シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル episode-43

【治輝LP4000】 手札0枚 
場:デブリ・ドラゴン ガードオブ・フレムベル ドラゴン・アイス ミンゲイドラゴン
伏せカード2枚 エンジェルリフト

【袖無し兄弟LP5000】

『袖無し兄』 手札3枚
場:伏せカード3枚

『袖無し弟』 手札4枚
場:マジカル・アンドロイド

「まだ終わらない、だと?」
 サングラス眼鏡男は訝しげに治輝に問いかける。
「ああ、俺はここで<超再生能力>を発動する」

《超再生能力(ちょうさいせいのうりょく)/Super Rejuvenation》 †

速攻魔法
エンドフェイズ時、自分がこのターン中に
手札から捨てた、または生け贄に捧げた
ドラゴン族モンスター1体につき、デッキからカードを1枚ドローする。

「フッ」
 それを見た袖無し兄は、口を大きく歪ませ、声を上げて笑った。
「ハッハッハ、正に読み通り!やはりそのカードを使ってきたな、時枝治輝!」
「戒斗が聞いてたら憤慨者だなこれは。読み通り、読み通り……他の言葉を知らないのか?」
 治輝の挑発的な言葉を受け、袖無し兄の笑みが消えた。
「貴様……手札0枚の分際で調子に乗るなよ?」
「0枚ね、確かに今はそうだ。だが……」

 次の瞬間、治輝の場のモンスター達が消え失せた。
「な……?!」
 驚愕する袖無し兄の目の前で、柱が4つ出現する。

 一つは、燃え盛る炎の柱。
 一つは、飛沫を上げる水の柱。
 一つは、頑強な土の柱
 一つは、旋風のような風の柱。

「異なる力を今こそ一つに束ねる!罠カード<エレメンタル・バースト>発動!!」

 全ての柱が徐々に中央へと寄って行き、一つの巨大な光の奔流へと変貌していく。
 それは一定の色を保っておらず、虹色のような多くの色彩を纏っているように見えた。
 その巨大な極光が、袖無し兄弟のフィールドを覆い尽くす。
「な……なんだこれは!?」

 袖無し弟の伏せカードが破壊された。そのカードは和睦の使者。
 袖無し兄のカードが破壊された。そのカードは次元幽閉、神の警告、奈落の落とし穴。
 そして初ターンに召喚していた<マジカル・アンドロイド>も、虹色の極光に呑まれ消失する。

「マイナーカードだから知らない奴も多いよな……。このカードは<エレメンタルバースト>!」

《エレメンタルバースト/Elemental Burst》 †

通常罠
自分フィールド上に存在する風・水・炎・地属性モンスターを
1体ずつ生け贄に捧げて発動する。
相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する。

「実在する破壊系トラップカードの中で、最強の効果を持つカードだ!」
「フッ、馬鹿が!そんな発動条件の厳しい罠カードをデッキに入れる馬鹿が何処にいる!<風林火山>を投入した方がまだマシだ――見ろ!」

【治輝LP5000】 手札0枚 
場:なし

【袖無し兄弟LP5000】

『袖無し兄』 手札3枚
場:なし

『袖無し弟』 手札4枚
場:なし

「確かに貴様のお陰でフィールド上の全てのカードは消え失せた。だが……それは貴様も同じ事!」
「……」
「そして貴様の手札は0!そんな状況で何が出来る!」
 わなわなと震えながらも、袖無し兄は「ビシィ!」と治輝に対して指を指す。
 それに対して治輝は「やれやれ」と肩を竦めた。

「確かにこの戦術は博打みたいなもんだ。だが言わなかったか?『急いでる』ってな!」

 突如、治輝のデッキが薄く光り始め、4枚のカードを治輝の手札に加えた。
 その色は先程の光と同じ……赤、青、緑、茶の4色。

「な……!?」
「手札の心配ありがとうございました――ってな。<エレメンタル・バースト>のコストは4属性モンスターのリリースだ。超再生能力の適用内で、4枚のドローが可能なんだよ」
 驚愕の余り、袖無し兄弟は声が出せない。
 何かを言おうとしているが、それが言葉にならない。

