シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王オリジナル episode-03

「ありがとうございました」
「……ありがとうございました」

 決闘後の挨拶を終え、相手はそそくさと帰っていく。
 これでもう4人目だ。どれも安定して勝ててしまうし、練習にもならない。
 今日もデュエルスペースには強い人がいないな、と。僕はひっそりとため息をつく。
 デュエルスペースというのは、主にカードゲームショップに設けられている対戦用のスペースの事で、決闘盤は使わず、プレイシートで決闘するのがメインとなる。
 言ってしまえば、お客の呼び込み用の空間。
 そんな場所に、僕は座りながら次の対戦相手を待ちつつ、目の前のカードを眺めていた。

 プレイシートの場にはまだ片付けていない僕のモンスター。<ライオウ>が残っている。

《ライオウ/Thunder King Rai-Oh》 †

効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1900/守 800
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。
また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、
相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。

 つい最近使い始めたモンスターだが、確かに強い。
 相手のキーカードのサーチを封じ込め、シンクロ召喚も一度まで封じる事ができる上に、1900という高打点な攻撃力があるのは破格の性能だ。

 以前は戦士族を好んで使っていた僕だけど
 ある事件をキッカケにデッキを変える事になり……その答えが<ライオウ>だった。
 今は、拘りとかを気にしてる場合じゃない。もっと強くならないといけないんだ。

「そうだ。僕はもっと強くなりたい」
 <ライオウ>を見つめて、自分の決意を小さく口に出す。
 兄さんを探しに行く為に、僕は……

「強くなりたいのか」
 急に、上から声をかけられた。
 ビクっとして顔を上げると、年上の人が僕を見下ろしているのに気付く。
 左と右の袖の長さが違う、変わった服を着ている人だった。
 自分の声が聞こえていたのを妙に恥ずかしく感じ、少し顔が赤くなる。

「じゃあ、よかったら少し決闘しようぜ」
 目の前の席に「よっこせっと」と言いながら座ったその人は、そんな事を言い始めた。
 確かにここはデュエルをする為の場所で、年上の人と決闘をするのも初めてじゃない。
 僕はそれを受ける事にした。

「はい。よろしくお願いします」
 気さくに話しかけてくれるこの人には悪いけれど、相手はどんな人かわからない。
 ここはフリースペースなんだ。あくまで事務的に、距離を測りながら終わらせよう。

「俺の名前は治輝。そっちは名乗らなくてもいいぜ――決闘!」
 こうして、僕と治輝さんの決闘が始まった。











遊戯王オリジナル episode-3


【僕LP4000】 手札5枚
場:なし

【治輝さんLP4000】 手札5枚
場:なし



「僕のターン。ドロー!」
 僕は引いたカードを確認して、安堵の息を吐く。
 そのカードは単体除去魔法 <地砕き>

《地砕(じくだ)き/Smashing Ground》 †

通常魔法
相手フィールド上に表側表示で存在する守備力が一番高いモンスター1体を破壊する。

 これがあれば、相手がどんな強力モンスターを召喚しても次のターンで破壊できる。
 しばらくは安心できそうだ。

「そして<ライオウ>を召喚!」

《ライオウ/Thunder King Rai-Oh》 †

効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1900/守 800
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。
また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、
相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。

 機械化した武者のような姿のモンスターが、場に小さくソリッドヴィジョンとして出現した。
 最近のカードショップでは、ソリッドヴィジョンを導入していないとお客さんが余り入らないらしく、躍起になって仕入れている店は多いらしい。

 改めて映像を見ると、<ライオウ>は何処か戦士族を思わせる風貌だった。
 強くなる事を決めて以来、封印してしまったデッキ達を思い、心が痛む。
 ……でも、強くなる為なら!

「僕は更にカードを二枚伏せて、ターンエンド!」
 僕の伏せたカードは<次元幽閉>に<神の宣告>

次元幽閉(じげんゆうへい)/Dimensional Prison》 †

通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体をゲームから除外する。

《神(かみ)の宣告(せんこく)/Solemn Judgment》 †

カウンター罠制限カード)
ライフポイントを半分払って発動する。
魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚の
どれか1つを無効にし破壊する。

 どちらも強力な罠カードだ。今回の初手はいい引きかもしれない。

【僕LP4000】 手札3枚
場:伏せ2枚 ライオウ(攻撃表示)

【治輝さんLP4000】 手札5枚
場:なし