シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王オリジナル episode-04

「<ライオウ>は厄介だな……ドロー!」
 治輝さんがカードをドローする。この人はどんなデッキを使うんだろう?

「俺は<ドラグニティ・ファランクス>を墓地に送り、<調和の宝札>を発動!」

《調和(ちょうわ)の宝札(ほうさつ)/Cards of Consonance》 †

通常魔法
手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 ――ドラゴンデッキ!
 治輝さんがカードを2枚ドローしている間に、僕は決闘の方針を決定する。

「そして、<デブリドラゴン>を召喚!」

デブリ・ドラゴン/Debris Dragon》 †

チューナー(効果モンスター)
星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

「効果で<ドラグニティ・ファランクス>を攻撃表示で特殊召喚!」
「チューナーモンスターを2体……」
<神の宣告>に手を掛けた手が、自然と止まる。
 チューナー2体ならシンクロ召喚をされる危険は無い。
 仮にされたとしても、こちらには<ライオウ>と<神の宣告>が……。

「そして<スタンピング・クラッシュ>を発動!」
「……え?」

《スタンピング・クラッシュ/Stamping Destruction》 †

通常魔法
自分フィールド上にドラゴン族モンスターが
表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。
フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊し、
そのコントローラーに500ポイントダメージを与える。

「対象は……それだ!」

 次の瞬間。場に現れた小さいな<デブリドラゴン>が「ぴょーん」と<神の宣告>の上に乗り
 そのままジャンプ台で遊ぶように跳ねた。
 4回目でカードが破壊され、僕はその衝撃で500ポイントのダメージを受ける。
 神の宣告で無効にする事も出来たが、ただのライフの払い損になってしまう。

「更に二体のドラゴンをリリースして……<ドラゴニック・タクティクス>を発動!」

《ドラゴニック・タクティクス》 †

通常魔法
自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター2体をリリースして発動する。
自分のデッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。

 上級ドラゴンの召喚魔法……!
 <神の宣告>が破壊された今、止める手段は無い。
 <ライオウ>の効果はシンクロモンスター等の特殊召喚を無効にできても、こういった『チェーンに乗る特殊召喚』を無効にする事はできないからだ。

 ――でも、まだ僕には<次元幽閉>がある!
 <ドラグニック・タクティクス>は手札消費が多い分、アドバンテージを失いやすい。
 手札に地砕きもあるし、その勝負に持ち込めれば……!

「来い!<タイラント・ドラゴン>!!」
「……え?」

タイラント・ドラゴン/Tyrant Dragon》 †

効果モンスター
星8/炎属性/ドラゴン族/攻2900/守2500
相手フィールドにモンスターが存在する場合、
このカードはバトルフェイズ中にもう一度だけ攻撃する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし、破壊する。
このカードが他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、
そのプレイヤーの自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。

 僕の思考に割り込むように、迫力のある巨大なドラゴンが場に舞い降りる。
 治輝さんは召喚したその竜を見て、何故かやたら満足気な顔をしていた。
 ……まずいな、このドラゴンには対象罠である<次元幽閉>は通用しない。

「いくぜ!<タイラント・ドラゴン>で<ライオウ>を攻撃!」
「……くっ!」

 お互いのモンスターの攻撃力の差は1000
 ライオウはタイラント・ドラゴンに破壊され、1000ポイントのダメージを受けるはずだ。
 だがその程度のダメージなら、次のターン地砕きを発動した後にダイレクトアタックをすれば奪い返せ……

【僕LP】3500→1550

 ――ダメージが多い?!
 慌てて場を確認してみるが、タイラント・ドラゴンの攻撃力が上昇しているわけではない。
 おかしい事といえばもう一つ。
 破壊されたはずの僕の<ライオウ>が……まだ場に留まっている。
 その攻撃力は元々の攻撃力の半分、950しかない。

「一体何を……!?」
「速効魔法、<ハーフシャット>を発動させてもらった!」

《ハーフ・シャット/Half Shut》 †

速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターはこのターン戦闘では破壊されず、
攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで半分になる。

「だから<ライオウ>が破壊されてなかったのか……!」
「そして<タイラント・ドラゴン>は、相手フィールドにモンスターがいる場合、もう一度攻撃する事ができる!」
「えっ!?」
「喰らえ、タイラント・バーストォ!」

 荒ぶる炎が、僕のモンスターを包み込んでいく。
 強さを求めて作った僕のデッキは
 負ける事が許されない僕のデッキは

 何もする事ができないまま、初対面の人に負かされてしまった。

【僕LP】1550→0