遊戯王オリジナル episode-15
「ななみ――ちゃん?」
「あの時の――おねえちゃん」
「あの時の――おねえちゃん」
……かづなの知り合いなのか?
治輝は女の子に改めて視線を向けようとして、その途中で佐光の表情が視界に入る。
佐光は眉をひそめ、不機嫌そうな表情を女の子に向けていた。
治輝は女の子に改めて視線を向けようとして、その途中で佐光の表情が視界に入る。
佐光は眉をひそめ、不機嫌そうな表情を女の子に向けていた。
「あの子と知り合いなのか?」
「はい、昨日ショップの外でなお君を待ってる間に会ったんですけど……」
「あぁ、あの時に」
「はい、昨日ショップの外でなお君を待ってる間に会ったんですけど……」
「あぁ、あの時に」
治輝は丁度その時間に、見知らぬ少年と決闘していた事を思い出す。
決闘の前と後の表情が別人のようだったあの子は、今日もフリースペースに居るのだろうか?
決闘の前と後の表情が別人のようだったあの子は、今日もフリースペースに居るのだろうか?
「―――あの人と、知り合いなのですか?」
「……」
「……」
一方、佐光と女の子も似たような会話をしていた。
女の子は下をじっと見ていて、それに佐光は睨むような視線をぶつけている。
その視線に耐え切れなかったのか、女の子は顔を上げた。
女の子は下をじっと見ていて、それに佐光は睨むような視線をぶつけている。
その視線に耐え切れなかったのか、女の子は顔を上げた。
女の子――七水の言葉に満足したのか。笑みを浮かべた佐光は決闘開始の宣言をする。
いつの間にか下を向いていたはずの七水の顔は、真っ直ぐこちらを向いていた。
いつの間にか下を向いていたはずの七水の顔は、真っ直ぐこちらを向いていた。
「よくわからないが、あっちは容赦無しっぽいな……大丈夫か?」
「……みたいですね。今は決闘に集中します!」
「……みたいですね。今は決闘に集中します!」
タッグデュエルルール(オリジナル) □フィールド・墓地はシングルと同じく個別だが、以下の事項は行うことができる。 ・パートナーのモンスターをリリース、シンクロ素材にすること。 ・「自分フィールド上の~」の記述がある効果を使用する際、パートナーのカードを対象に選ぶこと。 ・パートナーの伏せカードは、通常魔法に限り発動する事ができること。 ・パートナーへの直接攻撃を、自分のモンスターでかばうこと。 □最初のターンは攻撃ができない。 □ライフは共通で5000。バーンダメージ等は一人を対象にして通常通り処理する。 □召喚条件さえ揃えば、パートナーのEXデッキも使用できる。
「自分の先行ですか、ドローさせて頂きましょう」
佐光はドローカードを確認し、手札をしばらく眺める。
その後手馴れた様子で1枚のカードを選出する。
その後手馴れた様子で1枚のカードを選出する。
「自分はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
「モンスターを出して来ない……?俺のターン!」
「モンスターを出して来ない……?俺のターン!」
佐光には何かしらの考えが行動だろうが、不気味ではある。
だが、敢えてモンスターを出さない事で<サイバードラゴン>や<バイスドラゴン>のような条件を持つカードの召喚を狙っているのかもしれない……油断はできない。
だが、敢えてモンスターを出さない事で<サイバードラゴン>や<バイスドラゴン>のような条件を持つカードの召喚を狙っているのかもしれない……油断はできない。
「俺はモンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド!」
「わたしのターン、ドロー」
「わたしのターン、ドロー」
七水にターンが渡り、ドローしたカードをじっと見つめる。
その瞳の奥で何を考えているのか、俺にはさっぱりわからなかった。
その瞳の奥で何を考えているのか、俺にはさっぱりわからなかった。
「モンスターをセット、カードを2枚伏せてエンド」
「なら、私のターンです!」
「なら、私のターンです!」
かづながカードを引いた後、自分の手札をロクに確認せずに七水の方に視線をやる。
だが当の七水は、かづなと視線を合わそうともしない。
「―――私はモンスター1枚。カードを1枚伏せてターンエンドします!」
だが当の七水は、かづなと視線を合わそうともしない。
「―――私はモンスター1枚。カードを1枚伏せてターンエンドします!」
「自分のターンですか。これで攻撃は解禁……ですね?」
ゾワリ、と。
佐光の一言で、周りの雰囲気が一変するのを感じた。
間違いない。何か仕掛けてくる――――!