「さてこっちのターンだ。俺はフィールドが空なので、墓地からミ……<Totem Dragon>を特殊召喚!」

《ミンゲイドラゴン/Totem Dragon》 †

効果モンスター
星2/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200
ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、
このモンスター1体で2体分のリリースとする事ができる。
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「そして手札から<ドラグニティ・ファランクス>を通常召喚!そしてそのカードを墓地に送り<ドラグニティアームズ・ミスティル>を特殊召喚する!!」

 その言葉と同時に旋風が巻き起こり、その中心部に小さな木が出現した。
 黄色みを帯びた緑色の葉は1組ずつ対をなし、鮮やかに輝いてその存在を主張している。
 だが次の瞬間、その鮮やかな葉は四散し、木は鋭利な刃物へと姿を変えていき……。
 一本の、剣となった。
 四散した葉は一つに集まっていき、巨大なモンスターへと変貌していく。
 強固な鱗は黄色みを帯び、剣を手にしたそのモンスターは、その剣と同じように鋭い咆哮を上げた。

《ドラグニティアームズ-ミスティル》 †

効果モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2100/守1500
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが手札から召喚・特殊召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。

「効果発動!先程召喚した<ドラグニティ-ファランクス>を墓地から装備し……ファランクスを自身の効果でフィールド上に出現させる!」

《ドラグニティ-ファランクス/Dragunity Phalanx》 †

チューナー(効果モンスター)
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
このカードがカードの効果によって
装備カード扱いとして装備されている場合に発動する事ができる。
装備されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「そして2枚のカードを伏せ、三体のモンスターをチューニング!」

 レベル2の<Totem Dragon>
 レベル6の<ドラグニティアームズ・ミスティル>
 そしてチューナーであるレベル2の<ドラグニティ-ファランクス>
 ミスティルは光の粒となり消失し、持っていた剣が地面に突き刺さる。
 その剣に絡むようにTotem Dragonは巻き付き。
 ファランクスは、光の輪へと変貌する。

 次の瞬間

 光の輪に包まれた剣が二つに分かれ、生き物のように脈動を始めた。
 剣と置物のような竜は吹き上がる爆炎と共に光に包まれる。
 大仰な3つの頭を持つ龍が猛々しく光の中から現れ、鋭い咆哮を上げた。 

「轟炎の粉塵を纏いし暴君と成せ!シンクロ召喚……<トライデント・ドラギオン>!!」

《トライデント・ドラギオン/Trident Dragion》 †

シンクロ・効果モンスター
星10/炎属性/ドラゴン族/攻3000/守2800
ドラゴン族チューナー+チューナー以外のドラゴン族モンスター1体以上
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
自分フィールド上に存在するカードを2枚まで破壊する事ができる。
このターンこのカードは通常の攻撃に加えて、
このカードの効果で破壊した数だけ1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。

「伏せカードを2枚破壊し、このカードは3回の攻撃が可能だ」
「馬鹿な、俺達のライフは共通で5000……」
「おまえは俺の行動にイチイチ『読めている』だのとオウムのように呟いていたが……」
 治輝は鋭い眼光を相手に向け、ジリジリと後ずさる袖無し兄を睨み付ける。

「行動を読めていようが、それに対処できなければ何の意味もないんだよ」

 その台詞と共に、治輝は軽く『集中』する。
 殺さない程度に、喋れる程度に。
 ――痛みを失くさない程度に。

 主人の意思を読み取ったのか。ドラギオンが巨大な火球を相手に吐き出した。
 袖無し兄弟のライフを、一気に半分以上削り取る。
 火球を喰らった袖無し兄は壁に吹き飛ばされ、その衝撃で近くのガラスが粉々に割れた。
「がはッ……!」
「や、やめてくれ!兄者が死んじまう!」
「……なら答えてくれ。お前らのリーダー、愛城は今、何処にいる?」
 極力凄んだ声を出すように努力しながら、治輝は袖無し兄弟に向かってそう言い放つ。
 すると

「フッ、残念だったな……愛城様ならここにはいない。『学校』に行く、と言って先程外出した」

 擦れた声で、袖無し兄がそう言い放つ。
 治輝はそれを聞いて、顔面蒼白になった。