シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル prologue-2

普通の人間なのに、ペインの攻撃を受けて立っていられるなんて…。
そんな私の動揺なんて意にも介さず、決闘は続いていく。

「―――今度はこっちからいくぜ、ドロー!」
いよいよ彼のターンだ、一体どんなデッキを使うんだろう?
「魔法カード発動。<調和の法札>!」

《調和(ちょうわ)の宝札(ほうさつ)/Cards of Consonance》 †

通常魔法
手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。

「手札から<ドラグニティ・ファランクス>を墓地に送り、カードを2枚ドローする!」
その時、彼の口元が大きく歪む。

「なんダ、その顔ハ?」
「―――悪いな、じっくり付き合う気だったんだけど、予定変更だ」

その言葉に驚愕し、顔を上げると同時に一緒に自前のおさげが揺れる。
彼が言った台詞を要約すれば『このターンで致命傷を与えてやる』と宣言しているようなものだ。
(でも、相手の場にはプロミネンスドラゴンが二体いるのに…どうやって?)

「俺は、<デブリドラゴン>を召喚!」

デブリ・ドラゴン/Debris Dragon》 †

チューナー(効果モンスター)
星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

わぎゃぁ!と鳴き声を上げ、光の中からサイズの小さいドラゴンが召喚される。
気のせいか足も凄く短い、手も短い。
二本足で立てそうな外見をしているのに、召喚されてすぐに四つん這いの格好になったまま、動かない。

(まだ二足歩行、出来ないのかな)
何となく場違いな感想を抱いてしまった。でもそのくらい可愛い、お持ち帰りしたい。
…などと呑気な事を考えていると、小さい<デブリドラゴン>が前を向いて

―――目の前の<プロミネンス・ドラゴン>と目が合う。

「わ、わぎゃぁ!」
途端に4足歩行のまま、一目散に逃げ出す<デブリ・ドラゴン> 大丈夫かなあの子。
青年は溜め息を吐き、逃げようとする<デブリ・ドラゴン>の尻尾を掴み、元の位置に戻す。

「…おまえが怖がりなのはよく知ってるけど、頼むからここは頑張ってくれ」
「…わぎゃ」

どうやら覚悟を決めたようだけど、体全体が小刻みに震えている。…大丈夫かなあの子。
「…気を取り直して、<デブリドラゴン>の効果発動!墓地に存在する攻撃力500以下のモンスターを特殊召喚する。戻って来い、<ドラグニティ・ファランクス>!」

これまた小さな竜が、地中から現れる。
ファランクス>はデブリドラゴンの側までトコトコ歩いていくと、肩をポンポン叩いていた。

「…雑魚ばかり並べて、ふざけテいるノカ?」
「別にふざけちゃいないさ、俺は更に<ドラゴニック・タクティクス>を発動!」

《ドラゴニック・タクティクス》 †
通常魔法
自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター2体をリリースして発動する。
自分のデッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。

ファランクスが怖がるデブリドラゴンを連れ、青年の方に手を振りながら、トコトコと光の中に消えていく。
「二体のドラゴンをリリースし…今こそ、全ての痛みを斬り払う剣と成せ!」
その時、何処からか出てきた無数の枝が辺り一面を覆い尽くした。
そして次第に一つの太い枝に木々が集まっていき、その中心から閃光が零れ出る。

「来い、<ドラグニティアームズ-レヴァテイン>!!」

閃光から巨大な剣が現れ…ソレを覆うようにこびり付いていた影から、巨大な竜が象られていく。
その絶対的な存在感が、瞬時にフィールドを支配した。


《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》

効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、
手札または墓地から特殊召喚する事ができる。
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の
自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、
装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる

「レヴァテインの効果、墓地のドラゴン一体を装備する事が出来る。俺はファランクスを選択!」
「ぐゥ…!?ダガ、<プロミネンスドラゴン>ノ効果デ貴様ノ攻撃ハ封じられテいル!」
「いいから見てろって、<ドラグニティ・ファランクス>の効果!」


《ドラグニティ-ファランクス/Dragunity Phalanx》 †

チューナー(効果モンスター)
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
このカードがカードの効果によって
装備カード扱いとして装備されている場合に発動する事ができる。
装備されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「装備を解除し、このカードを特殊召喚する!来い、ファランクス!」
体を丸くし、ころころ転がりながらレヴァテインの肩から降りてくる小さな竜。

これで、役者は揃った。
「カードを1枚セットし…いくぜ、ファランクス!」
片手を挙げ、主人の声に応じてくれる小さな竜が…突如、光の輪へと変化する。
「レベル8<ドラグニティアームズ・レヴァテイン>とレベル2<ドラグニティ・ファランクスをチューニング…」

光の輪に包まれた巨大な剣が二つに分かれ、生き物のように脈動を始める。
これって…シンクロ召喚

「轟炎の粉塵を纏いし暴君と成せ!シンクロ召喚…<トライデント・ドラギオン>!!」

《トライデント・ドラギオン/Trident Dragion》 †

シンクロ・効果モンスター
星10/炎属性/ドラゴン族/攻3000/守2800
ドラゴン族チューナー+チューナー以外のドラゴン族モンスター1体以上
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
自分フィールド上に存在するカードを2枚まで破壊する事ができる。
このターンこのカードは通常の攻撃に加えて、
このカードの効果で破壊した数だけ1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。

「効果でセットカードを破壊し、ドラギオンはこのターン2回攻撃が可能になる!」
「血迷っタカ!幾ら攻撃回数を増やそうトモ、プロミネンスドラゴンガ二体存在する限リ…」
「そうだな、攻撃は出来ない」



「―――二体いれば…な?」



―――轟音。
次の瞬間。一体のプロミネンスドラゴンが奇声を上げ、粉々に破壊される。
「…!?」
「セットカードをドラギオンで破壊するって言っただろ、俺はこのカードをセットしてたのさ」


《荒野(こうや)の大竜巻(おおたつまき)》 †

通常罠
魔法&罠カードゾーンに表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。
破壊されたカードのコントローラーは、
手札から魔法または罠カード1枚をセットする事ができる。
また、セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。

―――上手い!セットされた<荒野の大竜巻>を破壊することで、相手のカードを破壊したんだ!
あんな戦術、私じゃとても考え付きそうに無い。

「さて、悪いけどお別れだ…バトル!ドラギオン、プロミネンスドラゴンを粉砕しろ!」
「グ、ヤメロ…!ガァァァァァァ!」

ペインの力には代償がある。
相手に実際のダメージを与える代わりに、相手が一般人であろうと…
その衝撃はペイン自身がダメージを与えられた時、ペイン自身の『痛み』として跳ね返ってくる。

【ペインLP4000→2500】

そして、ペインのLPがゼロになった時…

「ヤメロ、ヤメロヤメロ…!」
「―――ドラギオン、楽にしてやれ。」

ペインは、この世から完全に『消滅』する…。

「ヤメテクレエエエエエエエエエエエ!!」
「ダイレクトアタック、焼き尽くせェ!!」

憎悪とも取れる程の、雄叫びのような指令を聞いた<トラインデント・ドラギオン>は
目の前の瀕死の化け物に、灼熱の火球を吐き出した。

【ペインLP2500→0】