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遊戯王Oカード episode-06 【レンジ恋にメタられる】

【白矢】LP4000

手札 3枚
場 裏守備モンスター
伏せカード2枚

 

【副委員長】LP16000

手札 2枚
場 <マテリアル・ドラゴン> <オオアリクイクイアリ>
伏せカード1枚

「一瞬でライフを消すだと……?」

 そんな事ができるはずがない。
 苦虫を潰すような表情を浮かべ、白矢が何故そんな虚言を吐いたのかを推察する。
 大口を叩いた所で、現在のターンはこちらのものだ。
 一撃でこちらを葬りさる――そんな事が可能ならば、わざわざこちらのターンで言う必要は無い。
 むしろ警戒され、その攻撃が失敗に終わることすら有り得る。
 ……思惑が見えてきた。つまり白矢はこちらに『警戒』して欲しいのだ。
「浅はかだな白矢。その程度の策略で、私の攻撃が鈍るとでも?」
「……」
「<オオアリクイクイアリ>には確かに効果がある。そちらの伏せカードを警戒するというのならば、成る程発動させるのが道理だろうな」

オオアリクイクイアリ/Anteatereatingant》 †
効果モンスター
星5/地属性/昆虫族/攻2000/守 500
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上の魔法・罠カード2枚を
墓地に送った場合のみ特殊召喚する事ができる。
このカードは攻撃をするかわりに相手フィールド上の
魔法・罠カード1枚を破壊する事ができる。

「だが、その効果を使えばこのターンこのモンスターは攻撃をする事ができなくなる。――要は貴様の狙いはそれだろう?」
「……」
「無意味に警戒心を煽ったという事は、『警戒して欲しい』と公言してるようなものだ。よって、その伏せカードの正体は……破壊される事で意味のあるカードか、もしくは破壊されても構わないカードだ。攻撃反応トラップではない!」

 もはや相手の伏せカードは恐るに足らず。
 <マテリアル・ドラゴン>に決闘盤を通して攻撃指令を送り、伏せモンスターへと攻撃させる。
 すると、白矢が動いた。

「罠カード発動――和睦の使者!」

《和睦の使者/Waboku》 †
通常罠
このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける
全ての戦闘ダメージは0になる。
このターン自分のモンスターは戦闘では破壊されない

 モンスターの戦闘破壊とプレイヤーへの戦闘ダメージをゼロにするカード。
 攻撃を受けた白矢のモンスターは守備力2000の<E・HEROフォレストマン>だったが<和睦の使者>を使われては戦闘破壊は不可能だ。
 だがそのカードの存在は、正に想定の範囲内
 <フリー・チェーン>
 そう呼称される罠カード達は、自由に発動タイミングを選ぶ事ができる。
 それが例え伏せ除去であろうとも。
 <オオアリクイクイアリ>の効果にチェーンし<和睦の使者>を発動された場合、効果の撃ち損になってしまう――というわけだ。
 白矢が狙っていたのは恐らくそれだろう。

「残念ながら、そちらの目論は外れたようだな。ターンエンド!」
 
【白矢】LP4000

手札 3枚
場 <E・HEROフォレストマン>
伏せカード1枚

 

【副委員長】LP16000

手札 2枚
場 <マテリアル・ドラゴン> <オオアリクイクイアリ>
伏せカード1枚

「俺のターン、ドロー。フタンバイフェイズに<E・HEROフォレストマン>の効果発動」

《E・HERO
エレメンタルヒーロー
 フォレストマン/Elemental HERO Woodsman》 †
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1000/守2000
1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。
自分のデッキまたは墓地に存在する「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

「<融合>を手札に加える」
 行動を看過されたはずの白矢だが、その面持ちは冷静だ。
 それを見た副委員長は、不愉快そうに眉を顰める。
「ふん、融合を発動した所で……」
 融合モンスターは確かに強力だ。<マテリアル・ドラゴン>や<オオアリクイクイアリ>のどちらかを破壊してくる可能性は高い。
 だが、それだけだ。
 16000ものライフを削り取る事など――

「<レスキューラビット>を召喚」

 その思考に割り込むように、白矢は1体のモンスターを召喚した。

《レスキューラビット/Rescue Rabbit》 †
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
このカードはデッキから特殊召喚する事はできない。
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
自分のデッキからレベル4以下の同名通常モンスター2体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

「<レスキューラビット>は自身を除外する事で、デッキから2体の同名通常モンスターを特殊召喚できる。<E.HEROスパークマン>2体を特殊召喚。<フォレストマン>を攻撃表示に」

《E・HERO スパークマン/Elemental HERO Sparkman》 †
通常モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400
様々な武器を使いこなす、光の戦士のE・HERO。
聖なる輝きスパークフラッシュが悪の退路を断つ。

「……そのモンスター達を先程加えた<融合>で強力モンスターを呼ぶつもりか」
「……」

 図星を指されたのか。
 白矢は視線を地面に向け、沈黙する。
 その様を眺め、優越感に浸っていると――。

「――バトルフェイズに入る」

 目の前の男はキーカードであるはずの手札の<融合>を使わず
 ハッキリとした声で<バトルフェイズ>に突入した。

【白矢】LP4000

手札 4枚
場 <E・HERO フォレストマン> <E・HERO スパークマン> <E・HERO スパークマン>
伏せカード1枚

 

【副委員長】LP16000

手札 2枚
場 <マテリアル・ドラゴン> <オオアリクイクイアリ>
伏せカード1枚