遊戯王オリジナル episode-67
「裏切ったって、そんな――」
「そんなつもりはなかった。とでも言うつもり?随分都合のいい人間なのね、貴方」
「そんなつもりはなかった。とでも言うつもり?随分都合のいい人間なのね、貴方」
手で髪を流しながら、愛城は七水に対して辛辣な言葉をぶつける。
「確かに貴方は、今回は上手く行ったかもしれない。でもそれがいつまで続くかは、わからない」
「そんな事……」
「異能の者というのはいつだって迫害を受けるものよ。貴方はまた問題に直面したら、その時だけ仲間面して他のサイコ決闘者に頼るのかしら」
「……」
「結局貴方のやっている事は所詮問題の先送り。だから貴方の『ベイン』に対した裏切りは、これ以上ない程に浅はかだわ」
愛城はかつてグランドだった場所の中央で、七水を睨み付ける。
そして同時に、その口元を大きく釣り上げた。
「確かに貴方は、今回は上手く行ったかもしれない。でもそれがいつまで続くかは、わからない」
「そんな事……」
「異能の者というのはいつだって迫害を受けるものよ。貴方はまた問題に直面したら、その時だけ仲間面して他のサイコ決闘者に頼るのかしら」
「……」
「結局貴方のやっている事は所詮問題の先送り。だから貴方の『ベイン』に対した裏切りは、これ以上ない程に浅はかだわ」
愛城はかつてグランドだった場所の中央で、七水を睨み付ける。
そして同時に、その口元を大きく釣り上げた。
「最後のチャンスよ七水ちゃん。――ベインに戻りなさい」
はっきりとした口調で、愛城はそう言い放つ。
それは誘いの言葉だが、同時に威嚇と、忠告の言葉でもあった。
これを断れば二度目はないぞ、と。
七水は喉元にナイフを突きつけられているような、冷たい感触を感じた。
それでも
それは誘いの言葉だが、同時に威嚇と、忠告の言葉でもあった。
これを断れば二度目はないぞ、と。
七水は喉元にナイフを突きつけられているような、冷たい感触を感じた。
それでも
「――ごめんなさい」
七水は謝りながら、決闘盤を展開させた。
後方に待機している虎王に小さく呟くと、ドゥローレンは純也を連れて病院へと走っていく。
七水は謝りながら、決闘盤を展開させた。
後方に待機している虎王に小さく呟くと、ドゥローレンは純也を連れて病院へと走っていく。
「そう、それが貴方の答えなのね」
愛城はさして驚きもせず、しかし少しの憐憫を表情に浮かべながら、決闘盤を展開する。
決闘!!
グランドの中央で二人の声が交差し、二人の決闘が始まった。
愛城はさして驚きもせず、しかし少しの憐憫を表情に浮かべながら、決闘盤を展開する。
決闘!!
グランドの中央で二人の声が交差し、二人の決闘が始まった。
【七水LP4000】 手札5枚 場:なし 【愛城LP4000】 手札5枚 場:なし
「わたしの、ターン」
少し堅い動作で、七水はデッキからカードをドローした。
純也君があそこまで頑張っても、打ち崩せなかった愛城さんのデッキ。
迂闊な動きをすれば、ライフはすぐになくなってしまう。
――ここは、慎重にいかないと。
純也君があそこまで頑張っても、打ち崩せなかった愛城さんのデッキ。
迂闊な動きをすれば、ライフはすぐになくなってしまう。
――ここは、慎重にいかないと。
「わたしはカードを2枚セット、モンスターを一枚セットして、ターンエンドするよ」
「私のターン。――随分慎重ね。なら私から攻めさせてもらうわ」
愛城はそう宣言すると、手札を扇状に開き、流れるように一枚のカードを選び取る。
「私は<神の居城-ヴァルハラ>を発動!」
「私のターン。――随分慎重ね。なら私から攻めさせてもらうわ」
愛城はそう宣言すると、手札を扇状に開き、流れるように一枚のカードを選び取る。
「私は<神の居城-ヴァルハラ>を発動!」
《神(かみ)の居城(きょじょう)-ヴァルハラ/Valhalla, Hall of the Fallen》 † 永続魔法 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、 手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
上級の天使が来る――!
