シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル episode-62

「私の、ターン!」

 決意を込めるように、かづなはデッキからカードを1枚ドローした。
 そのドローカードを確認しようと表にすると、かづなの動きがしばらく硬直する。
「どうした?」
「……いや、このカードには前も助けられたなぁって」
 しみじみと呟くかづなの言葉の意味が、治輝にはわからない。
 そんな思考が表情に出てしまったのか、かづなはそのドローしたカードを、勢い良く発動した。

「マジックカード発動です!<死者蘇生>!!」

《死者蘇生(ししゃそせい)/Monster Reborn》 †

通常魔法(制限カード)
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

「な……」
 この土壇場で死者蘇生を引いてきたのか!?
 余りのドロー運に、治輝はかづなの勝負強さのような物に戦慄する。
 だが、治輝は思う。
 墓地には<タイラント・ドラゴン>がいるが、蘇生するには媒体となるモンスターが必要な上に<青氷の白夜龍>には届かない。<神禽王アレクトール>でも<ドラグニティアームズ・レヴァテイン>でも、それは同じ事だ。
 だが、かづなの予想は治輝の上を行った。

「なお君の墓地の<デブリ・ドラゴン>を特殊召喚します!」
「!?」

デブリ・ドラゴン/Debris Dragon》 †

チューナー(効果モンスター)(準制限カード)
星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

 わぎゃぁ!と鳴き声を上げ、光の中からサイズの小さいドラゴンが召喚される。
 その姿にかづなはまた小さく微笑み、続けて手札の一枚をくるりと回転させ、小鳥のようなモンスターを召喚した。
「更に<ユニバード>を召喚します!」

《ユニバード/Unibird》 †

効果モンスター
星2/風属性/鳥獣族/攻 100/守 600
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体と
このカードをゲームから除外し、
その元々のレベルを合計した数値以下のレベルを持つ
シンクロモンスター1体を自分の墓地から選択して発動する。
選択したモンスターを墓地から特殊召喚する。
 
「何の真似だ?おまえはシンクロ召喚なんて」
 した事が無いはずだ、と。
 言葉を続けた所で、治輝は一つの事実を思い出す。
 一度だけ、ある。コイツがシンクロ召喚をした事が
 『一緒に』シンクロ召喚をした事が――

「スドちゃん、私に力を貸して!」

 かづながそう宣言すると。
 <デブリドラゴン>と<ユニバード>が、それぞれ鮮やかな緑色に発光し始める。
 やがてデブリドラゴンはわぎゃぎゃあ!と叫び声を上げると、そのまま緑色のリングへと変貌し
 ユニバードはより緑色の光を強め、その翼を大きくはためかせて真っ直ぐ上へ飛翔する。
 そしてそのままくるりと向きを下に変え、急降下。
 緑の輪は床に規則的に並べられ、トンネルのように接地され
 小さな鳥が地面を這うように、そのトンネルに向かって滑空していく。

「いっけえええええええええええ!!」

 かづなが元気よく手を振り上げ、大きく声を張り上げる。
 すると、ユニバードはそのトンネルを思い切り付き抜けると、辺りを緑色の光で満たし尽くした。
 視界が遮られ、治輝には何が起きているかわからない。
 光が収まり、視界がクリアになると……そこには見た事のないモンスターが存在していた。

 そのモンスターは長い槍を携え、上空へと浮かんでいた。
 その全長はその槍よりも更に長身で、スラリとした外見をしている。
 しかし華奢というわけではなく、紫色のボディに、堅牢なイメージを持つ白銀の鎧を纏っていた。

《ドラグニティナイト-ゲイボルグ/Dragunity Knight - Gae Bulg》 †

シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2000/守1100
ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上
このカードが戦闘を行うダメージステップ時に1度だけ、
自分の墓地に存在する鳥獣族モンスター1体を
ゲームから除外して発動する事ができる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
ゲームから除外したそのモンスターの攻撃力分アップする。

 以前召喚したバルーチャと同じ、騎士の名を冠するモンスター。
 その雰囲気に、存在感に、治輝は圧倒される。
「さっき強くなったって言ってくれましたけど――私、強くなんかないです」
 少し落ち着いた声が、そのモンスターの背後から聞こえてくる。
 表情はよく見えなかったが、少し笑っているような声だった。
 
「だからまた、手を引っ張ってもらいます。今日この時だけ、あなたを越えるために!」

【治輝LP2750】 手札2枚  
場:青氷の白夜龍
伏せカード2枚 

【かづなLP3400】 手札1枚
場:ドラグニティナイト・ゲイボルグ