遊戯王オリジナル episode-75
【治輝LP4000】 手札3枚 場:スクラップ・ドラゴン 伏せカード二枚 【愛城LP4300】 手札3枚 場:神の居城-ヴァルハラ
「私の、ターン」
覇気の無い声で、愛城はカードをドローする。
切り札を失って意気消沈しているのだろうか、と治輝は考えていたのだが、違う。
覇気の無い声で、愛城はカードをドローする。
切り札を失って意気消沈しているのだろうか、と治輝は考えていたのだが、違う。
《創造(そうぞう)の代行者(だいこうしゃ) ヴィーナス/The Agent of Creation - Venus》 † 効果モンスター 星3/光属性/天使族/攻1600/守 0 500ライフポイントを払って発動する。 自分の手札またはデッキから「神聖なる球体」1体を 自分フィールド上に特殊召喚する。
「ヴィーナス……!?」
まずい、と治輝は決闘盤を構え直す。
あのカードを召喚したという事は、既に『闇の方』も手札に存在するという事――!
治輝の考えを肯定するかのように、愛城はライフコスト1500払い、三体のモンスターをデッキから特殊召喚する。
まずい、と治輝は決闘盤を構え直す。
あのカードを召喚したという事は、既に『闇の方』も手札に存在するという事――!
治輝の考えを肯定するかのように、愛城はライフコスト1500払い、三体のモンスターをデッキから特殊召喚する。
《神聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)/Mystical Shine Ball》 † 通常モンスター 星2/光属性/天使族/攻 500/守 500 聖なる輝きに包まれた天使の魂。 その美しい姿を見た者は、願い事がかなうと言われている。
【愛城LP】4300→2800
三体の<神聖なる球体>が場に現れ、その内二体と<創造の代行者>は、光の柱に包まれる。
愛城が手札を一枚、天に向かって放り投げた。
次の瞬間、地面に大きく亀裂が走る。
3つの閃光……いや、黒い煌きの奔流が、地面から天へと伸びていく。
そして閃光の中にいる二体の<神聖なる球体><創造の代行者ヴィーナス>の三体が、その黒い煌きを浴びて消し炭になった。
その激しい中、治輝はそれを召喚する愛城を目に焼き付ける。
苦しんで消えていった自らのモンスター達にも省みる事をしない愛城の姿を、しっかりと目に焼き付ける。
愛城が手札を一枚、天に向かって放り投げた。
次の瞬間、地面に大きく亀裂が走る。
3つの閃光……いや、黒い煌きの奔流が、地面から天へと伸びていく。
そして閃光の中にいる二体の<神聖なる球体><創造の代行者ヴィーナス>の三体が、その黒い煌きを浴びて消し炭になった。
その激しい中、治輝はそれを召喚する愛城を目に焼き付ける。
苦しんで消えていった自らのモンスター達にも省みる事をしない愛城の姿を、しっかりと目に焼き付ける。
「神をも貫く深淵の痛み、具現せよ。アルカナフォースex……ダークルーラー!」
《アルカナフォースEX(エクストラ)-THE DARK RULER(ザ・ダーク・ルーラー)/Arcana Force EX - The Dark Ruler》 † 効果モンスター 星10/光属性/天使族/攻4000/守4000 このカードは通常召喚できない。 自分フィールド上に存在するモンスター3体を 墓地へ送った場合のみ特殊召喚する事ができる。 このカードが特殊召喚に成功した時、コイントスを1回行い以下の効果を得る。 ●表:このカードはバトルフェイズ中2回攻撃する事ができる。 この効果が適用された2回目の戦闘を行った場合、 このカードはバトルフェイズ終了時に守備表示になる。 次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。 ●裏:このカードが破壊される場合、フィールド上のカードを全て破壊する。
黒き光の中心部から、ソレは現れた。
ドラゴン族のような首を2つ持ち、機械のような関節を持つその姿は、隣にいる最上級天使、ライトルーラーと瓜二つだ。
目立つ違いといえば、トゲのような物が付いている事。
丸みを帯びたイメージのライトルーラーと違い、ダークルーラーのフォルムは鋭利な刃物を連想させる。
フィールドに存在するスドは、その圧迫感を間近に受け、僅かにたじろいだ。