七水はヴァルハラの発動で更に警戒を強め、冷や汗を流す。
愛城はそんな七水を満足そうに眺めると、一枚のカードをフィールドに叩き付けた。
七水はヴァルハラの発動で更に警戒を強め、冷や汗を流す。
愛城はそんな七水を満足そうに眺めると、一枚のカードをフィールドに叩き付けた。
「<神の居城-ヴァルハラ>の効果で、手札の<創造の代行者ヴィーナス>を特殊召喚!」
《創造(そうぞう)の代行者(だいこうしゃ) ヴィーナス/The Agent of Creation - Venus》 † 効果モンスター 星3/光属性/天使族/攻1600/守 0 500ライフポイントを払って発動する。 自分の手札またはデッキから「神聖なる球体」1体を 自分フィールド上に特殊召喚する。
「そして<創造の代行者ヴィーナス>の効果を発動!ライフポイントを払う事でデッキから2体の<神聖な球体>を特殊召喚するわ!」
《神聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)/Mystical Shine Ball》 † 通常モンスター 星2/光属性/天使族/攻 500/守 500 聖なる輝きに包まれた天使の魂。 その美しい姿を見た者は、願い事がかなうと言われている。
【愛城LP】4000→3000
「一ターンで三体のモンスター……!?」
「言ったでしょう?私から攻めさせてもらうと!」
茶色の羽を生やした黒き堕天使を囲むように、二体のモンスターが召喚された。
そして三体のモンスターを召喚したという事は……。
「言ったでしょう?私から攻めさせてもらうと!」
茶色の羽を生やした黒き堕天使を囲むように、二体のモンスターが召喚された。
そして三体のモンスターを召喚したという事は……。
「神をも見放す白き痛み、具現せよ。アルカナフォースex……」
愛城が手札を一枚、天に向かって放り投げた。
突如、七水の視界が大きく揺さぶられ、焦点が上手く定まらなくなる。
(来る――――!)
先程と同じ予兆を見た七水は、冷や汗を一つ流す。
3つの閃光が地面から溢れ出し、光の中にいる<創造の代行者ヴィーナス><神聖なる球体>合計3体のモンスターが、その白い光を浴びて消し炭になってしまった。
「――来なさい。ダークルーラー!」
突如、七水の視界が大きく揺さぶられ、焦点が上手く定まらなくなる。
(来る――――!)
先程と同じ予兆を見た七水は、冷や汗を一つ流す。
3つの閃光が地面から溢れ出し、光の中にいる<創造の代行者ヴィーナス><神聖なる球体>合計3体のモンスターが、その白い光を浴びて消し炭になってしまった。
「――来なさい。ダークルーラー!」
光にたまらず目を瞑った七水は、数秒経ってようやくその目を開いた。
すると、目の前には巨大なモンスターが陣取っていた。
ドラゴン族のような首を2つ持ち、機械のような関節を持つその姿を確認し、七水に戦慄が走る。
すると、目の前には巨大なモンスターが陣取っていた。
ドラゴン族のような首を2つ持ち、機械のような関節を持つその姿を確認し、七水に戦慄が走る。
……早くも、このモンスターの召喚を許してしまった。
《アルカナフォースEX(エクストラ)-THE DARK RULER(ザ・ダーク・ルーラー)/Arcana Force EX - The Dark Ruler》 † 効果モンスター 星10/光属性/天使族/攻4000/守4000 このカードは通常召喚できない。 自分フィールド上に存在するモンスター3体を 墓地へ送った場合のみ特殊召喚する事ができる。 このカードが特殊召喚に成功した時、コイントスを1回行い以下の効果を得る。 ●表:このカードはバトルフェイズ中2回攻撃する事ができる。 この効果が適用された2回目の戦闘を行った場合、 このカードはバトルフェイズ終了時に守備表示になる。 次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。 ●裏:このカードが破壊される場合、フィールド上のカードを全て破壊する。
愛城が先程投げ放ったカードが、下に落ちて来た。
パサリ、と場に落ちたそのカードの正体は――当然ダークルーラーだ。
その頭の向きは、真っ直ぐ七水の方を向いている。
パサリ、と場に落ちたそのカードの正体は――当然ダークルーラーだ。
その頭の向きは、真っ直ぐ七水の方を向いている。
「正位置、か。手間が省けていいわね」
ダークルーラーの正位置の効果。
それは即ち、攻撃力4000の二回攻撃を意味している。
七水は目の前の巨大な最上級天使に恐怖を抱きながら、しかし一つの希望を見出した。
(でも、このターンさえ凌げば……次のターンは攻撃されない!)
