誕生日は1年に1度じゃない
前回 誕生日を思いっきり忘れていた俺
覚えていてもらっているのにこちらは覚えない。それでは、余りに失礼じゃないか――
そう心に決め、来年こそは……と決意を新たにしたのが数ヶ月前。
しかし、嵐は突然訪れた。
「今日は趣味に付き合ってもらおう」
「うん?」
「誕生色大辞典って言うんだけど」
「ふむふむ、面白そうだな。……で、そっちはどうだった?」
「あれ? あれ?? わからないの??」
「……わ、わかるし」
(正直うる覚えだ……!!!!)
なんで誕生日でもない普通の日に抜き打ちテストみたいな話題になっちゃうんだよちくしょう等と考えても後の祭り、今は何とかこの場を切り抜けるしかない。
だがしかし、俺は既に誕生日の覚え方を習得していた。
所謂脳内版 『秘密の質問』
それに誕生日に対する答えが、既にインプットしてある。
その内容とは……!
Vジャンプの発売日付近 というものだ
これさえ覚えていれば、俺はこの危機を乗り越えたも同然!
言い換えれば無敵! さぁ、これから誕生色を……
※公式より抜粋
前後してんじゃねーよ!!
それじゃあ何も救えない! それが大人のやることですか! バナージイイイイイ!!
……だがしかし、悪い事ばかりじゃない。月は覚えているから、Vジャンプの発売日……20日付近というのは確定のはず。
そして脳裏によぎった一欠けらの記憶。
その記憶を通し、知識が流れ込んでくる。
21日って、覚えやすいよね!
それが誰の声だったか定かではないが、俺はそれに賭ける事にした。
男には、やらればならぬ時がある。駆け抜けなければいけない時がある。
今が――その時だ……!
「……まぁ普段から勘がいいって言ってるし、当ってるんじゃないか?」
「でしょでしょ!」
「それの信憑性増したって事かw」
勝った……!勝ったぞおおおおおおおおおおお!
俺は密かにガッツポーズをした。
若干危なかったが、これで誕生日を忘れた事に気付かれず、普通に話をして切り抜けられる。
いや、その表現はおかしいか。結果的に見れば、俺はそもそも覚えていたのだ。何の罪悪感も覚える事はない……!
そんなわけで、今回の記事は平和に終了です。皆さんは、誕生日はきちんと忘れないようにしましょうね!
「ところで」
「ん? どした?」
「私の誕生日……その前の日なんだけど(にっこり)」
「!?」