage=14

 <A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>
 その神々しい姿を正面から見据え、治輝は思う。
 何かを生む手伝いをしようとして……取り返しのつかない事をしてしまった、あの時の事を思い返す。
 創造を名に冠したそのドラゴンは
 治輝にとって切望するもので
 治輝にとって、本当の意味での――憧れだった。

<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>
シンクロ・効果モンスター(オリジナルカード)
星8/闇属性/機械族/攻2800/守2800
「ジェネクス・コントローラー」+「A・O・J」と名のついたシンクロモンスター1体以上
このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にならず、
闇属性モンスター以外との戦闘では破壊されない。
このカードの攻撃力は墓地に存在する「ジェネクス」または「A・O・J」と名のついた
モンスターの数×100ポイントアップする。
このカードがフィールド上から墓地に送られた時、自分の墓地に存在するこのカード以外の「ジェネクス」または
「A・O・J」と名のついたモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚することができる。

 「<クレアシオン・ドラグーン>の効果発動! このカードの攻撃力は、墓地に存在する<ジェネクス>または<AOJ>の数×100ポイント上昇する!」

 それは、2つの異なる名を束ねる事のできる力。
 2人の青年の墓地が、淡い光を放つ。
 その光の数は、目の前の邪竜が糧にしたドラゴンと同数。
 だがその質は、全く真逆のモノだ。
「……砂神。お前にあれはどう見える?」
「……」
 その質問に、砂神は無言で歯噛みする。
 それを見た治輝は、苦笑いを浮かべ、視線を前へ戻す。
 正面から見つめた白銀の機竜は、共に並んだ時に比べより美しく、輝いて見える。

「俺は、ああなりたかったのかもしれないな――」





 □□□






「装備魔法――<幻惑の巻物>を装備! <A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>の属性を光に変更する!」
 白銀の装甲が輝きを増し、辺りを照らし出す。
 元は闇属性だった等とは思えない神々しさに、治輝はただ魅せられる。
「行くぜ治輝! <A・ジェネクス・クレアシオンドラグーン>で<F・G・D>に攻撃!」
「……ッ! 迎え撃て、ファイブ・ゴッド!」
 皮肉にも2体のモンスターは共に同じ闇属性であり――現在は他の札の力で光へと変換されていた。
 かつて闇だったモノ同士の激突は、自らより放つ光によって行われる。

「インヴィディアル――バースト!」
「――<クレアシオン>!」
 
 5つの龍の口から、異なる色の光の吐息が放たれる。
 ほぼ同時に、機竜体の各所に装着された補助ブースターが一斉に点火し
 夜空を切り裂かんと上昇した機竜は、一旦ブースターを停止させ、一瞬だけ宙に浮かぶ。
 機体を反転し――、再度ブースターを点火。宙空に自らの身体を打ち出す。 
 だが<F・G・D>その回避行動に対し、素早く<クレアシオン>に照準する。
 5つの口が織り成す弾幕は一筋縄では潜り抜けられない――
 そう考えた<クレアシオン>は、ブレスを吐き荒れ狂う<F・G・D>目がけ、上空から急接近する。
 だが、その特攻は無謀だ。敵の接近を許さないからこその弾幕。リスクは避けられない。
 <クレアシオン>の右の翼が折れ、バランスを崩す。

「……!」
「攻撃力はこっちが上、このままなら――!」
 <F・G・D>の攻撃力は5000
 <クレアシオン>の攻撃力は3300
 幾ら属性が光に変わろうとも、この差は埋められない。
「皆本!」
「わかってる! 俺は速攻魔法を発動!」
「……罠カードを発動!」

 その時、全員が同時に動いた。

 1人は迷わず手札の速攻魔法を天に掲げ
 1人は地に伏したカードを跳ね上げ
 それを見た最後の1人は硬直する

《リミッター解除/Limiter Removal》 †
速攻魔法(制限カード)
このカード発動時に、自分フィールド上に表側表示で存在する
全ての機械族モンスターの攻撃力を倍にする。
この効果を受けたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 次の瞬間、機竜の体は眩い光を放ち、変化した。
 翼を削がれ、飛ぶ事が苦難となったのなら。
 自らを弾丸と化し、打ち貫けばいいのだと。

「……ジェネシック・ブリットォ!」

 それは視認できる速度ではなく
 弾幕で対応できるものでもなく
 咄嗟に防御を図れるものでもなかった
 貫いたのは<F・G・D>の有する5つの頭部ではなく、その根幹である胴体。
 聞く者全てが震え上がるような断末魔の咆哮が、廃墟に轟く。
 光以外では倒せないとされる邪龍。
 それを倒したのは、闇の中であっても燦然と輝く――光の機龍だった。