もし手札に存在するこのカードの召喚に成功すれば、ダークルーラーだって倒す事ができる。
その為には、このターンをなんとしても凌がないと。
それは即ち、攻撃力4000の二回攻撃を意味している。
七水は目の前の巨大な最上級天使に恐怖を抱きながら、しかし一つの希望を見出した。
(でも、このターンさえ凌げば……次のターンは攻撃されない!)
もし手札に存在するこのカードの召喚に成功すれば、ダークルーラーだって倒す事ができる。
その為には、このターンをなんとしても凌がないと。
「バトルフェイズ。ダークルーラーで裏側守備表示モンスターを攻撃――レイニング・オリジン!」
瞬きをする暇もなかった。
白い光が龍の口から発せられ、その攻撃は一瞬で裏側守備表示モンスターを葬りさる。
七水の周りには破壊されたモンスターの欠片が弾け飛び、更にダークルーラーはもう一つの口を大きく開けた。
「リクルーターですら無いなんて残念ね。ここで幕引きよ――ダークルーラー!」
二度目の攻撃が、攻撃の余韻すら待たずに七水を襲っていく。
だが、七水は恐怖を感じつつも、あくまで冷静だった。
白い光が龍の口から発せられ、その攻撃は一瞬で裏側守備表示モンスターを葬りさる。
七水の周りには破壊されたモンスターの欠片が弾け飛び、更にダークルーラーはもう一つの口を大きく開けた。
「リクルーターですら無いなんて残念ね。ここで幕引きよ――ダークルーラー!」
二度目の攻撃が、攻撃の余韻すら待たずに七水を襲っていく。
だが、七水は恐怖を感じつつも、あくまで冷静だった。
「罠カード発動!<ガード・ブロック>!!」
《ガード・ブロック/Defense Draw》 † 通常罠 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、 自分のデッキからカードを1枚ドローする。
薄いバリアのような光が七水の目の前に構築され、ダークルーラーが放った極光を打ち消し、粉々に砕け散った。
「私の戦闘ダメージをゼロにして、カードを一枚ドローするよ!」
「小賢しい手ね。そうやって問題を先送りにしても、痛みを先送りにしても、いつかはソレに食われる運命なのに」
「……それでも、私はかづなおねえちゃんの言葉を、みんなとの未来を信じたい」
「私の戦闘ダメージをゼロにして、カードを一枚ドローするよ!」
「小賢しい手ね。そうやって問題を先送りにしても、痛みを先送りにしても、いつかはソレに食われる運命なのに」
「……それでも、私はかづなおねえちゃんの言葉を、みんなとの未来を信じたい」
それが、七水の本心だった。
あの時、私を優しいと言ってくれたかづなおねえちゃんと
サイコ決闘者である私をまた受け入れてくれた、みんなを疑いたくない。
その一心で、七水は愛城と敵対している。
そんな七水を見て、愛城は何処か懐かしいような物を見るような表情を浮かべた。
そして
あの時、私を優しいと言ってくれたかづなおねえちゃんと
サイコ決闘者である私をまた受け入れてくれた、みんなを疑いたくない。
その一心で、七水は愛城と敵対している。
そんな七水を見て、愛城は何処か懐かしいような物を見るような表情を浮かべた。
そして
「――私の弟もね。似たような事を言っていたわ」
愛城は目を細め、苦虫を噛み潰すような顔をしながら、そう言い放った。