シューティングラーヴェ(はてな)

シューティングラーヴェの移行先

遊戯王オリジナル episode-76

【治輝LP4000】 手札3枚   
場:スクラップ・ドラゴン
伏せカード二枚

【愛城LP2800】 手札0枚
場:極神聖帝オーディン Arcana Force EX - The Dark Ruler 
神の居城-ヴァルハラ 

「貴方が余計な動きさえしなければ、本来ライトルーラーも並んでいたはずなのに。運が悪かったわね」
「冗談じゃ――ない」

《極神聖帝(きょくしんせいてい)オーディン/Odin, Father of the Aesir》 †

シンクロ・効果モンスター
星10/光属性/天使族/攻4000/守3500
「極星天」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。
このカードはエンドフェイズ時まで魔法・罠カードの効果を受けない。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが
相手によって破壊され墓地へ送られた場合、
そのターンのエンドフェイズ時に自分の墓地に存在する
「極星天」と名のついたチューナー1体をゲームから除外する事で、
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、
自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。

 左方には最良の耐性を持つ、最強の天使族。

《アルカナフォースEX(エクストラ)-THE DARK RULER(ザ・ダーク・ルーラー)/Arcana Force EX - The Dark Ruler》 †

効果モンスター
星10/光属性/天使族/攻4000/守4000
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在するモンスター3体を
墓地へ送った場合のみ特殊召喚する事ができる。
このカードが特殊召喚に成功した時、コイントスを1回行い以下の効果を得る。
●表:このカードはバトルフェイズ中2回攻撃する事ができる。
この効果が適用された2回目の戦闘を行った場合、
このカードはバトルフェイズ終了時に守備表示になる。
次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。
●裏:このカードが破壊される場合、フィールド上のカードを全て破壊する。
 
 右方には最高の攻撃性能を誇る、最凶の天使族が君臨していた。
 これにライトルーラーが加わった時の絶望感なんて、想像するのもお断りだ。
 だが、この状態は何かがおかしい。
 ペインがこういった『伝説級』のカードを操り、オリジナルを複製できるのは一枚から二枚が限度のはず。
 それなのに何故、あってはならない『三枚目』が存在している――!?

「お前が異世界から『掴んだ』カードは、二枚のルーラーじゃなかったのか!?」
「貴方よりも先にペインになっていた――そう言ったはずよ。貴方や永桐よりも私は純度が高いの、だからその気になれば『3枚目』を掴み取る事が可能よ」
 勿論、と一言付け加えた上で、愛城は口を三日月のように捻じ曲げ、笑った。

「純度の高さに頼れば頼る分、私は本来の『ペイン』に近付いて行く。理性を失い、意識を失い――ただの化け物へと成り果てる可能性が、その分高まる。二枚というのはいわゆる上限という名のリミッターよ。そのリミッターを解除して戦い続ければ、相応の報いが待っているでしょうね」
「……そこまでして勝って何になる。そんなんじゃ、勝ったって何にもならないだろう!?」
「今までの私が否定されるよりはマシよ!私は特別な存在なの。それを否定されるくらいなら、私は全てを投げ打つ!――オーディンの効果、インフルエンス・オブ・ルーン!!」

 そう愛城が言い放つと、オーディンの杖から膜のような物が広がっていき、そのまま体全体を包んでいく。
 これが備わった事で、目の前の神は最強の耐性を得た事になる。
 その存在感に圧倒されて動けないかづなを階段を降りるように促し――

 かづなは改めて自身の無力を感じ。
 治輝とスドは覚悟を決める。
 
「<極神聖帝・オーディン>でそこの目障りな機械竜、スクラップ・ドラゴンを攻撃――」

 ――ヘブンズ・ジャッジメント
 そう愛城が囁くように呟くと、髭を蓄えた老人の姿をした究極の神は、やや前傾姿勢になり杖を構える。
 そしてその杖に光を集わせ、スクラップドラゴンに振り下ろしてきた。
 それを見た治輝は、自らの心の震えを隠そうと空笑いをし、スドに語りかけた。

「……悪いなスド。早速犠牲にしちまうみたいだ、俺は」
「――馬鹿め。だから貴様は甘いというのだ」

 その短い掛け合いの間に、その巨大な杖が上から下へと振り下ろされる。
 極光を纏った杖が振り降ろされると、スドの体にヒビが入り、短い咆哮を挙げて破壊された。
 その声を聞いて、断末魔の声を聞いて、治輝は拳を震わせながら目を瞑る。

【治輝LP4000→2800】

「おまえは多分――コレを何千、何万と聞いてきたんだな。スド」

 治輝には、精霊の声が聞こえない。
 全ての精霊の声を聞けるスドの心中がどれ程の物なのか……それすらもわからない。
 だからこそ

「だからこそ!次の一撃くらいは、見事耐え切って見せなきゃ嘘だよなぁ!」

 そう言って治輝は目の前の最凶の上級天使、ダークルーラーを睨み付けた。
 その治輝を滑稽そうに眺めた愛城は、続けて攻撃命令を下す。
「これで貴方を守るモンスターはいない――トドメよ。ダークルーラー!」

 主人である愛城の指令に呼応して
 ダークルーラーの腕に生えている巨大な龍が、大きく口を開け、巨大な光球を発射した。
 光球が接近するほど感じる、死の雰囲気。
 その恐怖を振り払うように、治輝は刃を振るうように手を薙いで、伏せカードを発動した。

「罠カード発動!ドレインシールド!!」

《ドレインシールド/Draining Shield》 †

通常罠
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、
そのモンスターの攻撃力分の数値だけ自分のライフポイントを回復する。

 治輝が手を翳すと、目の前に赤い巨大な盾が出現した。
 それは巨大な光球を受け止めると、少しずつ治輝のライフを、力を高めていく。

【治輝LP】2800→6800

 力を増した治輝が作り上げた盾は、その巨大な光球を少しずつ押し返していく。
「……仕返しってわけか。でも貴方もわかっているんでしょう?次の一撃が本命だという事に!」
「……ッ!」
「幻魔級の攻撃力を秘めた最強の一撃!貴方のライフが受け切れたとしても、貴方の体は耐え切れない!!」
「耐え――切ってやる!……4000だろうが、4万だろうが……!!」
「……その口、今すぐに閉ざしてやるわ!」

 そして、無常にも2回目の攻撃が、ダークルーラーから発射された。
 ダークルーラーの腕に生えている巨大な龍が、大きく口を開け、巨大な光線を発射する。
 それが先程の攻撃を押し返そうとしていた、盾に直撃した。

 バリィィィィィン!!
 ガラスが割れるような甲高い音が、辺りに広がった。

 言葉にならないような、かづなの叫びが響いていった。

 <ドレインシールド>で形勢された盾は破壊され、その光線は治輝の体を真っ白に焼き尽くす。
 人間に、耐え切れるわけがない――。
 そう全ての人間に思わせるには、十分過ぎる威力だった。

【治輝LP】6800→2800