シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王オリジナル episode-79

【愛城LP】2800→2100

【治輝LP2800】 手札1枚   
場:デブリドラゴン(攻4200固定) ガード・オブ・フレムベル ミンゲイドラゴン
伏せカード2枚
【愛城LP2100】 手札0枚
場:極神聖帝オーディン(戦闘破壊) Arcana Force EX - The Dark Ruler(強制守備表示)
神の居城-ヴァルハラ 

 自らの最強の僕が、やられた。
 その衝撃に愛城は、しばし呆然としてしまう。
 治輝はそんな愛城を見据えつつも、カード二枚セットして様子を伺う。
 だが愛城はすぐに顔を上げ、若干の狂気を滲ませながら、人を見下すような笑い声を上げた。
 
「――確かに見事だったわ。そんな雑魚モンスターの寄せ集めで、私のオーディンを『一度』倒すなんてね」
「……一度、か」
「そう、一度よ。だけどオーディンには第二の効果がある――それは!」

 復活よ、と。
 愛城が宣言した次の瞬間。再び天から雷鳴が鳴り響いた。
 黒い雲から『天使の階段』が出現し、その光の中から再び最強の神が現れる。

《極神聖帝(きょくしんせいてい)オーディン/Odin, Father of the Aesir》 †

シンクロ・効果モンスター
星10/光属性/天使族/攻4000/守3500
「極星天」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。
このカードはエンドフェイズ時まで魔法・罠カードの効果を受けない。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが
相手によって破壊され墓地へ送られた場合、
そのターンのエンドフェイズ時に自分の墓地に存在する
「極星天」と名のついたチューナー1体をゲームから除外する事で、
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、
自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。

「確かにその<デブリ・ドラゴン>は見事だわ!反転世界で固定された攻撃力は変動しない――このオーディンでも、私のダークルーラーを以てしても!ソイツを倒す事は不可能よ!」
「……」
「でも、そこに無様に攻撃表示に残ったモンスター達は違う。その超過ダメージを受け、貴方は今度こそ死ぬ!それで今度こそ終わりよ――!」
「……なら、俺は最後の手札を切る。俺は手札から<ドラゴン・アイス>の効果を発動!」

《ドラゴン・アイス/Dragon Ice》 †

効果モンスター
星5/水属性/ドラゴン族/攻1800/守2200
相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、
自分の手札を1枚捨てる事で、このカードを手札または墓地から特殊召喚する。
「ドラゴン・アイス」はフィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

「このカード自身を、フィールド上に特殊召喚する!ソイツの復活には<極星天ヴァルキュリア>の除外コストが必要なはずだ。もう一度倒せば、復活はしないはずだ」
「……倒せる物ならやってみなさい!オーディンの効果で、私は一枚のカードをドロー!そして――私のターン!」

 愛城はフィールドに現れた悪魔のような形相をしたドラゴンを見据えながら、カードを更にドローする。
 そして二枚目に引いたカードを確認すると、顔を大きく歪めた。
 「オーディンの効果は知っているでしょう?一度発動すれば、全ての魔法罠の効果を受け付けなくなる」
「……」
「発動してしまえば今度こそ貴方は終わりよ。さぁ――最後の審判を受けなさい!」

 愛城が手を掲げると、それに呼応すると、オーディンの周囲に再び不可思議な幕が包んでいく。
 これが完全に神を包んだ瞬間、あらゆる魔法と罠はオーディンには通用しなくなる。
 だが

「――遅い、罠カード発動!!」
「な……」

 効果が適用される寸前、神が最強の耐性を備えようとする直前に、治輝が動いた。
 <デブリドラゴン>を中心とした4体のモンスターが、光の柱を纏い天空へと飛翔していく。
 その柱を進んでいくモンスター達は4体。

 <デブリ・ドラゴン>は緑色
 <ガード・オブ・フレムベル>赤色
 <ミンゲイ・ドラゴン>は茶色
 <ドラゴン・アイス>は青色

 それぞれのモンスターは、それぞれの色を持った光の球体へと姿を変える。
 そして光の柱は一つになり、頂上に4種類の球体を揃えた巨大な一つの柱が、眩いほどの閃光を放ち始めた。

「な……!?」

 愛城は余りの眩しさに片目を閉じ、治輝はその光を瞬きもせず見つめ続ける。
 治輝が発動したカードは、他でもない

エレメンタルバースト/Elemental Burst》 †

通常罠
自分フィールド上に存在する風・水・炎・地属性モンスターを
1体ずつ生け贄に捧げて発動する。
相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する。

 <エレメンタルバースト>
 それは最高の発動難易度を誇る、最強の破壊効果を持った罠カードだった。
 その輝かしい閃光は、オーディンが膜に包まれる寸前に、愛城のフィールドの全てを包み込む。
 最強の攻撃性能を持った天使と、最良の耐性を備えた天使を、そして愛城のフィールドを覆っていた神の居城を、残らず全て飲み込んで行った。
 切り札を同時に二枚も失った愛城は、呆然とその場に立ち尽くす。
 豪勢な素材で彩られていた階段は砂で作られていた物に戻り、神の居城の象徴であった玉座も消失する。

「そんな……!?」
「見たか愛城。俺が召喚したモンスター達は、無様なんかじゃない!これでお前の切り札――ライトルーラー、ダークルーラー、オーディンは全て倒した!」
「――まだよ、まだ終わらない!貴方の言葉を認めるわけには、貴方に負けるわけには!私が負けるわけにはいかないのよ!カードを一枚セットし、速効魔法<異次元からの埋葬>!!」

《異次元(いじげん)からの埋葬(まいそう)/Burial from a Different Dimension》 †

速攻魔法(制限カード)
ゲームから除外されているモンスターカードを3枚まで選択し、
そのカードを墓地に戻す。

 そのカードを視認すると、治輝は驚きで目を大きく見開いた。
「な……ここで引いて来たのか!?」
「そうよ。当然除外から墓地に戻すのは<極星天ヴァルキュリア>!!そしてエンドフェイズ、再び戻って来なさい!極神聖帝オーディン!!!」

 愛城がそう言った次の瞬間、フィールドの中央に雷が直撃した。
 その雷の光に治輝は目を覆い、視力が一瞬完全に奪われる。
 視力が回復すると、フィールドには再び『神』が光臨していた。
 その効果で、更に愛城はカードを一枚ドローする。

「さぁ、ターンエンドよ!」

 神は死なない。
 誰かがかつて言ったその言葉を体現するように、神は幾度も蘇っていく。
 相対する人間を、絶望の淵に叩き落すまで。

「……いや」
 
 だが、治輝の目は死なない。
 尚も諦めない表情を浮かべる治輝は、見下ろすような視線の愛城を見上げ、言い放った。

「――おまえのターンは、まだ終わらない!!」

【治輝LP2800】 手札0枚   
場:伏せカード1枚
【愛城LP2100】 手札1枚
場:極神聖帝オーディン
伏せカード1枚