シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王オリジナル episode-16

《トライデント・ドラギオン/Trident Dragion》 †

シンクロ・効果モンスター
星10/炎属性/ドラゴン族/攻3000/守2800
ドラゴン族チューナー+チューナー以外のドラゴン族モンスター1体以上
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
自分フィールド上に存在するカードを2枚まで破壊する事ができる。
このターンこのカードは通常の攻撃に加えて、
このカードの効果で破壊した数だけ1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。

「ドラギオンの効果発動!俺は自分の伏せカード1枚指定して破壊!」
「<トライデント・ドラギオン>ですか、その連続攻撃能力は確かに強力ですが……」
 佐光が従える<光神機-轟龍>を超える攻撃力を持つドラギオンを召喚しても、彼の表情は曇らない。

「貴方の手札は既に2枚、豪快にカードを使うのは結構ですが、その様ではすぐに息切れするのでは?」
「心遣いどーも。でもそれは――――余計なお世話って言うんだぜ!」

 次の瞬間。
 <トライデント・ドラギオン>の効果で破壊されるはずだった伏せカードが、墓地に送られる前に発動した。

「破壊効果にチェーンして<超再生能力>を、発動ッ!」

《超再生能力(ちょうさいせいのうりょく)/Super Rejuvenation》 †

速攻魔法
エンドフェイズ時、自分がこのターン中に
手札から捨てた、または生け贄に捧げた
ドラゴン族モンスター1体につき、デッキからカードを1枚ドローする。

「な、フリーチェーンが可能なカード!?」
 佐光の顔が、初めて驚愕の色に染まった。
 それはこちらを見縊っていた故の反応だろうか?どちらにせよ、こちらの狙いがわかってるこその反応だろう。

「確かに<トライデント・ドラギオン>はディスアドバンテージの大きいカードだ。呼ぶのも楽では無いし、呼んだ後にフィールドのカードを犠牲にしないといけない」
「……」
「もしも相手に攻撃を凌がれたり、罠で迎撃されたりすればそこで終わりの博打みたいなカードだ。でもな……」

 発動した<超再生能力>が<トライデント・ドラギオン>の効果で破壊され、墓地に送られる。
 このターンでリリースしたドラゴンは2体。そして捨てたドラゴンは1枚……ただ墓地に送られるだけにも見えたであろうカード達が、合計3枚のカードのドローに可能にする。

「そういったカードの弱点を補うのが決闘者だ。ドロー強化系のカードを破壊にチェーンする事で、不利益は利益に変える事ができる!――――バトル!<トライデント・ドラギオン>で、<光神機-轟龍>に攻撃。トライデント・カノン!」

 <トライデント・ドラギオン>の3つの首のうち、一つの首から巨大な火球が吐き出される。
 火球はそのまま<光神機-轟龍>に直撃し、轟龍は粉々に砕け散った。

【佐光&七水LP】5000→4900

「轟龍がやられましたか……!」
「そして<トライデント・ドラギオン>は<超再生能力>の破壊に成功した事で、もう一度攻撃がする事ができる。伏せモンスターに攻撃だ――セカンド・カノン!」

 轟龍に直撃した火球が細かい粒となって四散し、意思を持った隕石のように七水の伏せモンスターに向かって降り注いでいく。
 集中、集中しろ俺……!

「そして永続罠発動!<竜の逆鱗>ッ!!」

《竜(りゅう)の逆鱗(げきりん)/Dragon's Rage》 †

永続罠
自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「……!」
 小さい女の子――七水が怯えるような仕草をした。
 それを見た俺は集中して、息をゆっくりと吐く。
 その間に四散した炎の礫は、守備モンスターへと到達し――――
 
 直撃。

 守備モンスターは跡形もなく粉砕され、その余波が七水に降り注いでいく。
 伏せモンスターの正体は<グリズリーマザー>
 そこまで守備力の高いモンスターではないので、その貫通ダメージは決して少なくはない。

《グリズリーマザー/Mother Grizzly》 †

効果モンスター
星4/水属性/獣戦士族/攻1400/守1000
このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスター1体を
自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
その後デッキをシャッフルする。

 予想通りというか、佐光は庇う気は全く無いようだ。この二人は仲間といっても、そこまで親密というわけではないらしい。
 ……集中だ、集中。
 次の瞬間、隕石の欠片が七水に直撃する。

「……あぅ!」

【佐光&七水LP】4900→2900

 治輝は攻撃を与えられた七水の方を凝視し、ホッと胸を撫で下ろす。
 良かった、少し熱かったみたいだが、大した外傷はなさそうだ。
 七水は攻撃に怯みながらも、すぐに体勢を建て直しカードを大袈裟な仕草で墓地に送った。

「くま……じゃなかった。<グリズリー・マザー>のこーか発動!」

《グリズリーマザー/Mother Grizzly》 †

効果モンスター
星4/水属性/獣戦士族/攻1400/守1000
このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスター1体を
自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
その後デッキをシャッフルする。

「デッキから<コダロス>さんを特殊召喚!」

《コダロス/Codarus》 †

効果モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1400/守1200
自分フィールド上に表側表示で存在する
「海」を墓地へ送る事で、相手フィールド上に存在する
カードを2枚まで選択して墓地へ送る。

 治輝はその処理を見て、頭を手で支えるような仕草をした。
 それを見たかづなが、不思議そうに首を傾げる。

「……なーんかぴきぴき来るな」
「ぴきぴき?何がですか」
「いやほら、ああ高い声で『こーか』って言われると、無意味に腹が立ってこないか?」
「えぇー……かわいくていいじゃないですか」
「むぅ、俺の器が狭いだけなのか」
「そうですよ。もっと星々の大海のような広い心を持ちましょう!」

 デッキから出現した相手モンスター<コダロス>には目もくれずに、治輝とかづなの二人はどうでもいいことをお互いに主張している。
 そんな様子を眺めていた七水が、ポソリと呟いた。

「コダロスさんはつよいよ。そのドラゴンさんよりも」
 その言葉を聞いた治輝は、七水の方に向き直る。

「確かにソイツの効果は優秀だ。<トライデント・ドラギオン>だって、海をコストに効果を使われたらひとたまりもないだろうな」 
「……ううん、違うよ」

 ざわり、と。七水の周りの空気が変わった。
 乾いているはずの工場に、湿度が加えられたような……。
 そんな中七水はゆっくりと口を開き

「こーかなんて無くても、<コダロス>さんは強いよ」

 そう言い放った七水は幼いながらも、ほんの少し憂いを帯びた表情をしていた。


【治輝&かづなLP3200】

『治輝』 手札2枚(超再生能力適用後は5枚)
場:竜の逆鱗 トライデント・ドラギオン

『かづな』 手札4枚
場:伏せカード1枚 裏守備モンスター1枚

【佐光&七水LP2900】

『佐光』 手札4枚
場:伏せカード1枚 神の居城-ヴァルハラ 

『七水』 手札3枚
場:伏せカード2枚 コダロス