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遊戯王オリジナル episode-34

 スーツ男達との決闘は終わり――。
 七水は何処か釈然としない感情を抱きながらも、純也に礼を言った。
 何処かふざけた印象が残るような人だったけど、助けてくれたのは事実だし、それに。

「貴方は、強いんだね」

 一体のモンスターの攻撃で、一ターンに5000以上のライフを削りきる事など、並の決闘者にできる事ではない。七水は本心から、純也にそう伝えた。
 しかし純也をそれを聞くと「うーん……」と微妙そうな顔をして頬を掻く。

「まだまだ強くなんかないよ。兄さんにも勝てた事少ないし、少し前にも『治輝さん』って人に一瞬で倒されちゃったし」
「……え?」

 純也の口から出た意外な名前に、七水は驚きで目を見開く。
 治輝、時枝治輝。その名前は――
 かづなおねえちゃんが、今一番会いたい人の、名前ではなかったか。

「――治輝さんの事、知ってるの?!」
「うん、あの人と決闘できたから僕は――……って、君も治輝さんの知り合い?」
「もし知っているなら案内して、お願い」

 藁をも掴むような表情で、七水は純也の腕を掴んで懇願する。
 あの人にまた会う事ができれば、あの人とまた一緒に過ごす事ができれば
 かづなおねえちゃんは、また昔みたいに笑ってくれるかもしれない。

「わ、わかったよ。正確な場所はわからないけど、あの人が行きそうな場所なら……」

 少し顔を赤くして、純也は腕を掴まれた状態のままゆっくりと歩き始める。
 七水はそれを逃すまいと、早足で純也の後を付いていった。