シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王Oカード episode-22

【白矢】LP4000 手札2枚
場:<M・HERO ダイアン>

【黒鷹】LP4000 手札3枚
場:<E-HERO ライトニングゴーレム>

「俺のターン。ダイアンで<ライトニングゴーレム>に攻撃――≪吟の閃光≫!」
【黒鷹LP】4000→3600
 銀のレイピアが敵の心臓部を一突きし<ライトニングゴーレム>はあっさりと四散する。
 海のように青いマントをはためかせると<ダイアン>はその場から飛び退き、中空でレイピアを手放した。
「<ダイアン>の効果発動――来い! <E・HEROスパークマン>!」

このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキからレベル4以下の「HERO」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。


《 E・HERO エレメンタルヒーロー  スパークマン/Elemental HERO Sparkman》 

通常モンスター星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400 様々な武器を使いこなす、光の戦士のE・HERO。聖なる輝きスパークフラッシュが悪の退路を断つ。
 中空に投げ出されたレイピアが眩い閃光になり、光のE・HEROへと姿を変える。 
 特殊召喚に成功した<スパークマン>は右手から光を放ち、黒鷹のライフポイントを更に削る。

【黒鷹LP】3600→2000

「カードを一枚伏せターンエンド――仰々しく出てきた割にはあっさりだったな。俺に失望したんじゃなかったのか?」
「素直に撤回します。やはり貴方は白矢先輩だ。最初から、隙など微塵も見せてはいなかった……ならば」
「……?」

「これならどうです? ――高等儀式術、発動!」

高等儀式術 こうとうぎしきじゅつ /Advanced Ritual Art》 

儀式魔法手札の儀式モンスター1体を選び、そのカードとレベルの合計が同じになるようにデッキから通常モンスターを墓地へ送る。その後、選んだ儀式モンスター1体を特殊召喚する。

「なっ……儀式だと?!」
 白矢は反射的に手元を見、かぶりを振りながら目の前で発動したカードを見上げる。
「驚きましたか? 確かに融合やシンクロモンスターと違い、青のカード――儀式モンスターを操る決闘者は圧倒的に少ない。ですが……」
 黒鷹は額に手を当て、自分の頭を僅かに上にずらすと、その隙間から白矢の表情を吟味し、そして。

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「先輩が使った種類のカードを、このボクが使わないとでも?」


 次の瞬間。吸い込まれるような青い空間が、二人の決闘者の間に発生する。
 深海の青でも、大空の青でもない。言うならば無機に近いその空間の中に2枚のモンスターが放り込まれ、それを媒体に儀式が完遂する。

「……そのモンスター 立派な鎧を纏ってますよね」
「……ダイアンの事か?」
「あちこちに使われている宝石に銀色の鎧――美しいと言えなくもありませんが、売れば何人の命が救えるかわからない代物でしょう? しかも戦闘用としての防御力は大したことがない。その証拠として、そのモンスターには何の耐性も付与されていない。それがHERO等と名乗るとは……」
「……戯言はいい。お前は儀式で、何のモンスターを呼んだ?」
「急かさないで下さいよ。今――賽を握りますから」

 その言葉を引き金に。
 青い空間を削り取るかのように、少しずつモンスターの姿が明らかになっていく。
 血のような紅の翼
 歪に左右非対称な朽ちた角
 人を殺せそうな程鋭利な棘が無数に覆っている顔面
 そのモンスターの名は――



《 闇の支配者 ダーク・マスター -ゾーク/Dark Master - Zorc》 

儀式・効果モンスター星8/闇属性/悪魔族/攻2700/守1500「闇の支配者との契約」により降臨。フィールドか手札から、レベルが8以上になるようカードを生け贄に捧げなければならない。1ターンに1度だけサイコロを振る事ができる。サイコロの目が1・2の場合、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。3・4・5の場合、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。6の場合、自分フィールド上のモンスターを全て破壊する。

「ゾーク……だと? この状況で……」
「失敗したらどうなる――とか有り触れた言葉を言わないでくださいよ白矢先輩? 確かに六を出したらボクの負けは濃厚です。かと言ってここで効果を温存すればそこの<ダイアン>に更なる仲間を呼ばれ、やはりボクの負けになる。ここでやらない理由はないですよ」
「……」
「それに……」
 黙る白矢を横目に、笑いながら黒鷹はサイコロを放り投げた。
 高く、高く舞い上がったサイコロの行方を目で追っている最中に、黒鷹は声を上げる

「さて、バトルフェイズに入りましょうか」
「――何を言ってるんだお前は。まだ効果処理が終わっていないのに勝手にバトルフェイズに入るな!」
「やだなぁ先輩。単なる 『宣言』 ですよ。 『宣言』! ボクはこのダイスに成功して――」
 サイコロが落ちる。
 何回転か硬いアスファルトの上を転がり、そして。

「――白矢先輩に直接攻撃します……ってね」

 その言葉とほぼ同時に、場が青い光に包まれた。
 いや、光と言うには相応しくない。
 正しくは光と見間違う程に存在感のある 『闇』 が、明滅して場のモンスターを飲み込んでいったのだ。
 ――賽の目は、一。
 

サイコロの目が1・2の場合、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 その効果は、一度結果が出てしまえば、如何なるカードでもカウンターできない……
 相手モンスターの、全滅だった。

【白矢】LP4000 手札1枚
場:ダイアン(効果破壊)スパークマン(効果破壊)  伏せカード
【黒鷹】LP2000 手札2枚
場:<闇の支配者‐ゾーク>