シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル episode-32

「フッ……俺のターン、ドロー!」
 サングラス眼鏡男がキビキビした動きでカードをドローし、ニヤリと笑みを浮かべる。

「俺は暗黒守備表示のモンスターを閃光の攻撃表示に変更する!現界せよ<サイコ・コマンダー>!」

《サイコ・コマンダー/Psychic Commander》 †

チューナー(効果モンスター)
星3/地属性/サイキック族/攻1400/守 800
自分フィールド上に存在するサイキック族モンスターが戦闘を行う場合、
そのダメージステップ時に100の倍数のライフポイントを払って
発動する事ができる(最大500まで)。
このターンのエンドフェイズ時まで、戦闘を行う相手モンスター1体の
攻撃力・守備力は払った数値分ダウンする。

 純也はフィールドに出現したサイキックモンスターを見ると、やや呆れ顔で目を瞑る。

「やっぱり、ただの反転召喚なような」
「ふん、サイコを持たぬ者にはわかるまい……俺の<サイコ・コマンダー>と!」
「俺の<ライフ・コーディネーター>をチューニングだぁ!」

 突如<サイコ・コマンダー>が光の輪に変貌し、<ライフ・コーディネーター>の周囲を包んでいく。

「「シンクロ召喚!<マジカル・アンドロイド>!」」
 そして二人の掛け声が、どことなく不恰好に重なった。

《マジカル・アンドロイド/Magical Android》 †

シンクロ・効果モンスター
星5/光属性/サイキック族/攻2400/守1700
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分のエンドフェイズ時、自分フィールド上に表側表示で存在する
サイキック族モンスターの数×600ライフポイント回復する。

「更に手札から<サイコ・ウォールド>を召喚!」

《サイコ・ウォールド/Psychic Snail》 †

効果モンスター
星4/地属性/サイキック族/攻1900/守1200
800ライフポイントを払って発動する。
自分フィールド上に表側表示で存在するサイキック族モンスター1体は、
1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
この効果を発動するターンこのカードは攻撃する事ができない。

「そしてその効果により、ライフポイントを800代償にする事で、<マジカル・アンドロイド>は二回の攻撃が可能になる!」

【長身スーツ男&サングラス眼鏡男LP】5000→4200

「さぁ、バトルだ!アンドロイドで青瀬七水の伏せモンスターに攻撃!」
 光の中から出現したサイキックモンスターは、その杖を振り上げ伏せモンスターへと降り降ろす。

「……ッ!」

 七水の伏せモンスターである<シー・アーチャー>が破壊された。

 でも攻撃表示で出さなかったのは正解だった。と七水は状況を冷静に分析する。
 見た所この二人組みのサイキック能力は高くはなさそうだけれど、余計なダメージを受けないに越した事はない。

「更に少年のモンスターにも消えてもらおう!」
 続けて<マジカル・アンドロイド>の攻撃が純也の伏せモンスターに降り注ぎ、破壊される。

「ごめん<チューン・ウォリアー>……」
「カードを一枚伏せた後、エンドフェイズに<マジカル・アンドロイド>の効果でライフポイントを1200回復する。さぁ少年、次は貴様の番だ!」

【長身スーツ男&サングラス眼鏡男LP】4200→5400

 攻撃した即座にサングラス眼鏡スーツ男が、純也にターンを渡す。
 だが、当の純也はデッキからカードをドローしようとせずに、二人組みの顔をジッと見ていた。
 
「そのデッキ、お兄さん達が作ったの?」
「このデッキはタッグ決闘専用にベイン本部で作られた特製デッキだ。だが細かな調整は……」
「やっぱりそうなんだ。前にも似た相手と、戦った事があったから」
「前にも……?」

 その言葉を聞いて、七水は訝しげに首を傾げる。
 ベインの一員に負けたものは、組織に二度と歯向かう気を失くす程の目に合わせられるか、最悪命を取られる場合があると聞いている。
 つまり、ベインの一員と戦った経験があるという事は

(……ベインとの戦いに、勝った経験があるという事と、同じ事)

 七水は改めて純也の姿を見る。
 凄腕だとか、場慣れしているといった感じは全然しない。
 だけど先程まで七水が抱いていた印象は、先程とはまるで形を変えていた。
 
「確かにタッグ決闘って、専用のデッキで二人とも固めた方が強いよね!」
「そうだ。だから我等は――」
「でも、さ」

 純也は誰に対してでもなく、独り言のようにこう呟いた。

「僕は、自分らしいデッキで戦った方が楽しいと思う」
「自分らしい、だと?」
「僕はそれを最近教えてもらったんだ!ドロー!」

 純也はデッキからカードをドローし、くるりと回転させてカードを確認する。
 それを見た純也は満足げに首を縦に振ると、そのままカードを発動した。

「僕は手札のモンスターを一枚墓地に送り、伏せカードの<ワンフォー・ワン>を発動!」

《ワン・フォー・ワン/One for One》 †

通常魔法(制限カード)
手札からモンスター1体を墓地へ送って発動する。
手札またはデッキからレベル1モンスター1体を
自分フィールド上に特殊召喚する。

「デッキから<レベル・スティーラー>を特殊召喚。そして――」

 いくよ、相棒。
 誰にも聞こえないように、純也は静かにそう呟く。

「場に出した<レベル・スティーラー>をリリース!」
アドバンス召喚だぁ?シンクロが主流の環境で、そんな化石のような召喚で何ができる!」

 長身スーツ男の野次は、純也の耳には届かない。
 ゆっくりと一枚のカードを手に取り、それを大きく上に掲げる。

「アドバンス――召喚!」

 そう純也が宣言した瞬間。
 掲げたカードから、炎で形勢された獣が上空へと飛び出した。
 その炎獣はやがて純也へ狙いを定め、物凄い勢いで落下してくる。

「……ッ!?」

 七水は驚愕しつつも、自慢の脚力でそこから飛び退いた。
 そして、そのまま爆発。
 純也の周りが、円形の炎の膜のような物に包まれる。

「フッ……勝てないと判って自爆したか?」

 サングラス眼鏡男はそう呟き、七水は不安気にその炎をじっと見つめる。
 だがそんな中、荒ぶる炎の中から純也の声が、高々と聞こえてきた。



   
「一緒に戦おう!<紅蓮魔闘士>!!」

 次の瞬間、炎の膜が突如真っ二つに切り裂かれる。
 そして切り裂かれた炎と炎の狭間から、漆黒の鎧を纏った赤髪の剣士が現れた。

【純也&七水LP5000】

『純也』
手札3枚
場・紅蓮魔闘士

『七水』
手札4枚
場・伏せカード1枚 伏せモンスター1枚




【眼鏡サングラス男&長身スーツ男LP5600】

『眼鏡サングラス男』
手札4枚
場・伏せカード1枚 マジカルアンドロイド サイコ・ウォールド 

『長身スーツ男』
手札5枚
場・なし