佐光の一言で、周りの雰囲気が一変するのを感じた。
間違いない。何か仕掛けてくる――――!
「永続魔法を発動させて頂きましょう……<神の居城-ヴァルハラ>!」
《神(かみ)の居城(きょじょう)-ヴァルハラ/Valhalla, Hall of the Fallen》 † 永続魔法 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、 手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「そしてその効果を発動。自分フィールドにモンスターが存在しない時に、手札から天使を特殊召喚できる。現れろ……<光神機-轟龍>!!」
《光神機(ライトニングギア)-轟龍(ごうりゅう)/Majestic Mech - Goryu》 † 効果モンスター 星8/光属性/天使族/攻2900/守1800 このカードは生け贄1体で召喚する事ができる。 この方法で召喚した場合、 このカードはエンドフェイズ時に墓地へ送られる。 また、このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、 その守備力を攻撃力が越えていれば、 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
天使デッキ。
噂には聞いていたが、上級モンスターをこうも簡単にフィールドに呼び出してくるとは。
そして轟龍の効果は――――。
噂には聞いていたが、上級モンスターをこうも簡単にフィールドに呼び出してくるとは。
そして轟龍の効果は――――。
「バトルフェイズ、<光神機-轟龍>でそちらの伏せカードに攻撃させて頂きます」
治輝の伏せモンスターである<仮面竜>に轟竜の鋭い尻尾が突き刺さり、その瞬間――ズサリと刺されるような感覚を覚えた。
治輝の伏せモンスターである<仮面竜>に轟竜の鋭い尻尾が突き刺さり、その瞬間――ズサリと刺されるような感覚を覚えた。
【治輝&かづなLP】5000→3200
「くッ……!」
「そして轟龍の攻撃を受けたモンスターのコントローラーには、貫通ダメージを受けてもらいまいましょう……!」
「そして轟龍の攻撃を受けたモンスターのコントローラーには、貫通ダメージを受けてもらいまいましょう……!」
サイコ決闘者との戦い特有の、鈍い痛みが襲い掛かってくる。
だが、その痛みはすぐに収まった。
この程度の力なら一般の粋は出ていないし、まして『ペイン』とは比べ物にならない。
治輝は僅かに口元を吊り上げ、体勢を建て直しながら佐光の方に向き直る。
だが、その痛みはすぐに収まった。
この程度の力なら一般の粋は出ていないし、まして『ペイン』とは比べ物にならない。
治輝は僅かに口元を吊り上げ、体勢を建て直しながら佐光の方に向き直る。
「攻撃を受けたというのに余裕ですね。貴方もしかして……Mですか?」
「って、なんでそうなる!?その思考はおかしくないか?!」
「え、なお君ってそうだったんですか!」
「そっちはそっちで何で嬉しそうな声出してるんだ!?」
「って、なんでそうなる!?その思考はおかしくないか?!」
「え、なお君ってそうだったんですか!」
「そっちはそっちで何で嬉しそうな声出してるんだ!?」
《仮面竜(マスクド・ドラゴン)/Masked Dragon》 † 効果モンスター 星3/炎属性/ドラゴン族/攻1400/守1100 このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、 自分のデッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
「来い!<ドラグニティ・パルチザン>ッ!」
《ドラグニティ-パルチザン》 † チューナー(効果モンスター) 星2/風属性/ドラゴン族/攻1200/守 800 このカードが召喚に成功した時、 手札から「ドラグニティ」と名のついた鳥獣族モンスター1体を特殊召喚し、 このカードを装備カード扱いとして装備する事ができる。 このカードがカードの効果によって装備カード扱いとして装備されている場合、 装備モンスターをチューナーとして扱う。
佐光はそれを見て、見下すような表情をこちらに向けてくる。
同時に決闘盤を操作し、ターンエンドの意思を表明した。
同時に決闘盤を操作し、ターンエンドの意思を表明した。
「チューナーモンスター……シンクロ召喚ですか。そのような低ベルモンスターから<光神機-轟龍>に勝てる攻撃力を誇るモンスターを呼び出せるとは思えませんが?」
「見てりゃわかるさ、俺のターン!手札から<調和の宝札>を発動!」