治輝は冷や汗をたらし、愛城を真っ直ぐ睨み付ける。
「やっぱりソイツを握っていたか――愛城!」
「私は、ダークルーラーの効果を発動」
ドラゴン族のような首を2つ持ち、機械のような関節を持つその姿は、隣にいる最上級天使、ライトルーラーと瓜二つだ。
目立つ違いといえば、トゲのような物が付いている事。
丸みを帯びたイメージのライトルーラーと違い、ダークルーラーのフォルムは鋭利な刃物を連想させる。
フィールドに存在するスドは、その圧迫感を間近に受け、僅かにたじろいだ。
治輝は冷や汗をたらし、愛城を真っ直ぐ睨み付ける。
「やっぱりソイツを握っていたか――愛城!」
「私は、ダークルーラーの効果を発動」
愛城がそう言うと、先程投げ放ったカードが、下に落ちて来た。
パサリ、と場に落ちたそのカードは<アルカナフォースEX THE DARK RULER>
その頭の向きは、真っ直ぐ治輝の方を向いている。
パサリ、と場に落ちたそのカードは<アルカナフォースEX THE DARK RULER>
その頭の向きは、真っ直ぐ治輝の方を向いている。
「正位置ね。――貴方を倒すには、相応しい効果」
「くっ……」
「私はね、負ける訳には行かないの。そしてその子のような例外を認めるわけにはいかない」
「力のある奴が、力の無い奴に負けるワケには行かないっていうのか?そんなのは――」
ただの驕りだ、と。
そう叫ぶ前治輝を、言葉で愛城は遮った。
「くっ……」
「私はね、負ける訳には行かないの。そしてその子のような例外を認めるわけにはいかない」
「力のある奴が、力の無い奴に負けるワケには行かないっていうのか?そんなのは――」
ただの驕りだ、と。
そう叫ぶ前治輝を、言葉で愛城は遮った。
「力の無い奴が、痛みを知らない奴等が私達に勝てるなら――私達サイコ決闘者は何の為に迫害を受けて来たの?」
それは、確かに悲しさが滲んでいた言葉だった。
普段の愛城から想像もできない声色に治輝は言葉を続ける事ができない。
普段の愛城から想像もできない声色に治輝は言葉を続ける事ができない。
「私は何の為に辛くて悲しい目にあって、人間すら辞めなくてはならなかったの?」
それは、治輝自身にも覚えがある言葉だった。
突如ペインに成り、木咲の未来を奪い、いつか化け物になるのだと宣告された直後。
その時の自分の心情を、治輝は鮮明に思い出す。
突如ペインに成り、木咲の未来を奪い、いつか化け物になるのだと宣告された直後。
その時の自分の心情を、治輝は鮮明に思い出す。
「『私は特別なんだ』と、そう思わなくては生きて行けなかった。そう信じなければ、ここまで歩いて来れなかった」
「……」
「そういう人間達を集め、私はベインという組織を作った。そしてそれを認めない一般人共に力を行使し続けてきた、それの何がいけない?最初に迫害してきたのはあいつ等よ。やり返して何が悪いのよ!」
「……」
「そういう人間達を集め、私はベインという組織を作った。そしてそれを認めない一般人共に力を行使し続けてきた、それの何がいけない?最初に迫害してきたのはあいつ等よ。やり返して何が悪いのよ!」
「……だから私はこの力を使い、貴方を倒す。例えこの身をすり減らしてでも!」
その言葉に、呼応するように。
灰色の雲が、学校の頭上を覆って行った。
ダークルーラーの影響かとも思ったが、何かが違う。
雰囲気、圧力――まるで別の何かが、胎動してるような錯覚に囚われる。
「おろかな埋葬を発動し、墓地に<レベル・スティーラー>を送る。そして<神聖なる球体>を墓地に送り、発動せよ<戦線復活の代償>!!」
灰色の雲が、学校の頭上を覆って行った。
ダークルーラーの影響かとも思ったが、何かが違う。
雰囲気、圧力――まるで別の何かが、胎動してるような錯覚に囚われる。
「おろかな埋葬を発動し、墓地に<レベル・スティーラー>を送る。そして<神聖なる球体>を墓地に送り、発動せよ<戦線復活の代償>!!」
《戦線復活(せんせんふっかつ)の代償(だいしょう)/Symbols of Duty》 † 装備魔法 自分フィールド上の通常モンスター1体を墓地へ送って発動する。 自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して自分フィールド上に 特殊召喚し、このカードを装備する。 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、装備モンスターを破壊する。
