シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル×stage=18

「砕けし星の断片よ」

 続ける必要が無くとも、時枝治輝には理由があった。
 自らの羨望に、挑む事への願望。
 そして共に肩を並べた同胞との、最後の交差。

「集いし記憶を力に変え」

 輝王正義は感謝する。
 今この場に、この舞台に――自分という役を上げてくれた全てに。
 ならばこそ、勝つ事でその役を全うする。
 親友と同じ力を持つ同胞を、超える為に。

「全てを染める、残滓と成せ!」

 皆本創志が求めていたのは、この瞬間だった。
 しがらみも何も無い、純粋な競い合いを――目の前の男としてみたいと思った。
 そしてそれは、互いの切り札を以て今、成される。

「掴め――蘇生龍、レムナント……ドラグーンッ!」 


【治輝LP】2300 手札3枚
場:<ミンゲイドラゴン> <-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>
伏せカード2枚 アドバンスド・フォース

【輝王】 手札0枚
場:
エレメント・チェンジ(光属性を指定) ウィキッド・リボーン(使用済) 伏せカード2枚 
【創志】 手札0枚
場:<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>
蘇りし魂(使用済) 幻惑の巻物(対象クレアシオン、光指定) 

【輝王&創志LP】2700 

 砕け散り、墓地に送られた竜の魂が、光球となって舞い上がる。
 それが描いた軌跡は、象る。
 天空へ羽ばたく翼を持った、不死鳥のようなドラゴンの輪郭を。

 <-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>
効果モンスター(オリジナルカード)
星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上のドラゴン族モンスターが3体以上リリース、
または3体以上破壊されたターンに手札から特殊召喚できる。
このカードが手札からの特殊召喚に成功した時、このターン破壊、リリースされたドラゴン族モンスターを可能な限り、墓地と除外ゾーンから手札に戻す。
このカードが戦闘を行うダメージステップ時、手札のドラゴン族モンスターを相手に見せる事で発動できる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、見せたカードの種類×1000ポイントアップする。
このカードがフィールドを離れた時、自分は手札を全て捨てる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
自分はモンスターを通常召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができない。

「レムナント・ドラグーンの、効果発動!」

 治輝の叫びに呼応し、荒れ果てた大地から命の光が溢れ、手札に舞い込む。
 それは<ドラギオン>の効果で破壊された2枚の龍。
 よって、治輝の手札は5枚。
 あれらが全てドラゴン族で形勢されていた場合。その攻撃力は7200まで上昇する可能性が出てくる。
 輝王がそう危惧していることを知ってか否か。治輝は1枚のカードを発動した。

トレード・イン/Trade-In》 †
通常魔法
手札からレベル8のモンスターカードを1枚捨てる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。 

「な……に?」
「これでこっちの攻撃力は、もう予測できない……だろ?」

 手札に戻った<ダークストーム・ドラゴン>は墓地に送られ、治輝は新たに2枚のカードをドローする。
 治輝のライフは先程使った<異次元からの帰還>のコストにより半減している。これでドラゴン族を引けなければ、こちらにトドメを刺すことは適わない。
 だというのに、この選択。あの視線。
「――仕掛けてくるぞ、皆本」
「わかってるって。フォローは任せるぜ、輝王!」
「ああ!」
 <A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>を操るのは、召喚を行った皆本創志に他ならない。
 だが、創志に伏せカードは残されていない。
 実質このターンにおいて<クレアシオン>を守護できるのは、伏せカードを2枚有する輝王なのだ。

「来い、時枝ッ!」
「ああ、挑ませてもらう!」

 治輝がバトルフェイズに入り、白銀の装甲を持つ伝説の機龍と、定まった形を成さない幻龍が相対する。
 その絵は壮観で、見る者が違えば世界の終わりにも、始まりにも見えたかもしれない。
 だがそんな状況でも、輝王は相方の出方を観察する。
(時枝の手札は5枚、トレードインによる手札交換を使われた今<青氷の白夜龍>以外のカードは未知数だ)
 それらが全てドラゴン族。しかも全て違う種類のカードで構成されていた場合<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン>の攻撃力は7200へ上昇する。

このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、見せたドラゴン族の種類×1000ポイントアップする。

 攻撃力3300の<クレアシオン>にその攻撃を受ければ、ライフ2700では耐え切れず、こちらの敗北となる。
 だが、その可能性は極めて低い。
 トレードインを使って手にしたカードが2枚ともドラゴン族、且つ全ての手札がドラゴン族で構成されている――それは普通なら有り得ない状況だ。
 しかし、治輝はメインフェイズで何のカードも伏せずにバトルフェイズに移行してきた。
 <-蘇生龍-レムナントドラグーン>は倒された時に持ち主の手札を全て捨てる、というデメリットを持つカード。
 倒される可能性を考慮するなら、魔法、罠カードの類は伏せてから攻撃するはず。
(故に、時枝の手札が全てドラゴンである可能性は、ある)
 或いは、そうこちらに思わせる為に敢えて伏せなかったかもしれない。
(4枚なら、俺たちが勝つ。5枚なら――負ける)
 輝王は、伏せカードに手をかける。
 発動するカードは、既に心中で決まっていた。
 それと同時に、現実の治輝の言葉が被せるように響き渡る。