「見てりゃわかるさ、俺のターン!手札から<調和の宝札>を発動!」
《調和(ちょうわ)の宝札(ほうさつ)/Cards of Consonance》 † 通常魔法 手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動する。 自分のデッキからカードを2枚ドローする。
《ドラグニティ-ファランクス/Dragunity Phalanx》 † チューナー(効果モンスター) 星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100 このカードがカードの効果によって 装備カード扱いとして装備されている場合に発動する事ができる。 装備されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「でもってその二体をリリースして<ドラゴニック・タクティクス>を発動するぜ!」
《ドラゴニック・タクティクス》 † 通常魔法 自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター2体をリリースして発動する。 自分のデッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。
「来い<ドラグニティアームズ-レヴァテイン>!」
次の瞬間、工場の地下から出てきた無数の枝が辺り一面を覆い尽くした。
枝が侵食していく勢いで、辺りにある柱が小刻みに震え出す。
次第に細かい枝は一つになる事で大きくなり、その中心から閃光が零れ出る。
その輝きは剣の形を象り、輝きの中から出現した巨大な竜がそれを握った。
枝が侵食していく勢いで、辺りにある柱が小刻みに震え出す。
次第に細かい枝は一つになる事で大きくなり、その中心から閃光が零れ出る。
その輝きは剣の形を象り、輝きの中から出現した巨大な竜がそれを握った。
《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》 † 効果モンスター 星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する 「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、 手札または墓地から特殊召喚する事ができる。 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、 「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の 自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、 装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。 このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、 装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
「レヴァテインの効果発動――!墓地の<ドラグニティ・ファランクス>を装備し、装備カードとなったファランクスはフィールド上に特殊召喚する事ができる!」
「なお君凄い、2ターン目なのにここまで展開できるなんて……」
「珍しく手札が良いからな、一気に勝負に行かせてもらうぜ!」
「なお君凄い、2ターン目なのにここまで展開できるなんて……」
「珍しく手札が良いからな、一気に勝負に行かせてもらうぜ!」
佐光のサイコ決闘者の力が微弱な物だという事はさっきの<光神機-轟龍>の攻撃で確認できた。
だが、それでも油断はできない。
かづなに被害が及ぶまでに、さっさと勝負を終わらせる――――!
だが、それでも油断はできない。
かづなに被害が及ぶまでに、さっさと勝負を終わらせる――――!
光の輪に包まれた巨大な剣が二つに分かれ、生き物のように脈動を始めた。
次の瞬間、剣は爆炎と共に粉々に砕け散る。
大仰な3つの頭を持つ龍が猛々しく光の中から現れ、鋭い咆哮を上げた。
次の瞬間、剣は爆炎と共に粉々に砕け散る。
大仰な3つの頭を持つ龍が猛々しく光の中から現れ、鋭い咆哮を上げた。
【治輝&かづなLP3200】 『治輝』 手札2枚 場:伏せカード2枚 トライデント・ドラギオン(効果発動直前) 『かづな』 手札4枚 場:伏せカード1枚 裏守備モンスター1枚 【佐光&七水LP5000】 『佐光』 手札4枚 場:伏せカード1枚 神の居城-ヴァルハラ 光神機-轟龍 『七水』 手札3枚 場:伏せカード2枚 裏守備モンスター1枚