「蘇生カードだと!?だが、ライトルーラーは蘇生ができないはず!」
「時枝君――一つ教えてあげるわ」
愛城は顔を大きく歪め、瞳孔が限りなく開きながら治輝に語りかける。
狂気を滲ませたその顔に、一体どれだけの感情を滲ませているというのか
「時枝君――一つ教えてあげるわ」
愛城は顔を大きく歪め、瞳孔が限りなく開きながら治輝に語りかける。
狂気を滲ませたその顔に、一体どれだけの感情を滲ませているというのか
「チェスや将棋を制する真の強者はね。最後まで『決め手』を相手に悟られないモノなのよ」
その言葉に、その立ち振る舞いに、治輝は激しい悪寒を感じた。
つまり、目の前の相手は――
つまり、目の前の相手は――
「私は墓地から<堕天使スペルビア>を特殊召喚!その効果により、墓地から一体の天使を蘇生する!」
《堕天使(だてんし)スペルビア/Darklord Superbia》 † 効果モンスター 星8/闇属性/天使族/攻2900/守2400 このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、 自分の墓地に存在する「堕天使スペルビア」以外の 天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
光と闇のルーラーと同格か、それ以上の切り札を持っているという事になる――!
そこまで考えの至った治輝を察したのか、愛城は愉快そうに顔を歪めた。
そして、墓地から更に一体の天使が舞い戻る。
そこまで考えの至った治輝を察したのか、愛城は愉快そうに顔を歪めた。
そして、墓地から更に一体の天使が舞い戻る。
《極星天(きょくせいてん)ヴァルキュリア/Valkyrie of the Nordic Ascendant》 † チューナー(効果モンスター) 星2/光属性/天使族/攻 400/守 800 このカードが召喚に成功した時、相手フィールド上にモンスターが存在し、 自分フィールド上にこのカード以外のカードが存在しない場合、 手札の「極星」と名のついたモンスター2体をゲームから除外して発動する事ができる。 自分フィールド上に「エインヘリアル・トークン」 (戦士族・地・星4・攻/守1000)2体を守備表示で特殊召喚する。
次の瞬間
<極星天ヴァルキュリア>を中心に、三体のモンスターが虹色の光を発しながら天空へと飛翔して行く。
薄黒い雲は稲光を発しているが、雨は振っていない。そんな雲の合間に、モンスター達が吸い込まれていく。
その黒い雲が、突如大きく裂けた。
――天使の階段。
層積雲の隙間から光が差し込み、まるで天と地を結ぶ階段のように見える現象で、「天使の階段」や「天使のはしご」、「光芒」などと呼ばれる。気象現象の一つだ。
それが、黒い雲の合間を裂くように出現した。
そしてその中から、眩い光と共に、一体の天使が光臨する。
いや、あれはむしろ天使というより――神と評した方が相応しい。
<極星天ヴァルキュリア>を中心に、三体のモンスターが虹色の光を発しながら天空へと飛翔して行く。
薄黒い雲は稲光を発しているが、雨は振っていない。そんな雲の合間に、モンスター達が吸い込まれていく。
その黒い雲が、突如大きく裂けた。
――天使の階段。
層積雲の隙間から光が差し込み、まるで天と地を結ぶ階段のように見える現象で、「天使の階段」や「天使のはしご」、「光芒」などと呼ばれる。気象現象の一つだ。
それが、黒い雲の合間を裂くように出現した。
そしてその中から、眩い光と共に、一体の天使が光臨する。
いや、あれはむしろ天使というより――神と評した方が相応しい。
極神と銘打たれたそのモンスターがフィールドへと舞い降りる。
その大きさは先程倒したライトルーラーを凌ぎ、それが持つ杖は、一振りしただけで全てを砕きかねない威力を想像させた。
その大きさは先程倒したライトルーラーを凌ぎ、それが持つ杖は、一振りしただけで全てを砕きかねない威力を想像させた。
【治輝LP4000】 手札3枚 場:スクラップ・ドラゴン 伏せカード二枚 【愛城LP2800】 手札0枚 場:極神聖帝オーディン Arcana Force EX - The Dark Ruler 神の居城-ヴァルハラ