シューティングラーヴェ(はてな)

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遊戯王Oカード episode-01

「……で、白矢はなんて返事を?」
「『人間に興味はない。限定カードに生まれ変わって出直して来い』ってフられちゃった」
「そうか……」

 教室内。
 友人Aは蒼名と世間話をしていた。
 蒼菜の席は白矢の隣、友人Aは白矢の前の席――つまる所2人は斜めな位置関係にあり、割と話しやすいのである。
 そんな時教室の扉が開き、白矢が入って来た。噂をすれば何とやらである。
 何食わぬ顔で座る白矢に対し、友人Aはジト目で白矢を見る。

「なんだ友人A」
「花火をしよう」
「なんだ突然」
「お前、ロケット花火を束で持つ係りな。着火は自分でしてくれ。E.HEROチャッカマンなら貸してやる。だから今すぐ着火しろ」
「お前は時々わけのわからない事を言うな……」
 呆れ顔を浮かべる白矢に対し、友人Aは溜息を吐く。
 遠回しな嫌味を素で返される時程、空しい時はない。
「お前こんな可愛い子捕まえて振るとか有り得ないだろ! お前みたいな偏屈には二度とないチャンスだぞ多分!」
「おかしな事を言うなお前は。ならお前は『貴重だから』という理由で告白即OKするのが健全だとでも?」
「そういうわけじゃないけど、断り方ってもんがだな」
「いいよ友人A君。そういう人だってわかってて告白したんだし、それに……」
 蒼菜はそこで言葉を区切り、にっこりと笑い。

「私諦めない。もう、求めるのを怖がったりしないから」

 とても元気よく、言い放った。








 ◇◇◇


 この上なく不自然に、白矢と友人Aは蒼菜に「トイレに行く」と伝え、その場を去った。
 現在位置は屋上である。

「……正直カタパルトタートルに砲弾にされて爆発しろと思っていたんだが、気が変わった」
「……」
「あの子あんなキャラだったっけか? 昨日なんかあったみたいだけど、お前なんかやったのか?」

 白矢はそう問われ、先日の事を思い返してみるが――心当たりが無い。
 昨日やった事といえば、謝罪の意を行動で示しただけだ。
「……覚えはないな。元々素質があったんじゃないか?」
「素質……」
 何の素質やねん、と友人Aが頭に手を当てて思案していると
 ガチャリと、扉のノブが回る音がした。
 その音を、二人は反射的に目をやる。
「まさか、今の話……誰かに」
「聞かれていたなら、生かしてはおけないな」
 いやそんなレベルの話はしてないだろ、と友人Aが瞼に指を当てて頭を振っている間に、扉が開いた。
 それは二人のよく見知った人物――ではなく

「よぅ、話は聞かせてもらったぜ!」
「……誰?」

 クラスメイトでも知り合いでもない。
 どこにでも居そうな、ごく普通の短髪の青年だった。